第174回国会 予算委員会 第3号(平成22年1月22日(金曜日))
小池委員「北朝鮮の問題について一つだけ。これは、私は、国家の安全保障上、余り語られてこなかった、しかしながら、日本の安全を守るためにはどうしても必要なことなので、この次のテーマをしっかり政府として取り組んでいただきたく、質問として取り上げさせていただいております。
『これは、北朝鮮の核開発のことがいつも注目されるわけでございますけれども、EMP爆弾というものがございます。
これは電磁パルスというものでございまして、テポドン、ノドンなどの弾頭のところにつけるだけなんですね。非常に簡単につくれてしまい、そして、この電磁パルスが例えば日本を襲ったときにはどうなるかというと、金融機関であるとか交通、ありとあらゆる社会的なシステムが停止をしてしまうんです。
一方で、これは人間を殺傷するわけではない。であるならば、自衛権としてどこまで何をするのかという法的な整備も必要になってまいります。』
『既にアメリカや韓国ではそれぞれ、国防委員会、軍事委員会などにおきまして取り上げられているテーマでございますけれども、これは日本におきましてはこれまで余り注視されていなかった。
そして、韓国につきましては、国防中期計画で、北朝鮮が核攻撃を行った際に発生する電磁パルス、EMP対策としての保護システムに一千億ウォン、大体八十億円に相当いたしますけれども、計上をいたしております。
これなどはまさに防衛の要点でございまして、しっかり対応してもらわなければならないわけでございます。』
『もしこのEMPが日本に撃ち込まれた場合といいましょうか、日本じゃないですね、宇宙空間ですね、そこで電磁波によりましてシステムを壊してしまうわけでございます。
けれども、これについての研究、そしてまた、どれぐらいの被害を想定し、どのような法律が必要で、いつまでに政府としてどこが中心になって何をやるのか、これについての今の対応を伺わせていただきたい。』
『ちなみに、これは北朝鮮が持つ兵器とすれば、彼らはほとんど金融システムなどオンラインをやっていませんので、彼らはほぼ傷つくことはないんですね。
日本のような、金融システムをかなりオンラインで結んでいるところは大変バルネラブルになるわけでございまして、日本としても十分に備えをしておかなければならない。 これについて、防衛大臣いかがですか。』
※バルネラブル: 傷つきやすい、脆い という意味
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http://www.sankei.com/column/news/170304/clm1703040007-n1.html
核兵器の被害について、想定するのは広島、長崎の惨禍です。
爆撃機による空襲で広島では上空600メートル、長崎は上空500メートル付近で原爆がさく裂した。
今日、核保有国が研究想定しているのは核兵器を高度3万メートルから数十万メートルの高高度(高層大気圏)で爆発させる電磁パルス(EMP)攻撃であるという。
EMP攻撃は核爆発の現場があまりに高高度であるため、核兵器による熱線、爆風、放射線で直接死傷する人は出ない。直接的には人を傷つけない。
広島長崎のような惨禍を繰り返して非人道的という非難を受けることを避ける。
その一方で高高度の上空で核爆発を起こしてガンマ線を大量に発生させて、電磁パルスを大量に発生させることを目的にする。
その直下の極めて広い領域にわたって、対策を施していない電子機器・電子回路に高電圧を発生させる(サージ効果)。
電子機器・回路は破壊されたり、誤作動したりする。
コンピューター、通信網、金融システムを全滅させ社会インフラを麻痺させる。
核保有国はこの現象を知っている。
保有していなくても隣が北朝鮮であるだけに危機感を抱く韓国も知っている。
人工衛星も無事では済まない。
人工衛星を持たない国は使用するハードルが下がるだろう。
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金融機関の麻痺で決済等 お金の流れが止まる。証券取引も止まる。カードが使えない、電子マネーが使えない。
水道ガス電気電話等通信もコンピューター制御なので止まる。停電、断水。
スマホ、ケータイが使えない。
鉄道・運輸もコンピューター管理なので止まる。自動車もエンジンが電子制御なので止まる。(今の車はハーネスだらけです)ナビもラジオもオーディオも壊れる。
GPS制御の建機も農機も止まる。
モノが届かない、動かない、人も動けない、買いだめに殺到する。
報道機関のシステムもダウンして報道も止まって不安感を増大させる。
広島長崎のような直接的な殺傷は二度と行わないとする一方で間接的な殺傷の研究を行っている。
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電子戦再考:米陸軍で「サイバー電磁活動」の検討が始まっている | 土屋大洋 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
消えたハワイの街灯
「1962年に米軍が太平洋で行った核実験がEMP爆弾と同じ効果を引き起こし、実験場から1445キロメートル離れたハワイの街灯が消え、盗難警報器を鳴らし、マイクロ波通信回線を不能にした。」
「当時はまだパソコンが普及していない時代だったが、現代で同じことが起きれば各種コンピュータを不能にするなど広範な被害が出る可能性がある。」
「現実に使えるEMP爆弾として想定されてきたのは核の高高度核爆発である。高度100キロメートルを超えるような高いところで核爆発を発生させるとEMP爆弾になる。
サンケイでは 高度3万メートルから数十万メートル
ニューズウイークでは 高度10万メートルを超えるとEMPになるという。
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防衛省防衛研究所
ブラックアウト事態に至る電磁パルス(EMP)脅威の諸相とその展望 によると
「米国議会調査局の報告書では、2004 年の時点でロシアと中国がHEMP 攻撃能力を有しており、
英、仏、インド、パキスタン及びイスラエルも、数年がかりでHEMP 攻撃能力を獲得する可能性を指摘するとともに、弾道ミサイル実験を重ねるイランが、先々HEMP 能力を獲得することへの懸念を表明している。」
米露中は既にEMP攻撃能力を有しているという。
「天然資源防衛委員会(NaturalResources Defense Council: NRDC)の1989 年の調査報告によれば、フランスは自国の核兵器システムに対するEMP 防護措置をめぐり、政府部内及び民間コントラクターでEMPシミュレーターを開発し、1970 年代から積極的に同国ミサイルシステムのEMP 防護策検討を行ってきたとしている。このフランスの核戦力との関連で、ポール・ブラッケン(PaulBracken)は、同国が電力グリッドと通信システムを破壊するためのEMP 弾頭も保有している旨指摘している。」
1970年代から研究しているフランスもすでに攻撃能力を有している可能性は高い。
攻撃能力を有すると言うことは、それに対する防御能力も有しているのではないか。
IT化が進んでいない国は防御のことは考えないでEPM攻撃能力の獲得だけを目指す。
「昨今、北朝鮮がHEMP 攻撃手段の獲得を目指しているとの指摘や、それが米国に対する直接的脅威になり得るとの懸念も示されている。」
IT化が進んだ国に対してはミサイルを大気圏に再突入させなくても充分に脅威になる。
(2017年7月30日 日本経済新聞 朝刊3面)
「北朝鮮、米内陸部を射程」「大気圏再突入は未確立か」
核ミサイルは大気圏に再突入できなくても脅威なんですってば。
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経済制裁の効果がない理由
(2017年5月14日 日本経済新聞 朝刊3面)
「99カ国・地域にサイバー攻撃」「身代金型、一斉に」
「12日に世界を襲った大規模なサイバー攻撃では、パソコンを感染させ、復旧と引き換えに金銭を要求する「ランサム(身代金)ウェア」が使われた。
英国では病院のシステムが停止し、手術が受けられないなどの実害が出た。
米物流大手フェデックス、ロシアやウクライナなど被害は世界99カ国・地域、計7万5千件に広がった。
電子メールに添付されたファイルを開くと感染し画面がロックされる。
復旧と引き換えに金銭を要求する仕組みで、仮想通貨「ビットコイン」で身代金300ドル(約3万4000円)を払うよう表示され、時間がたつと要求額が増えるという。」
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(2017年5月15日 日本経済新聞 朝刊4面)
「サイバー攻撃 150カ国に」「20万件以上 前例ない規模」
(2017年5月17日 日本経済新聞 朝刊9面)
「北朝鮮部隊の関与浮上」「大規模サイバー攻撃」「外貨獲得狙いか」
「米グーグルの研究者は、今回の攻撃に使われたソフト「ワナクライ」の初期版に、北朝鮮が関与した技術的痕跡があると指摘した。北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」が2015年に使った攻撃ソフトと同じ記述がプログラムに見つかった。」
「ロシアの情報セキュリティ企業、カルペスキー研究所は「ラザルスはウイルス工場を運営している」と指摘した。」
「韓国メディアは「121部隊」が攻撃の背後にいると指摘する。」
121部隊:偵察総局(戦時は情報収集と工作、平時の業務はテロ)傘下でサイバー攻撃を担当する。サイバー攻撃要員は7千人。
「同部隊は銀行へのサイバー攻撃で資金を奪取する「銀行強盗」にも乗り出しているようだ。」
経済援助をしないなら、経済制裁をするなら銀行強盗をしてでも資金を争奪して核兵器を開発する。
「バングラディッシュ中央銀行のハッキング事件にも関わったとされ、北朝鮮は世界の大手金融機関でつくる国際銀行間通信協会(スイフト)から締め出された。」
通信網から締め出されてネットワークを通じての銀行のハッキングが困難になった。
銀行強盗ができなくなり、データ復旧の代わりに金銭(身代金)を要求するランサムウェアを新たな資金獲得手段に位置づけているという。 (情報源は米露韓)
身代金を払ったら核ミサイルの資金源になるということです。
どれだけ払った人がいるのだろう、団体があるのだろう。
ナメテかかっていたのではないか、それが今日の事態を招いた。
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電磁シールドシステム 電磁波攻撃対策 | 三菱電機 セキュリティー
「電磁波盗聴に対する研究を三菱電機は1988年以来続けてきた国内唯一のメーカーです。電磁波攻撃防御の研究も行っており、永年の研究に基づいた脅威の想定を可能にしています。」
国内で研究をしているのは三菱電機だけ?……他の企業はどうなのだろう。
「エレクトロニクスを駆使した情報機器は、強力な電磁波により正常に動作しなくなります。もし建物外部から企業や公共機関などのホストコンピュータに電磁波が照射されれば、誤動作・故障が発生し、重要なデータが消失しかねません。このような脅威を「電磁波攻撃」と言います。」
「情報機器の電磁波に対する耐性は各工業会で検討されています。しかしそれらは通常の環境での電磁波対策であり、電磁波攻撃を想定したものではありません。ペルセウス・シールドは、電磁波を悪用したテロ活動などの防御策として、効果的な耐EMP・HPM(電磁パルス、高出力マイクロ波送信機からの防護対策)をご提供します。」
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IT化と並行してEMP対策を官民挙げて進めていかないと国は危い。
弾道ミサイルが高高度に達する前に迎撃する能力が欠かせない。
防衛省・自衛隊にとどまる話ではない。被害想定を見積もって公表されたらいいと思う。
無用の心配を招きかねない、波風を立ててはいけないとか言う人もいるのではないか。
本気ではないと周辺国に知らせることになる。或いは知っているくせにとぼけていると思われるのだろうか。
EMP核攻撃があってもなくても、来るべき自動運転社会に電磁サイバー攻撃対策は必須です。あらゆるモノがネットにつながるIT化に必須です。
EMP対策を標準仕様にすれば普及して価格が下がり景気対策にもなるのではないか。
併せて核抑止の対象にEMP攻撃を含めないと実効性がない。
それではまた。