EV製造や電池、部品の原材料となる資源の採掘現場で稼働する重機の動力はディーゼルです。
砂塵、粉塵舞う現場で故障なく稼働できる動力はディーゼルです。
EVの工場や部品を製造する工場を建設する機械の動力はディーゼルです。
素材となる原料を産地から工場まで運ぶ動力はディーゼルです。
充電スタンド等インフラ設備を設置する動力もディーゼルです。
EV化でディーゼル車を禁止にするという、それなのにEV社会実現に必要なのがディーゼルというジレンマがあります。
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船舶、機関車、バス・トラック等商用車、消防車、工事現場の建設機械、農業のコンバイン、トラクター、漁船のエンジン、病院や工場や計算センターで停電時のバックアップとなる非常用発電機エトセトラエトセトラ。
電動に切替えたらどれだけ電力を使うのか。
田舎や無人島で自給自足で衣食住を確保したつもりになっても、手にしている大工道具や農作業や漁の道具はディーゼルエンジンがもたらした物です。
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環境保護派が諸手を挙げて賛成できない理由(発電方式のイノベーションは待ったなし)
排気ガスが出ないEVは環境にいいはず。
ところが“燃料として発電所に入るエネルギーは、実際に電力になると平均して37.2%しかありません。なんと62.8%も消失するのです。
※日本の62.8%という消失率は世界一優秀な数字です。他国はもっと消失が多い。
石油や石炭や天然ガスを燃やしてお湯を沸かして蒸気を発生させてタービンを回して発電機を回すという1クッション、2クッションが入るからその間のロスは避けられない。
原子力発電は石油や石炭を燃やすボイラーの代わりに原子炉を使用するのだから理屈は同じ。(原子炉は瞬間湯沸かし器のラスボス)
熱をそのまま電気に変換する技術を発明したらノーベル賞ものではなかろうか。
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水力発電の場合は落下する水で直接水車を回して発電機を回すから効率は80~90%と高いけどダムの貯水量は天候に左右されるから日本全国の電気使用量をまかなうのは無理。
太陽光パネルは性能トップのメーカー製品が効率20%
大気の影響を受けるから仕方がないとも思える。
(もし大出力の太陽電池が実現しても、実現したらしたで一般家庭の屋根に設置するのは危険という話になる)
寿命が来た時の産業廃棄物の処理の問題もある。
太陽光ですべての電力をカバーしようとしたら森も畑も伐採して太陽光パネルだらけになって砂漠化して環境破壊になる。雨や台風や吹雪の日は発電できない。
風力発電は回る風車で発電機を回すから効率がよさそうだけど、風が弱い日は発電効率が落ちるし野鳥を殺してしまうバードストライクとか低周波が人間や野生動物に与える影響が心配。
これが決め手という方式はなく、組み合わせで対処していくしかない。
電気自動車が普及することで停電などあってはならない。
増大する電力需要に応えるために、原子力発電所をどんどん建てるべし という話になりかねない。(2040年に全車EV化を決めたフランスは発電の主力が原子力)
韓国の日本海沿岸に、中国の黄海沿岸に増大する電力需要に応えるために原子力発電所が立ち並ぶ。
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(日本経済新聞 2017年7月30日 朝刊 7面)
世界の電源構成
再生可能エネルギー 6.3%
石炭 40.8%
石油 4.3%
天然ガス 21.6%
原子力 10.6%
水力 16.4%
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宇宙太陽光発電システム(SSPS)について | JAXA|研究開発部門
宇宙太陽光発電
「宇宙空間に巨大な太陽電池とマイクロ波送電アンテナを配置し、太陽光エネルギーを電気に変換した後にマイクロ波に変換して地球上に設置した受電アンテナへ送電、地上で電力に再変換し、エネルギー源として用いる構想です。」
壮大な自然エネルギー発電です。地球上で太陽光発電を行うと大気の影響で効率がよくない、宇宙で発電して地上に向けてマイクロ波を送信し、受信した地上で電気に変換するという構想。
発電時に廃棄物が発生しない、地上での気候、自然災害の影響を受けないというメリットがある一方で、
宇宙空間へ打ち上げる費用、軌道上で建設、運用、維持する技術、マイクロ波の人体、電子機器への影響、寿命を迎えた設備の廃棄という課題があり、実現は遠そうです。
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米で特許 再現成功で「常温核融合」、再評価が加速 :日本経済新聞
ウランなど重元素の核分裂を用いる既存の原子力発電と異なり、核廃棄物は非常に少ない。
わずか数百度で核反応が進む
2015年4月、「東北大学電子光理学研究センター」に「凝縮系核反応共同研究部門」が新設された。
「凝縮集系核反応」とは、金属内のように原子や電子が多数、集積した状態で、元素が変換する現象を指す。
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「今の物理学の常識では、元素を持続的に変換させるには、1億℃以上のプラズマ状態の反応場が必要とされる。
フランスや日本などは、国際協力の下で「ITER(国際熱核融合実験炉)」の建設を進めている。
巨大なコイルによって、「1億℃」を磁場で閉じ込めておく手法だが、当初の目標に比べ、実用化は大幅に遅れている。」
一億℃を閉じ込めるという、漏れたらどうするの? と素人考えだけど思ってしまう。
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「凝縮集系核反応であれば、常温から数百℃という低温で元素が融合し、核種が変換する。」
核融合の際に発生する膨大なエネルギーを安定的に取り出せる道が見えてきたのではないか。
「重水素ガスを高圧(300~170パスカル)で圧入し、パラジウムと重水素を十分に接触させる。すると、ヒーターで入力した以上の「過剰熱」が観測された。活性化処理せずに同じ装置と条件で重水素ガスを圧入した場合、過剰熱は観測されず、その差は70~100℃程度になるという。」
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「アイシン精機やトヨタ自動車が出資している技術系シンクタンク テクノバは、大阪大学の高橋亮人名誉教授と神戸大学の北村晃名誉教授をアドバイザーとして迎え、神戸大学と共同で研究を続けている。
荒田名誉教授は2008年5月、報道機関を前に大阪大学で公開実験を行った。その際の手法は、酸化ジルコニウム・パラジウム合金を格子状のナノ構造にし、その構造内に重水素ガスを吹き込むと、常温で過剰熱とヘリウムが発生する、というものだった。」
「テクノバチームは、荒田方式をベースにニッケルと銅ベースのナノ粒子に軽水素を吹き込み、300℃程度に加熱することで1カ月以上の長期間、過剰熱を発生させることに成功している。」
「米議会の委員会は、「仮に凝縮集系核反応が実用に移行した場合、革命的なエネルギー生産と蓄エネルギーの技術になる」とし、「現在、日本とイタリアが主導しており、ロシア、中国、イスラエル、インドが開発資源を投入しつつある」との認識を示している。」
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部品点数の減少→雇用の減少(労働組合が諸手を挙げて賛成できない理由)
モーターにはガソリンエンジンのような内燃機関にあるバルブ、点火プラグ、ピストン、ピストンリング、ピストンの上下動を回転運動に変換するクランクシャフト、クランク、クランクピン、吸排気バルブを上下に動かすためのカムシャフト、バルブスプリングがありません。燃料をエンジンに送る燃料ポンプもエンジンの燃焼室に燃料を噴射する装置もありません。
モーターはコンパクトなので4輪駆動車のモーターを前輪、後輪それぞれに配置すれば、エンジンの動力を後輪に伝えるプロペラシャフトも要らなくなります。
モーターをホイールに内蔵すれば、エンジンの動力をホイールに伝えるドライブシャフトもホイールの上下動(路面に起伏があるから)に追従して動力を伝えるジョイントも要らなくなります。
部品メーカーの業態変換が求められることになります。
制御系の電機メーカー、電池の正・負極材、電解液、モーターの磁石、電磁コイルを供給する金属等素材、化学工業、関連資源の鉱山が有望になる。
日本は労働人口の減少でガソリン車を造り続けることは人手不足で難しくなる。
部品点数の減る(労働需要の減る)動力の電動化で人手不足をカバーできるのではないか。
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2040年以降、フランス イギリスはガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止するという。
ランドクルーザー(日)、ランドローバー(英)、ゲレンデヴァーゲン(独)は電動化できるか。
極地で砂塵、泥、岩、雪、氷と格闘する、砂漠、雪原、山岳地帯、紛争地帯での故障は死を意味する。
氷点下でも灼熱下でも砂、泥、雪、氷にまみれても耐えられる電動車を製造できるか、現実的な価格で実現できるか。
実現できなければ、EV化は先進国だけの話になってしまう。
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(2017年8月4日 日本経済新聞 朝刊 1面 15面 8月5日 朝刊1面 3面)
トヨタ・マツダ、500億円相互出資を発表
「トヨタ自動車とマツダは4日、10月に互いに約500億円を出資し、資本提携すると発表した。
トヨタはマツダ株の5.05%を取得し、第2位株主となる。
(マツダはトヨタ株の0.25%を獲得)
米国で共同で約1760億円を投じ、2021年をめどに年産30万台規模の新工場の建設を検討することでも合意した。」
『電気自動車(EV)や「コネクテッドカー(つながる車)」分野でも協業し、異業種を含めて競争が激しくなる次世代技術の開発を急ぐ。』
「トヨタとマツダはEVなど先端分野の開発から生産まで中長期の協力を進めるには、資本面の結びつきを強めることが不可欠と判断した。」
「トヨタはマツダとの連携を強化し、マツダが得意とするディーゼルを含めた従来型のエンジン開発で協力する。」
「逆に世界的なEVシフトで不利な立場に立ったマツダは足りない電動化技術を補完する。」
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トヨタとの協業からどんなZOOMZOOMな運転が楽しくなるモーター(電動)カーが生み出されるのか。
RX-7(1978)、ファミリア(1985)、ロードスター(1989)、アテンザ(2002)、CX-5(2012)に連なるマツダを象徴する車になるのではないか。
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マツダは従来のエンジン技術、デザイン力を磨いてきたことが提携につながった。
流行りのハイブリッドや電動に注力しても中途半端な立場ではトヨタ側にメリットがなく提携には結びつかなかったのではないか。
2008年のリーマンショックで社内から、販売店から、マツダもハイブリッドを開発すべきだ。マツダは遅れていると思われてしまうという声が起こる。
経営陣の判断は独自技術に注力すること、二兎を追う余裕はなかった。
ハイブリッドに方向転換して資金を投入したところで、10年以上販売実績のあるトヨタに追いつけるのか、トヨタ並みの経験も資金も時間もない、失敗は目に見えている。流行りに乗ることは自らの首を絞めることになる。
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燃焼の共通化
従来はエンジン排気量毎に最適設計をしていた。排気量毎に燃焼特性が違う。これでは解析に大量の人手と時間を費やしてしまう。
燃焼を究めてしまう、成功した機構と構造をそのまま拡大、あるいは縮小して大きなエンジンも小さなエンジンもつくる。
従来は他の排気量のエンジンの成功事例を通れずにいたために同じ苦労の繰り返しになっていた。
同じ生産ラインで2Lも1.3Lもつくる。
工作機が加工や組み付けをするためにシリンダーブロックを掴む位置二カ所を固定した。
どのエンジンも例外なく工作機から見てつかむ位置を同じにした。
それぞれの排気量の生産量が変動しても販売の増加した排気量の設備投資を新たに行わなくても柔軟に対応できるようになった。どの排気量でも同じ生産ラインで製造できるから。
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グローバル共通化は低コストではなかった。
フォード傘下の時代 フォードは世界規模で部品の共通化を進めた。
マツダ・デミオはフォード・フィエスタとマツダ・アクセラはフォード・フォーカス、ボルボS40、V50と部品の共通化を求められた。
その結果、マツダ内ではデミオ、アクセラ、アテンザの共通化ができなかった。縦の共通化ができなかった。広島県内の部品メーカーにもスケールメリットがなかった。
単一車種で採算をとるには年間20万台、30万台の販売数を求められる。
マツダにそんな車はなかった。トヨタ、GM、フォードのような大メーカーで通用する理屈でした。T型フォードのような単一車種大量生産販売で採算をとる手法でした。
フォードの傘下を離れたマツダは同じラインで多車種を生産するラインを再構築した。
多品種少量生産で採算をとるノウハウはトヨタにもメリットがあると見たのではないか。
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広島特有の事情
原爆投下後、マツダの社屋と工場は避難場所になった。
1945年8月6日 アメリカ軍は広島市に原爆を投下した。
マツダの工場は爆心地から東南東5キロと近かったものの、爆心地と工場の間にある標高70メートルの比治山が壁となって、広島市内のあらゆるものを破壊した爆風からマツダを守ってくれた。
とはいえ原爆炸裂直後からマツダの操業は停止。
広島市内の病院は壊滅していたため、マツダ付属病院が爆心地に一番近い病院となる。
マツダの社屋は、負傷者、行き場をなくした人々の生活支援を含め被害者救済の前線基地として開放された。
市内の建物はすべて崩壊していた。
広島県庁、裁判所、放送局、新聞社までも受け入れた。
戦後のある期間、マツダは行政を含む広島の中核的存在となった。
マツダと広島という地域の間には、単に経済合理性だけでは説明がつかないつながりがあるのではないか。
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住友銀行(現 三井住友銀行)頭取 磯田一郎「東洋工業(マツダの旧社名)はつぶさない。なぜなら、そうなれば地元経済が壊滅するからだ」
広島商工会議所が旗振り役となり 郷心会という組織をつくりこれが旗振り役となって「バイ・マツダ運動」を始めた。
マツダ車が一台販売されると、地域に販売価格の2.6倍の経済効果がある、地域貢献につながると広く運動を展開したという。
マツダは経営合理化のための人員削減には手をつけず、多数の社員を全国の販売店に派遣して販売応援にあたらせた。
(バイ・マツダ運動が本格化した1975年 マツダの旧社名 東洋 を持つ広島東洋カープが初優勝)
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広島県は予算として計上していた公用車の購入費用2700万円を補正予算を組んで約10倍の 約2億6000万円に増額。公用車760台の内、約4分の1にあたる200台をデミオと入れ替えた。
県の動きがきっかけとなり、市や町でもマツダ車購入の予算が計上される。
広島市120台、呉市20台
マツダ全体の生産台数からすれば微々たる数字であっても、地域の応援という心理的な援軍になったのではないか。
マツダも2001年 フォード傘下で行われた人員削減を繰り返す考えはなかった。
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メーカーとファンの行事に留まらず、地域から祝福される。そんなイベントになればいいと思う。
※この本で残念なところが一箇所あります。
122頁 「ユーノス800のターボ付きエンジン」と記載があります。
ユーノス800に搭載されていたのはリショルムコンプレッサーというスーパーチャージャー付きのエンジンです。
排気ガスでタービンを回し吸気側を過給するターボチャージャーはエンジンの回転数がある程度上がらないと過給圧が上がらない。
それに対して、クランク軸と連動してベルトで駆動されるスーパーチャージャーは回転数が上がる前、エンジン始動時から過給が始まります。
嗚呼勿体ない。