アメリカ人がアメリカ人に銃を向ける。外敵ではなく同じアメリカ人に向かって銃を乱射する。
学校で、公共施設で銃の乱射事件が起きるたびに銃を規制すべきだと提起されても、銃の所持は権利だと規制に反対する声が巻き起こり銃の規制は進まない。
けして銃を放さない。いつならず者が自分を、家族を襲うか知れない、そいつを撃つのは正当防衛だ。と
自分の身は自分で守る。そのはずだったのに、罪のない他人、家族に銃を向けてしまう。
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アメリカには専制君主がいなかったから一般市民が武器を所有しているのか?
アメリカは日本のような一般家庭に銃がない社会にはなれないと思う。時間がかかると思う。(日本は刀狩りから数えて400年の歴史があります。1588年秀吉の刀狩り令)
アジアでも欧州でも中世の専制君主(権力)は庶民が武器を持つことは政権を不安定にするので所有を制限しました。
アメリカには中世がなかったから、武器の所有を制限する専制君主がいなかったから庶民が武器を所有しているのではないか。
アメリカが専制君主制になって庶民から武器を取り上げるという状況は想像できない。
今すぐ銃の所有を禁止すべきだ と言い続けても国内世論が割れて埒が明かないのではないか。
寧ろ乱射事件が起きると自分の身を守ろうとして銃の需要が高まるから、ますます銃が社会に増えるという悪循環になる。
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アメリカでは不用意に懐に手を入れられない
お店で会計をするために懐に手を入れて財布を出すのは自然だが、道を歩いてるときに(偶々正面に人がいるときに)懐に手を入れたら、不自然だ銃を取り出すつもりだと勘違いされて撃たれるのではないか、正当防衛だとか言われて。
逆に日本でありがちな あおり運転は起きないのではないか、相手が銃を持っていたら自分が撃たれるとか考えて。
銃刀法のある日本よりも、武器を所持しても乱射事件を起こさない国の方が参考になるのではないか。
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武器の所持は「権利」のアメリカと武器の所持は「義務」のスイス
武器は自宅に保管するスイスの兵士
「国民皆兵のスイスでは、成人男性には兵役の義務が課せられている。
軍服、軍靴のほかライフル、手りゅう弾などが20歳になると配給され、その扱い方などは兵学校で学ぶ。兵役が「オフ」の時でもこうした武器を自宅に保管するのが一般的である。」
但し所有は軍、自宅に持ち帰る際は借りる というかたちになる。
退役後に所有するためには、過去3年の間に最低2回射撃訓練を受けたという証明が必要になる。
スイスの乱射事件はまれで、過去20年間で2件だけ。
CNN.co.jp : 数字で見る「米国における銃乱射事件の実態」
https://www.cnn.co.jp/special/interactive/35084348.html
銃乱射事件は主に米国の現象
「2016年の研究によれば、1966年から2012年にかけて起きた世界の銃乱射事件の約3分の1が米国で発生した。(90件)」
「米国の人口は世界の5%だが、そこで全ての公共の場で発生した銃乱射事件の31%が起きているということだ。」
銃乱射事件の多い場所 2000~2013年
職場45.6%、学校24.4%、政府施設10%、広場9.4%、住宅4.4%、礼拝所3.8%、ヘルスケア施設2.5%
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スイスは西欧諸国の中でも銃による死亡率が極めて高い(が ほとんど自殺)
「銃による死亡率が高いのは拳銃自殺の増加が大きく起因している。最新の統計によれば、10万人あたりの拳銃自殺者の割合は2.74。」
10万人当たりの銃による死亡者の割合は3.01だから、それに匹敵する高さだ。(アメリカは10万人あたり10.54人)
国民皆兵制を採用しているスイスでは、国民の銃所持率は世界でもトップクラス
連邦国防省の調べでは、人口830万人に対し個人所有の銃は推定200万丁。そのうち自治体で登録されている銃はおよそ75万丁だ。
銃は外敵と戦うためのもの
スイスの治安は向上している。
「警察の最新発表では、2015年の犯罪発生率は7%減少し、過去7年間で最低だった。
殺人で最もよく使われる凶器は、ナイフなどの鋭器だという。
銃を使った殺人事件あるいは殺人未遂事件の件数は、2012から2014年にかけ51件をピークに18件にまで減少した。ただし2015年には、その倍の36件と増加に転じている。
一方、2011年以降、銃による重傷者の数は横ばいで推移している。
重傷者のうち銃が原因となったケースは2015年で3%とごくわずかで、ほとんどの場合は刃物か身体的暴力ということ」
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銃の制限事項
「全自動(フルオート)の銃器所持は軍用目的以外禁止。フルオートを半自動に改造した銃器のほとんどもこれに該当。」
「重機関銃、レーザー照準器、暗視スコープ付き、サイレンサー付き、グレネードランチャーも民間人の使用は禁止。」
「スイス政府は、個人の悪用による明白な危険が存在する場合、または国際社会の決定、スイス連邦外務省が必要と認めた場合、一部の国の国籍保有者の武器取得、所持、取引を禁止することが出来る。」
ラスベガスの事件では銃に連射装置が付いていた。
連射機構はいらない、護身用なのだから軍用のスペックにする必要はない。消音装置もいらない(スナイパー 暗殺者じゃないから)
EUの対応
スイスは、シェンゲン協定(加盟国間の人の移動の自由を認めるもの)に加盟している。
スイスは銃規制法の一部について協定が定める規制と足並みをそろえるようEUから要請を受けた。
「これがきっかけで、国内ではスイスの自治と銃火器の慣習をめぐる激しい議論が起こり、規制強化に反対する銃器のロビー団体は、国民投票を強行すると息巻く。」
ロビー団体はEU案をそのまま通すなら国民投票で否決してみせるという。政府としては国民投票による否決という事態を招いてEUと事を荒立てしたくはない。
2017年9月、スイス連邦内閣はEUの規制の「簡素」版を審議会に提出。
「例えば半自動銃(弾丸20発以上を搭載できるマガジン付き)や、大容量で肩に乗せて撃つタイプの銃の保持を一部禁止するという内容だ。」
「ただ、EUの新規制に盛り込まれた銃保有者に対する医師の診断と心理学検査の実施、銃器登録制度への参加などは除外された。」
ロビー団体との妥協が必要なのはスイスも変わらない。事を荒立てるとEUとの関係が難しくなって元も子もなくなるという判断か。
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仮想敵国に囲まれているスイスと仮想敵国に囲まれていないアメリカ
19世紀の時代はフランス、オーストリアが、20世紀の前半はドイツ イタリアがスイスに攻め込むおそれがありました。21世紀の今、周囲の4カ国がスイスに攻め込むということは想像できません。
それでも国是として中立政策、国民皆兵は維持し続けるのだろう。
2001年12月2日に行われた国民投票で「軍隊なきスイス」が発議した軍廃止案は、賛成わずか22%で否決された。
「現在のスイスの国民軍制度は時代遅れであり、欧州にはスイスを脅かす軍は最早存在しないとの理由から、軍を廃止し志願者によるピースコープスを設立しようという平和主義団体・軍隊なきスイスの発議は、国民の5人に4人が反対票を投じるという圧倒的な差で否決された。」
サミュエル・シュミッド国防相「軍を廃止しても世界は今よりも安全にならず、ただスイスの安全を脅かすだけだ。」
2013年9月22日
徴兵制の存続について国民投票を実施した結果は、存続と決まった
国民投票の結果、73%という圧倒的多数で、且つスイス全州で徴兵制廃止が否決された。徴兵制が断固としてスイス国民に支持されていることが明示された。
軍隊を職業軍人に限定すれば、スイスが「北大西洋条約機構(NATO)に加盟することになってしまう」(兵士の数が足りないから)、集団的自衛権に取り込まれる危険性がある。という理由で徴兵制廃止は国民投票で否決されました。
(集団的自衛権で徴兵制になるというおかしな理屈が日本ではまかり通りました。スイスは集団的自衛権に反対するために徴兵制を維持したのですから、つまり個別的自衛権を維持するために徴兵制を選んだのです。
個別的自衛権=徴兵制なのです。
他国との軍事同盟を排除して、自国防衛を貫徹させるためには、市民自らが防衛の責務を担う徴兵制を必要とするとスイス国民は考えたのです。
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武器は外国と戦う手段という考えが根強いスイス、武器は外国と戦う手段とは限らないアメリカ
武器の保有は義務のスイス、武器の所有は権利のアメリカ
所有は権利、規制はまっぴら御免
銃をなくせと言ってもロビー団体が抵抗して暖簾に腕押しが続くのではないか。
J・F・ケネディ大統領 就任演説より
「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではありませんか。」
銃を所有する権利のためにどんな義務を果たすのかという話にしていかないと乱射事件は減らないんじゃないか。
それではまた。