最近の車は流行りなのかキャビンをコンパクトに見せようとして、ドアミラーの位置から後方に向かってドアパネルと窓ガラスの境目がせり上がってガラスの上下幅が狭くなっていくので斜め後方の視界がよくない傾向にあります。
ところが表紙を見るとこのジェイドは窓の上下幅がたっぷりとあり、視界のよい車であることが見て取れる。
試乗レポートやデザインインタビューでは、乗り心地、静粛性、低重心故の安定感の前に、いかに我慢や諦めから解放される存在であるかが語られる。
タワーパーキングに対応するために1530㎜に抑えられた全高、昨年のフィットの5回に及ぶリコール克服の過程で得たDCTのスムーズネス。
前席はセダンと同等の低いポジション、2列目はおもてなし空間として上級セダンをも凌駕する広さの左右独立キャプテンシート、3列目は普段は使い勝手の良い荷室でシートの存在を意識させない。必要なときに片側ずつ短時間であれば大人が座れるシートが現れるという4プラス2レイアウト。
全長は5ナンバーサイズでルックス、多様性、走行性能どれをも実現するために採用された超薄の燃料タンク、センターコンソール内蔵のバッテリー(ここにバッテリーがあるからフィットやグレイスのようにセンタータンクレイアウトを採らなかったのか?)、現時点ジェイド専用の直噴エンジン等の新技術、アイテムの数々。
上級車種のオデッセイは現行の5代目(モーターファン別冊第286弾)でリヤサスは半独立式のトーションビームとなったので、てっきりジェイドもトーションビームと思いこんでいたら、ダブルウイッシュボーンであった。ブレーキもディスク式。
1.5L、1.6Lクラスの国産車において後輪サスペンションはトーションビームでドラムブレーキが主流、マルチリンクやダブルウイッシュボーンでディスクブレーキというスペックを有するのは輸入車でなければスバルインプレッサかマツダアクセラぐらいであったが、ホンダが帰って来た。
比較試乗の相手はプリウスα、エクシーガ、プレマシーであるが、低重心という物理の法則には逆らえず乗り心地やハンドリングでジェイドの優位性が語られています。
ボリュームは80頁の500円ですが96頁540円にして、いっそのことセダンやステーションワゴン、輸入車も比較の俎上に載せて欲しかったので☆ひとつ減らしました。
グローバル展開を意図した新ジャンルの誕生、昨年のリコール騒動から転じて明るいニュースになってほしい。今後の展開を本書とともに見守りたいと思います。