nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

『ホンダ レジェンド』NSXとの関係はポルシェとアウディの様

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ポルシェ911は後輪軸の後方にエンジンを搭載し、現行モデル以前のアウディは前輪軸の前にエンジンを搭載していました。(現行モデルはエンジン搭載位置が多少後方に移動しています)フルタイム4WDクワトロの開発をはじめとした技術品質向上策でアウディメルセデスベンツBMWと並ぶ高級車メーカーに押し上げた立役者にしてVWグループの会長であったフェルデナント・ピエヒ博士がポルシェ博士の孫であるというポルシェ家とピエヒ家の縁戚関係も相まって、街でアウディを見かけるとポルシェがバックしてるとか言ってましたが、悪口ではありません。

駆動輪にしっかり荷重をかけて路面摩擦力を高め、発進、登坂時のホイールの空転のロスを防ごうという理詰めの考え方が共通しているのです。

 

本題のレジェンドは技術解説を読むと前輪はエンジンと1モーターの協調制御で後輪はエンジン駆動力を伝えずに左右別の2モーターで駆動する、という3モーター方式。

今後発売予定のNSXは前後逆のレイアウトです。

単独試乗レポートでは拘りのハイブリッドシステムを活かして、既存のセダンとは異なるダイナミック性能を後席のゲストの快適性を満足させながらも実現していることが語られています。

但し完全舗装されたコース内での試乗にとどまるため荒れた路面での快適性については言及するのが難しいと正直に語られています。

単独試乗の答えは比較試乗にありました。相手はすべてハイブリッド車で日産フーガ、レクサスGS、BMW5Msportに対してレジェンドのコーナーの速さとコントロールの自由さが語られています。ウェット路面では国産ライバルは言うに及ばず、さしものBMWも限界に達するのがレジェンドよりも早く、安心してスロットルを開けていけるのはレジェンドだけ、ドイツ勢を脅かす才能という…マジですか。

語られているネックは大きめの回転半径6mと245/40R19サイズの大径タイヤのあたりが荒いというほど悪くはないがハードめなこと。

メカニズム解説は18頁に及び(通常のモーターファン新車速報は8~10頁)パワートレーン、安全装備、パッケージ・ボディにそれぞれ4頁、シャーシー、オーディオ快適装備にはそれぞれ3頁が充てられ、試乗レポートで語られた性能を導き出す技術的背景が伺えます。バルブタイミング変更や気筒休止を担うVTECやモーターユニット、プラネタリーギヤ、スチールとアルミの結合部、シャーシー等のイラストも大きめです。

使い勝手チェックは7頁構成ですが、その内マルチユースディスプレイ(AV、ナビ、空調)に表示例も交えて見開き2頁を費やして解説しています。

 

ここで言いたいのはデザイン、ホンダのデザインインタビューでは、「地を這うボディに“男の紋章”」(第21弾 2代目プレリュード)、「燃える想像力から生まれた新しい“まとも”」(第35弾 3代目アコード)といった名コピーが生まれましたが、今回のレジェンドの「フラッグシップの誇りを魅せる」ってどこのメーカーのフラッグシップにも使えそうなコピーじゃないですか。一本のラインに込めた先進の個性とか宝石のような見え方とか各論とディテールが語られているけどノリがよくないなと思うのは私だけだろうか。

インタビュアーが乗りに乗っているときにいいコピーが出てくるのではないか。

70年代から80年代前半までの国産車に対する批評は、見かけはよくなったが中身はまだヨーロッパ車に追い付いていない。というのがあったけど、このレジェンドは“見かけが中身に追い付いていない”と言えるのではないだろうか。

「回転半径6mで文句あるか」「あるけど許す」というぐらいの力あるデザインがほしい。

発売から2週間経って本屋さんで平積みの山が低くならないのは、外観の写真が印刷されている表紙が本の購買意欲をそそらないからではないのか。

文字通り“羊の皮を被った狼”状態。せめて“シェパードの皮を被った狼“くらいにはしてほしいと思う。もったいない。

ホンダは日本メーカーで一番乗りでアメリカに工場を建て現地化が進んでいる関係上、アメリカの嗜好に合わせた車づくりをしてきた。その結果セダン系は日本、欧州で販売が芳しくなくなり、例えばアコードはかつて英AUTOCAR誌でフォードモンデオやVWパサートを押えてベストセダンにも選ばれたこともあるのに、欧州販売から撤退することになった。

アメリカで受けることばかり考えていたら、アメリカで売れなくなったときに売るところがなくなってしまうのではないか。

軽のNシリーズ、ヴェゼルやジェイドにホンダデザインの復活の兆しがあると思う。早くセダンにも波及させてほしい。

 

今後発売されるNSXで気になることは2モーターで駆動する前輪が操舵輪であること、

低μ路での回生制御の効率低下(発電による抵抗がステアリングの違和感になることを避けるために後輪でモーターを駆動させるレジェンドほど積極的に回生できないのではないか)やトルクベクタリング(左右駆動力の配分制御)の違和感が看取されないのか、「レジェンドがバックしている」では済まない技術的ハードルがあるのではないかと想像してレポートを読める日を心待ちにしている次第です。