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nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

武器や軍隊がなくなれば「平和」なんて嘘

本書の6章に刺激的な見出しがありました。

”武器や軍隊がなくなれば「平和」なんて嘘”

第二次世界大戦という人類史上空前の戦争も犠牲の割合という観点で考えれば、古代の部族抗争に較べればマシかもしれない。

世界大戦の死亡率は3%、対して部族社会は毎年人口の0.5%を戦闘で失っていた。もし人類が狩猟採集型社会のまま20世紀を迎えていたら20億人が戦死していたという計算になる。“

 

“戦争というのは国家が悪玉になって起こされると考えられてきた。

歴史的にいえば、国家の登場は暴力による死亡率を下げた。近代国家は確かに凄惨な戦争を繰り返してきたが、国家間の戦争の方が部族間の戦闘よりも死亡率が低い。“とある。

 

(信じ難い話だが、例として1994年にルワンダで起きたツチ族フツ族の抗争では100日間で90万人以上が犠牲になった。使われた道具はナタや棍棒、家庭用品や農機具や石。

戦車や戦闘機、ミサイルといった兵器を使わずに大量殺戮が行われた。

広島原爆の犠牲者は14万人(昭和20年 原爆投下の年時点)、治安が崩壊した社会での人間の殺傷能力は核兵器をも上回った。

この暴力を国連は抑えることが出来なかった。暴徒を武器で脅して制圧することは内政干渉になる。出動を要請する政府も機能していない麻痺状態では弱い側が狩られるのを見ているしかなかった。

平和維持軍は停戦の監視が目的だから先制攻撃などできっこない、武器の使用基準も厳しく正当防衛にしか使えない縛りがあったのだろう。平和維持軍にも犠牲者が出て撤退を余儀なくされた。)

 

“平和を作りだすためには暴力をコントロールする存在が必要となる、それが国家だ”という。

ネットの書き込みでは著者はサヨクとか揶揄されているがこれのどこがサヨクなのかね。

 

以下抜粋

 

戦争の民営化-イラク戦争では軍事会社に雇用された民間人が米軍の人員を上回っている。戦争の機械化―イラク戦争の米軍の犠牲者はベトナム戦争の10分の1 

(新聞には書かれない今進行しつつある新しい戦争形態の話があります。)

 

参考文献は引用した個所の下に記述があるので、巻末にまとめられるよりも使いやすい。これは編集者のセンスだろうか。

 

戦争を防ぐためには徴兵制?-男女平等で有名なノルウェーナチスドイツ侵攻の反省から戦後、軍備の増強と徴兵制(男子のみ)を本格化させた。

日本人の75.3%は絶対に戦争をすべきでないと考えているが、アメリカ人の75.2%は戦争は望ましくないがしなければならない時があると考えている。

ノルウェー人の87.6%は国のために戦うと回答するのに、日本人は15.1%に過ぎない。

 1億火の玉の中身はバラバラ

陸軍と海軍のセクショナリズムで作戦は別々に立てる。陸軍の中でも作戦課と情報部で別々に作戦を立てる。企業と軍事官僚の癒着。上司の命令に帳尻を合わせることに必死。

まるでどこかの電機メーカーみたい。日本人は戦前戦中から何も変わっていない。

 

大衆の要望に応える工夫と改装を重ねた結果としてディズニーランド化が進む海外の戦争博物館事情、(アトラクションやゲームまである)

 

加害に対する反省が足りないと批判される靖国神社の有就館も沖縄の悲劇を伝える平和祈念館も展示設計は同じ会社。

 

おちゃらけた表現に反射的に憤激してしまう読者は排除される。(読み進められない)戦争博物館の取材でディズニーランド化とかショッピングモールなんて不謹慎だ、K-POPネタについていけない、戦争の話ではないのか、エトセトラエトセトラ。

 

(自虐的平和主義は周辺国を無駄に強気にさせる。自信が自己陶酔の域にまで達すると周囲を無駄に警戒させる。どちらも争いの種になりかねない。

軍隊のない国家は鍵をかけない家のようなもの、威張り散らして有難迷惑を押し付ける相手とは距離を置きたい)

 

巡った世界の戦争博物館は56個所に及び、エンタメ性、目的性、真正性、規模、アクセスの5項目で著者個人の評価表が巻末にあり、

1位はドイツベルリンのザクセンハウゼン記念館でアクセス以外は満点となっている。2位はポーランドアウシュビッツ、日本では広島平和記念資料館が最も得点が高い、共通することは被害に関する展示であることです。

3位にランクされる韓国ソウルの戦争記念館は打って変わって戦意高揚施設でエンタメ度が高く真正度以外は満点となっている。

 

本書に掲載されなかったイギリス、スウェーデンのカラーガイドが発売されないものかと考えてしまう自分自身もエンタメ性を求めてしまう大衆です。

 

 

誰も戦争を教えられない (講談社+α文庫)

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