2015年9月26日 土曜日 日本経済新聞 朝刊 投資情報面
スズキ、保有株時価700億円減 提携解消 売却時期悩む
「独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題で株価が大幅に下落し、スズキが保有するVW株の時価が3月末に比べて約700億円目減りした。スズキはVWの439万7000株(発行済株式の約1%)を保有している。…
その記事の締めくくりが
今後、スズキもVW株を売却するとみられるが…中略…手にするキャッシュが想定していたより大幅に少なくなるのは避けられない見通しだ。」
この記事を読んだら、「スズキはいつVW株を売るんだ、含み損になる前に早く売ってくれ。」
と狼狽売りする動きもあるのだろう。
(報道の時点でスズキはVW株を売却契約済みで発表の準備中だった。)
★★★
スズキの保有株時価下落の報道の日経電子版の配信時間は9月26日 夜中の午前2時
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO92106700V20C15A9DTA000/
ドイツとの時差は8時間、日経電子版を見てすぐ連絡を取っても先方は25日金曜日の夕方6時だから間に合いません。
◆◆◆
翌日9月27日 日曜日 日本経済新聞
「スズキは26日、保有しているVW株をすべて売却すると発表した。 VWの筆頭株主、ポルシェ・オートモービル・ホールディングSEに売る。売却益は367億円にのぼる。…中略…25日(ドイツ時間)に株式売却契約を結んだ。…」
VW違法ソフトの最初の報道は9月19日
安保法制採決を報道各社が大きく扱う中で小さな扱いでした。
日本経済新聞 9月19日 夕刊 総合3面
「48万台に違法ソフト VW、米で2兆円制裁金も
米環境保護局(EPA)は18日、独フォルクスワーゲン(VW)と傘下の独アウディの自動車で大気浄化法違反の疑いが見つかったと発表した。…中略…排ガスに関する試験をクリアするために違法なソフトウエアを使っていた。窒素酸化物(NOx)の排出量が基準値の40倍に達する可能性があるという。…」
試験を検知するソフトウエアを使って試験中だけ浄化装置をフルに働かせ、走行中は浄化を止めていた。
世界で1100万台の報道に発展する事件も最初は48万台の話だった。
◆◆◆
因みに国産ディーゼルの浄化方式は
NOxは高温になるほど生成しやすい。
マツダは圧縮比を下げることによって燃焼開始温度を下げて窒素酸化物(NOx)の生成を抑えているので、後処理装置に頼る必要がない。
トヨタ、三菱は尿素水を車載しておき、排気系に噴射してアンモニア(NH3)を生成して窒素酸化物(NOx)と結合させて、N2(窒素)とH2O(水)に還元するという方法を採っている。
フォルクスワーゲンはNOx吸蔵触媒を使用している。吸蔵したNOxを還元する際に、尿素の代わりに燃料である軽油の余剰噴射が必要になる。→燃費の面で不利になる。
(ということは燃費が良かったら怪しまなければならなかったということか)
◆◆◆
9月26日(土曜日)時点、既に株を売却する契約は済んでいたが(9月25日締結 ドイツ時間)、件の報道を目にした投資家の中にはスズキ株を狼狽売りする動きが出ることも予想される。
今日は会社が休みだから月曜日にプレスリリース…なんてしていたら間に合わない。
土日でもネットで注文される。
http://www.suzuki.co.jp/ir/news/pdf/20150926news.pdf
HPの情報は9月26日(土)に更新されています。
経営には休みがないとつくづく思う。
報道を見たからではなく、契約締結 即 情報開示のルーチン化がされていることが狼狽売りを回避することになったと思う。
29日は3565円まで下げたが、10月1日は3759円に戻した。
それではまた。
VWと提携前に執筆された鈴木会長の自叙伝です。当時御年79歳 「週1回のゴルフ、海外出張も苦ではありません。8時間歩き詰めの工場監査のあとサウナに行き、深夜におよぶ宴会もこなせます。働くことが楽しいのです。休んで遊びたいとか、趣味をしたいという気はまったくありません。有給休暇は死んでから嫌というほどとれるのですから。」
巻末の語録に 「ハート・ツー・ハート」 とあります。「心と心が通い合うことが重要だ。」
2009年12月に提携を結んだVWとはハート・ツー・ハートにはなれなかった。
2011年に提携解消を申し入れたがVW側は拒否したため国際仲裁裁判所に仲裁を申し立て、2015年8月29日にスズキは裁定結果を受け取った。
VW側はスズキがVWのライバルであるフィアットからディーゼルエンジンを購入したことは契約違反であるとして損害賠償を請求するとしている。(できるのか?)
VW側が主張する契約違反をしないでVWからディーゼルエンジンを購入していたら、
2011年に仲裁申し立てをしていなかったら、提携はまだ解消されていない。
スズキは今 大変なことになっていた。
三本和彦「修さん」を語るという記事があり、
「お変わりありませんか」「変わりようがないんだよ」 面白いです。
VWについては とても堅苦しい会社だ、「約束を守らないんだ」「ドイツ人は守るでしょ」「俺もそう思っていたけど間違いの元だった」
ベストカーさん また来年続編を出して下さい。
ニューモデル速報 第521弾 新型ランドクルーザープラドのすべて
- 作者: 三栄書房
- 出版社/メーカー: 三栄書房
- 発売日: 2015/09/15
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
ディーゼルエンジンについてはアテンザやアクセラよりも解説が詳しい。