租税回避を行うアメリカの新興IT企業は、アメリカの教育、社会制度、インフラがあるからこそ誕生し、アメリカの国力を背景にして世界展開を成し遂げました。
アップルコンピョーター創業者 スティーブ・ジョブズの父親は今内戦中のシリアからの留学生でした。
シリアでアップルを創業することは不可能です。
アメリカ社会の法制度の下で創業されました。
★☆★
アメリカの社会制度に関わるお金の源泉はGE、GM、IBM、ボーイング、ハリウッドの映画産業等数えきれないほどの既存の産業の納税に依るものです。
アメリカ社会資本の恩恵を受けて起業し事業が発展したにも関わらず、租税回避によって社会への還元を避けて財源不足をもたらす行為が放置されれば、財源不足による社会不安で後に続く若者の育成や起業が困難になります。
企業活動の自由を根拠にして正当性を主張する立場もあります。
はたして自由を守ることになるのか?
財源不足で国内治安と国外での存在感の低下が危ぶまれる状況を自由というのは倒錯です。
自由と野放しを混同しているのではないか。
役員車は防弾仕様が必須、経営者や家族の誘拐事件が起きる。子供の通学は近くても車での送迎が必須、って自由?
行きつく先が停電・断水、道路の破損陥没等社会インフラの機能不全、教育レベルの低下による暴動やストライキ、汚職や脱税が蔓延って自由?
★★★
法人税率の低い国に会社をつくる。
本社からライセンスの譲渡を受けて事業を行う。
世界の拠点から事業で得た利益を集める。
そのほうが本社に利益を集めるよりも納税額が少なくて済む。
★☆★
アメリカに限らず、日欧先進国も同様の問題を抱えています。
世界から広く薄く(低税率で)お金を集めて少ない人口に行政サービスを行う。重工業を興さずに社会投資を抑制した租税回避国(だからこそ低税率)が、教育制度や社会インフラに投資整備して生産活動を行う国家から税収を吸い取る行為は、対価として社会インフラの低下や社会不安を輸出していると言えます。
国、自治体が教育・インフラ投資をしても、インフラは使わせてもらうが対価は回避する企業が相手では投資の回収はおぼつきません。
インフラは維持にもお金がかかります。
たとえ比率0コンマ以下何パーセントであっても、あなたの納めたお金もその費用の中に入っています。
財源不足分は誰が負担することになるのか、お金だけの話ではありません、社会不安も含めて誰が負うのか、先進国の住民です。
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租税回避をする場合、税金とは別建てでインフラ使用料を請求する。
納税するか、租税回避をしてインフラ使用料を払うか選択制にする。
営業活動で道路を歩く、営業車が走行するので道路使用料を請求する。
人を採用する場合は教育料を請求する。(回避するためには全員ロボットにするか、
入国滞在審査を通った外国人で占める)
訴訟を起こす際も、官公庁で手続きを行う際も別建ての手数料が請求される。
赤字だから免除ということはなく、経費が膨れるほど使用料が上がる。
税金とは逆の計算です。
納税と使用料とどっちが割高か?
そんなことするなら出て行く?
行き先はインフラのない国や治安の悪い国という訳にはいきません。
税率が下がってもそれ以上に経費がかかっては利益が出ません。
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役員車が防弾仕様ではない。経営者が電車通勤できる。子供が徒歩で通学できる。滅多に停電・断水が起きない。暴動やストライキが頻繁に起きない。識字率がほぼ100%。
方や役員車は防弾仕様が必須、経営者や家族の誘拐事件が起きる。子供の通学は近くても車での送迎が必須。
この2つの国の有効税率が同じということはありえません。
逆の状態で発生する費用を度外視して、税率だけに着目することは部分最適に他なりません。
それではまた。