映画館で観るべき理由
映画館の入場料が惜しいと映画はすべてレンタルDVDで見る人がいます。
経済的理由によりやむを得ない事情があるのではなく、経済観念で見ないという。
公開から半年経過してDVDがリリースされてから、映画館でみんなが見終わってから見る。遅れているとか気にしないという。
価値観は個人の自由だが、そのやり方が常に割に合うとは限らない。
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テレビの画面サイズで見ても差し支えない映画もある。
テレビドラマみたいな映画はテレビで見ても差し支えない。
一方で画面の作り方が劇場サイズを前提にした映画もある。
映画館スクリーンサイズの 面 はテレビサイズになると点や線になります。
面なら細部や色調を分解、解像できるが、点になったら分解、解像できません。
機械が超優秀で色合いを分解しても絶対的にサイズが小さいので人の目でわからない。
映画館で観てからおさらいでDVDを見るのと、初めて見るのがDVDでは映画館に行ったという事実以上に映像体験が変わります。
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「君の名は。」興行収入100億円突破 新海監督に聞く :日本経済新聞
なんだと シンゴジラを抜いて興収100億突破だと
これは観なくては。(ミーハーめ)
社会現象として体験しておかねば。
本作は登場人物の目線がカメラ目線のように描かれています。
東京の空も、糸守町の空も自分が見上げているような視点で描かれています。
太陽の光とビルの明かり。人物と水面に映る陰影、建物の中や道に差し込む光、木漏れ日と彗星の尾の色合いのゆらぎ。
閃光と陽光と暁光と曙光と残照と仄明かり、光芒と光閃、※光彩陸離な様を背景に登場人物とストーリーと音楽が一体化した映像に引き込まれる。
この体験はテレビサイズでは無理だと思った。
※光が入り乱れ、まばゆいばかりに美しく輝くさま。
家でテレビで視聴しても空を見上げる感覚は体験できない。
寝転がって見ても無理。「何やってるの?」と言われるだけ。
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当然ながら登場人物もテレビでは自分より小さくなります。
映画館サイズでは(実際には自分よりも大きいのを)等身大に錯覚します。
以下は(勝手な)補完が含まれています。
三葉は8年瀧を探した
カタワレ時に互いの姿が目の前に現れて、入れ替わっていたふたりの体と心は元に戻った。
瀧は3年前に三葉に託された組み紐を渡します。「今度は三葉が持ってて」
三葉は彗星災害から糸守町の人々を守る作戦を瀧から引き継ぎ、町長である父のもとへ走る。
山道を走り、町に戻るも力尽きて、つまずいて転倒して体が坂道で回転する。もうやめろと頑張れとの気持がない交ぜになる。
倒れて見上げた宙で彗星が割れたのが見える。糸守湖に割れた彗星が映っている。
……もう間に合わない、絶望が襲う、手のひらに名前を書いてもらったことを思い出す、最期に大切な人の名前を見ておこうと思う。
「すきだ」……「これじゃあ 名前わかんないよ」
「すきだ」 昨日「誰?お前」と言った人が 「すきだ」
心が高揚する、力が湧いてくる。
泣きながら笑って顔を覆って立ち上がる。
(このタイミングでよかった、名前じゃなくてよかった、瀧は何よりも伝えたいことを書いたんだ、「誰 あなたは誰」ハラハラしながら ”手のひら” と心で叫んだ俺は完敗した。)
二人が出会えたことの肯定感。
お互いを大事にしていたことは周囲の反応でわかる。
変だけど!違うけど!イケてる!なんかカワイイ!
自分は相手の一部で、相手もまた自分の一部であるような交感の日々。
何があっても生き抜いて再び会う。
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町長室に三葉の祖母、一葉と妹の四葉の姿がありました。
劇中では父 俊樹が一葉との諍いで家を出て行ったという経緯が描かれていました。
それでも三葉の話を聞いてほしいという一心で一葉は訪れた。
俊樹は二人から三葉の行動について聞かされます。
宮水の女は若い時に夢で入れ替わる。
義母 一葉も亡き妻 二葉も経験した。
三葉ではない何かが自分の前に現れた。
三葉の姿をしているが三葉ではない。「お前は誰だ」と言う。
(そういえば瀧は三葉の腕に「お前は誰だ」と書いたっけ もしかして似た者同士なのか)
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町長室のドアを開けてすり傷だらけの三葉が入って来た。
※「お前、まだ(いたのか ニセ者め)」言葉をのみ込んだ。
誰か ではなく疑いもなく娘の三葉だ。
三葉は町の人々を避難させてと願う。外を見てと言う。
窓の外に目をやると彗星が二つに分かれている。
今朝役場に来て面会を求めるという、学校の時間ではないのか、話を聞くと彗星が割れると言いだす始末、どうかしているに違いない、病院で診てもらったほうがいい。
「彗星が二つに割れるだと、世迷言は宮水の血筋か」と言った。
現実に割れている、自分の目で見ている、世迷言ではなかったのか。
父 宮水俊樹は町長の権限で町民を避難させます。
三葉の話をそのまま言っても町民は信じない。
避難訓練を実施します。糸守高校に避難して下さい。
「なんだよ、高校に避難しろと言って、待機しろと言って、また高校に避難しろって」
「(停電で)真っ暗だし、ここにじっとしていても仕方ねえし」
テッシーもサヤちんも今朝 彗星が割れるという話を聞いたときは半信半疑だった。
しかし目の前で現実になっている。本気でヤバイ!
最初に信じていないだけに反動が大きい、ヤバイという気持ちが伝染する、避難訓練と聞いたが避難訓練どころの騒ぎでは済まないほど殺気立つ。
消防団も出動して移動を急がせる。年寄りを運ぶ、幼子をおぶる。
隕石の落下で衝撃波が来る。校庭に立ってはいられない。校舎の中にいたらガラスが割れて破片が飛んでくる。みんな伏せろ。
※一葉の話を信じて「お前まだ(三葉の中にいるのか)」と言おうとしたのなら瀧の前途は多難かもしれない。
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8の符合
彗星災害から8年後に二人は再会します。
二人は夢で同じ時間を過ごしていると思っていました。
場所(空間)と体が入れ替わっても時間は同じだと思っていました。
年が違うことを知っていたら「てめぇ 三葉」というセリフは出てこない。
瀧が飛騨へ三葉に会いに行くと3年前に(17歳で)彗星災害で亡くなっていました。
瀧は彗星災害の3年後の世界から三葉と夢で入れ替わっていたのです。
三葉が東京へ瀧に会いに行くと夢で入れ替わる3年前(14歳、背丈が17歳の三葉と同じです)の瀧でした。知る由もありませんでした。「覚えてない?」「誰?お前」
傷ついた三葉は糸守に帰って髪を切ります。隕石落下の前日のことでした。
彗星災害の8年後、瀧は22歳、三葉は25歳です。
三葉は奥寺先輩と同い年? 三葉と同い年の女性が近くにいたということか。
その先輩は婚約指輪をはめていました。
三葉が社会人でも瀧が在学中の時点で出会えば(再会したら)障害もある。瀧が就職してからの再会が8年後になった。
あるべきところに導かれたのではないか。
そして三葉はヒーローになった。
変電所爆破の計画犯
テッシー、瀧
変電所爆破の実行犯
テッシー、三葉
元に戻って瀧の記憶は薄れていきます。「大事な人、忘れたくない人、忘れちゃだめな人、誰だ誰だ誰だ名前は」手のひらの書きかけの一本の線を見て「なんだこれ」「俺、こんな場所で何やってんだ?」
しかし三葉は名前を思い出せない悲しみを抱えながら彗星災害からの生き残りをかけて奮闘します。
隕石落下から町の人々の避難の記憶、崩壊した町から避難して父 祖母、四葉と4人で新たな生活を始めた記憶、大学進学で東京に出て就職するまでの5年間、そして就職してから3年目に瀧と再会します。
8年間強い気持ちを抱いていた。愛されたい、カワイイと言われたい、守られたいを超越した女になった。
瀧と再会して目が潤んでいる。でももうヒロインじゃない。
瀧 三葉はつおいぞ
※四葉という証言者がいて自分の記憶にないことを聞きもしないのに説明してくれる。
「隕石落下の日の朝、町長の娘が ”このままだと今夜みんな死ぬ” と言った」 と週刊誌に載ったが、オカルトじみているので世間ではスルーされた。盛り上がったのはテッシーだけであった。
サヤちん「しゃべったのあんたねっ」 テッシー「違うって」
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三葉と四葉の年の差は8歳。
彗星災害の8年後に四葉は17歳になっている。
8年前の三葉に似ているのか。9歳にして巫女の口噛み酒を生写真と動画をつけて売り出そうという発想からして女子高生起業家になっているのではないか。
15歳になれば印鑑登録ができる。父 俊樹のサポートがあれば可能ではないか。でも口噛み酒の販売は許さないだろう。
自分の口噛み酒を飲んで1200年前にタイムスリップする。自分が知らない言葉を話して驚くが抜け目のない四葉は神のように崇められるようになる。
(主人公が抜けていなくても周囲が抜けていたら主人公が振り回されてドラマになります。)
迷信深いのでみんな素直に四葉の話を信じて隕石災害から逃れるための避難を行いました。
1200年後には姉が人々を救います。
(1200年前 西暦816年は、日本の元号で弘仁7年。平安時代前期。第52代嵯峨天皇の時代であり、空海が高野山金剛峯寺を開創した年です。)
入れ替らないのか?
1200年前の人が現代に現れたら、目覚ましに驚き(早起きだから驚いて起きるのではなく起きてから驚く)、水洗トイレに驚き、テレビに驚き、車に驚き、電車に驚き、四葉の会社はメチャメチャになってめんどくさい。
因みに四葉が眠って夢を見ている夜の8時間は、1200年前は朝昼晩の16時間になります。ご都合主義ここに極まれりです。(自分で言うな)
睡眠は深いレム睡眠と浅いノンレム睡眠の交互の繰り返しです。
夢を見ているときはノンレム睡眠です。
夢で1200年前の先祖に憑依したときの四葉は一晩中ノンレム睡眠だったので、起きたら眠い。自分が1200年前糸守を救った記憶はなく「おかしいなぁ」
「お姉ちゃんの年下の彼氏、身近で会ったことがあるような気がする。東京の人だからそんなはずはないのに変だな」
(”早く起きない!” ”お姉ちゃん おーそーい” ※姉の方がのんびり屋さんのところがあるようです。姉の返事は「明日は私が作るでね」でした。
今日の朝食当番の姉が起きてこないと、早起きの四葉が朝食を準備しました。姉を寝かせたまま朝食を作りました、何てしっかりしている妹なのでしょう。父不在の宮水家を仕切っているのは四葉です、リーダーシップの資質ありです。)
※三葉は多感な時期に母を亡くし、父は家を出ていきました。
土地に根付いた神職の家であることも相まって狭い濃い世間の中で周囲からの同情とも好奇心とも言えぬ視線を感じて気を張りつめて生きてきました。
そんな三葉も瀧との入れ替わりの中で吹っ切れたのです。たまには抜いていいんです。
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瀧は隕石か
行動力がハンパない。
みんなを救うために テッシーと共作とはいえ、変電所を爆破する!
お前は隕石か!目には目を隕石には隕石をか。
この危機を救うには半端ではない行動力が必要だ。
三葉に対する陰口を聞いて机を蹴り倒したり、その片鱗を見せています。
三葉のままではここまでやらない。
未来からの入れ替わりが町を救う!
壊滅した町を見た後で、東京に帰る司と奥寺先輩を置いてひとり山中のご神体に向かいます。(フツーの人なら一緒に帰ってしまうぞ。)
あきらめられない。
このまま三葉が死んでしまっていいわけがない。
ご神体に辿りついた瀧は三葉の半分(祖母 一葉にお前たちの半分だと言われた)口噛み酒を口にします。(濃厚な間接キスではないか)
(瀧と再会して口噛み酒を飲んだと聞いた三葉は赤面して「あれを飲んだぁ!ばか、ヘンタイ!」)
(「えぇー(なんで)」一葉から”三葉の半分”と聞いた、”結び” と聞いた。何かの糸口になればと思った。)(作り方を知らない、”半分”とは”口噛み酒”のこととは知らないから ”ばか” だの ”へんたい” だの言われる理由がわからない瀧でした。)
3年前の三葉に替わった。間に合った。生きている。
何も躊躇することはない、何もおそれるものはない。瀧は行動する。
瀧の行動の前に立ちはだかったのは三葉の父 俊樹でした。「お前は誰だ」
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瀧は さんずい に龍です。龍は彗星を表しているのではないか。
宮水神社(三葉)に突っ込む彗星の隕石(瀧)
1200年ごとに巡る出会い。
1200年ごとに巡る出会い。
だから ”君の前前前世から僕は君を探しはじめたよ” なのか。(勝手に)
(JASRAC 220-4636-4)
1200年前、前世で瀧と三葉は彗星災害に引き裂かれた。一部の避難して来ていない人々を連れに瀧は戻り、帰らぬ人となった。
命は助かったものの記憶をなくし、名前も思い出せず、彷徨い糸守から去りました。
糸守に帰還した三葉の祖先一族は救えなかった人々と未来のために災厄の地にご神体を祀り、神社を建立しました。
それが繭五郎の大火で古文書諸共消失しました。
しかし、これもあるべきところに導くための過程だったのです。
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再会した二人の前に立ちはだかったのは俊樹よりも寧ろ四葉でした。
俊樹は自分を絞めた行為に対して乱暴な男ではないのかと娘の身を案じましたが、三葉を救いたい一心の、町の人々を救うための(テッシーもサヤちんも救いたい!)正直さ懸命さから来る必死の行為であったと男として共感したのです。
一葉の話のとおりなら、あの時、姉の中にいたのは「瀧さん」
四葉は反発します。素直に祝福する気になれない。「どうして一緒にいられるの!信じられない!」
そんな日々の中、四葉は夢を見ます。1200年前の夢を見ます。
朝、目覚めた時、わけもわからず涙が流れている。
二人はついに会えたんだと腑に落ちます。
二人の記憶がないことが無性に悲しく思えてきます。
一葉は諭します。これから二人が確かめ合っていくことだと。
四葉は8年前の話を封印するのでした。
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(なんで姉妹ふたりで1200年の歴史にしてしまうの?)
「三葉と四葉の母の名は二葉、二葉の母の名は一葉
一葉の母の名は? 一葉の祖母の名は? 君の名は」
(うるさい!)
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ネタばれ注意なんて書きません。
バレたっていいじゃないか。
公開から1ヶ月以上経って、世間には情報があふれている。
(海外から帰ってきた人はどうするんだ)
そんな3階から目薬みたいな話、1200年ぶりに巡ってきた彗星からの隕石が同じ所に落ちる話を見た後では知りません。
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エンドロールが終ってささやきが聞こえる。
「泣いちゃった」「泣くとは思わなかったのに泣いちまったよ」
一方で
「わかんない」「入り込める人でないと面白くないよね」
なんだと。 おばさんか(おじさんのクセに)
入り込めるつかみはあるでしょ、瀧と司と高木が一緒に弁当食べたり、放課後にカフェに行ったりするシーン。あこがれの異性の先輩。一緒に旅行行ったり(東京駅で待ち構える司と奥寺先輩を見た瀧が「なんで こんなとこにいるんすか!?」のシーンが超受けた)こんなことあるある、あったあった。(カフェなんて洒落たものはなくて喫茶店だった。)
そういう思い出はないのか。それとも完全に忘れてしまったのか。
「もの足りない」
なんだと。 中2女子か(なぜ中2と決め付ける)
おじさんはお腹がいっぱいになのに。(誰のおじさんだ)
中2がモノ足りないと言う……ハタと膝を打った。
そりゃそうだよね。なんたってこれからだもんね。
それではまた。(観に行こう)
(2016年12月13日追記)
12月12日時点の興収 205億円 歴代4位に
1 千と千尋の神隠し 308億円、2 タイタニック 262、
3 アナと雪の女王 254、5 ハリーポッターと賢者の石 203、
8 踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを閉鎖せよ! 173、
9 ハリーポッターと秘密の部屋 173、10 アバター 156
(興収額出所 興業通信社 日本経済新聞2016年10月25日13面)
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となりのトトロをリバイバル上映してほしい。(劇場の大画面で観たい)
今の子供たちはDVDでしかトトロを知らない。
映画館のスクリーンで見たことがない。
月夜の晩に トトロが庭でヴワッと言いながら引っこ抜くような動作をする。
芽がポンッと音を立てて出る。
芽がどんどん伸びて集まって一本の木になる様は覆いかぶさってくるようで、のけぞってしまう迫力がありました。
テレビサイズでは無理、再現不可能。体験できない。
宮崎作品数あれど、是非映画館で見てほしいと思うのは となりのトトロです。
ジブリアニメ「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」の公開は東映系でした。
2018年は となりのトトロ公開30周年です。