当選者が選挙中の公約を実行しないと「公約違反だ」とメディアに批判されるのが普通です。
しかしメディアは公約を実行することに懸念を伝えている。戦々恐々と見守っている。
選挙目的のほら吹きだなんて言いません。公約をどうぞ破って下さい。2016年11月8日は選挙公約の定義が変わった日になりました。
☆★☆
キレイ事を言う、タブーを口にしない=嘘つき という図式
人権が何よりも大事と言っているのに暮らし向きがどんどん悪くなるのはどういうわけだ。
人権と生活は別問題なのか。
失言をしないのは一生懸命自分を隠しているからではないのか。と疑われた。
テレビ映り、メディア対策のために服装やメーキャップに気を使う。
コンサルタントの手ほどきを受ける。
メディアに叩かれないように失言をけしてしてはならない。
将来の希望を語る。未来を語る。差別のない機会平等の社会を語る。もうたくさんだ、美辞麗句はもういい、どいつもこいつも同じだ、何も変わりはしないという失望が渦巻いていた。
☆★☆
フィリピンはなぜ怒っているのか。
(日本経済新聞 2016年10月27日 6面 から抜粋要約)
「米国に対してドゥテルテ氏が厳しい姿勢を持つきっかけになったのが、市長を務めていたダバオ市で02年に起きた爆発事件とされる。
米国人男性が宿泊していたホテルの部屋で、爆発が起きた。比当局は部屋にあったダイナマイトが原因と特定した。
FBI(米連邦捜査局)が観光客を病院から連れ出し、米大使館が用意した飛行機で許可なく国外へ連れ出した。
米大使はドゥテルテ氏に調査して説明するといったが14年経過した今も報告がない。」
「米国は我々を侮辱した」
人権だ法の支配だと言いながら自分たちのやっていることはなんだ。
2012年にフィリピンが実効支配していたスカボロー礁を中国が奪取した。オバマ政権はあからさまな介入を回避した。中国側の埋め立てが終わってから、航行の自由を守るといって艦船を派遣するというちぐはぐさ、埋め終ってからでは遅い、米国の安全保障政策に疑いを持った。(トランプなら自分のことは自分で守れと突き放すのだろうか。)
☆★☆
手を打つのが遅くなるほど犠牲は大きくなる。制御が困難になる。
現状回復のコストが多大になる。
忍耐と譲歩を重ねた結果が、北朝鮮の核実験、フィリピン、ベトナムに対する中国の圧力。
☆★☆
英首相チェンバレンがヒトラーに忍耐と譲歩を重ねた結果が第二次世界大戦。
気を許すなと警告したチャーチルは鼻つまみ者扱いされた。
平和を希求する国民と議会からドイツとの宥和策をとるチェンバレン首相は喝采を浴びました。ドイツが侵略戦争を始めると「あなたは去るのです」と議会で糾弾されました。
教訓を踏まえてケネディはけしてフルシチョフに譲歩しなかった。
☆★☆
美辞麗句を語らない、タブーを口にする。今までの誰とも違う。と有権者の期待を集めた。
メディアは一斉に批判に動いた。トランプの当選を阻止しなければ破滅的な結果を招きかねない、国家存亡の危機だ。
トランプ支持者をさげすむ。支持するなんてバカだ、どうして支持する人間が多いんだ、この国はバカがいっぱい、無知、低学歴という論調で火に油を注ぐ。
トランプ支持者をバカにするメディアも回答率※10%の世論調査の結果をもってクリントン勝利間違いなしと報道することが馬鹿げていることだとは考えなかった。
(「人間はみな自分の見たいと思うものしか見ようとしない。」ユリウス・カエサル)
※(日本経済新聞 2016年11月20日 14面)
「自動音声とオペレーターによる聞き取りを組み合わせた調査で自動音声の方がトランプ氏支持が強く出た事例があった」
「トランプ氏支持を人前で言いたくない心理が一部の有権者にあった」
「米国は日本と同様、コンピューターが無作為に抽出した電話番号に電話をかける手法が一般的だが、携帯電話利用者の協力者が極めて少なく、全体の回答率が10%を切っている調査もあるという」
「有権者全体の傾向を反映しない不安定な調査になっているという」
(記事より抜粋)
☆★☆
支持者はネタにされ揶揄されるから隠れトランプになる。世論調査にはクリントンと答えて実際の投票先はトランプ。
(夫のビル・クリントンは得票率43%でも当選した。妻のヒラリー・クリントンは得票率47.7%でも落選した。)
(国民が選挙人選挙で大統領選挙人を選んでその英知に委ねるという間接選挙制度、支持が1票でも多ければ州の選挙人を総取りする「勝者独占方式」をほとんどの州が採用しているため国民投票総数で上回っても、獲得した選挙人の数で負けてしまう。)
☆★☆
冷静に常識的、合理的に考えればそんなことはありえない という考えは傲慢。
常識的合理的である自分と同様に他人も考えるべきだ。他人の思考回路を自分と同じだと決めつける。
人間が常に常識的合理的に行動していたらマスコミも警察も裁判所も暇になります。
日本では「いくらなんでもそんなことはありえない」という考えは地下鉄サリン事件で雲散しました。
「いくらなんでもそんなひどいことをするわけがない」はあの手この手でバージョンアップする振り込め詐欺で霧消しました。
☆★☆
メキシコとの国境沿いに壁を造りその建設費用をメキシコ政府に支払わせる。
目を三角にして排他的だと批判する。「もう壁はあるんですけど、金属製の高さ5mの壁が」と誰も言わなかったのだろうか。
イスラム教徒の入国を禁止する。
アップルコンピューターの創業者スティーブ・ジョブスの父親はシリアからの移民です。
入国が禁止されていたらアップルがない。米国人の仕事がない。
テロリストだけではなく全イスラム教徒を敵にまわしてしまう。
それではテロリストの思うつぼではないか。
わかっていてわからないふりをして言っているのではないのか。
☆★☆
日本が防衛費を負担しなければ駐留米軍を引き揚げる。
人員を増強すると言っている。その上に国外に駐留する軍人を米国内に引き揚げたら国内に滞在する軍人の数が増える。米国内にある軍の費用を他国に請求することはできない。逆にアメリカの費用負担が増えることになる。
現政権が進めてきた独裁国家などの政権交代を促す政策を終わらせる。
タイの軍事政権に厳しい態度で臨んだ結果、タイは中国寄りになりASEANが分断された。
アラブの春で中東は混とん状態となりISが台頭した。エジプトでは軍事政権が復活した。
フランス革命は混乱の末にナポレオン皇帝が即位して帝政に戻った。歴史は繰り返すのか。
TPP(環太平洋経済連携協定)から脱退する。
中国主導のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)にアジア市場は組み込まれてアメリカははじかれる。
市場の6割を担うアメリカが参加しないならTPPは意味がなくなる?
日本、ベトナム、シンガポール、ブルネイ、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、ペルー、チリ、コロンビア、メキシコ、カナダで批准発効しておけば個別に交渉するより参加した方がメリットがあるのではという説得材料になる。
加盟国を結束させるための方便だったら策士です ってそんなわけないか。
グローバル企業とどう折り合いをつけるのか。
トランプもクリントンも選挙中は反対を表明していた。
トランプは最初から反対、クリントンはオバマの政策を継承する立場にありながら反対と言い出したので選挙対策ではないのか、就任したら覆すのではないかと疑われた。
☆★☆
「いかなる組織においても、いかなる企業であっても、トップが一般社員の20倍の給料を得るようであっては、それは誤った経営である。」
J・P・モルガン
行き過ぎた富の偏在が社会を分断してアメリカンドリームを破壊した。
公約がなんだ、人権人権、正義正義と言って暮らしが苦しくなるということは人権も正義もないという怒り。
何を言ってるんだ、何も変わらないよ、アメリカンドリームは生きているよ。とうそぶく連中に鉄槌を下した選挙だった。
選挙で負ければ言いっぱなしで終わってしまう。
選挙に勝てば責任が伴う。保安上の理由から家族の自由も制限される。
揶揄している場合じゃなくなった。
(文中敬称略)