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nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

悪人の目論みは悪人でなければ予測できない(善人・東條英機と悪人・ヒトラーVS悪人・チャーチル)

東條英機は善人(くそ真面目)だからあのような行動(前回参照)になったのです。

チャーチルは悪人だからヒトラーに対抗できたのです。善人は手玉に取られて騙されたのです。

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東條英機 座右の銘「努力即権威」

 

陸相を兼ね、内相を兼ね、一時的にせよ文相、外相、参謀総長も兼任する。すべては自分が責任を取り全身全霊を捧げて任務完遂の一念に燃える。

一に公務、二に公務、三、四がなくて五に公務

囲碁、将棋、麻雀、園芸、ゴルフ、映画、演劇、寄席などおよそ趣味、遊びはすべて「時間的に公務を妨害するもの」として排除した。

部下の報告は必ずメモに取り、いかに多忙でも、きちんと事項別、年月日別に分類して三個の書類箱に納める、その他に個人用として三冊の手帳も用意し6ヶ月毎に更新した。

遊事にさく時間も教養のために読書する時間もない。

 

甥の山田中佐が女の手を握ったと聞くと「バカ者め、戦局たけなわの時に何をやっているか」といって殴る。

酒も好き、芸者遊びをする、ダンスホールがよいもする。

東條大将にとっては身震いするほど嫌悪の対象であった。

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(昭和19年2月23日 毎日新聞 1面)

「勝利か滅亡か、戦局は茲(ここ)まできた」「竹槍では間に合わぬ、飛行機だ、海洋航空機だ」

人が真剣に竹槍に取り組んでいるのにおちょくるとは許し難い。書いた記者は懲罰で徴兵にしてくれる。

 

「勤王に二種あり。一つは狭義のもの、二つは広義のものにて、前者は君命是従うことにて、陛下より和平せよとの勅命あれば是従うことなるも、後者は然らず、国家永遠のことを考え、たとい陛下より仰せあるも、必ず諌め奉り、度々諫言し奉りて御許しなくば、強制し奉りても所信を断行すべし、余は是を取る」

思い上がりだ、不敬だ、逆賊だと思われても、当人は忠誠心の発露だと信じて疑わない。

 

悪いことをしていると思えば、このくらいで止めておこうと考える。

正しいことをしていると信じていたら、やめる必要を感じないので止まる処がない。

自分が正しくて相手が悪いと信じ込んでいたら諍いが絶えないのです。

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ヒトラーが勝利すればユダヤ人、ジプシー、精神・身体障害者、同性愛者は生存が許されない。ドイツ人が東欧、ウクライナに入植し、スラブ民族は追放される。

 (「国外追放とは粛清を指す。」 ナチス親衛隊中佐 アドルフ・アイヒマン)

 

善人は顔をしかめます。なんてひどい妄想だ、そんなバカなことがあるわけがない。

ドイツと宥和すべきだ。和睦すべきだ。

 

善人の限界でした。善人は悪いことを考えないのですから相手がどんな悪だくみをしているのか予測することができません。

 

チャーチルは説きます「いま、平和を目指せば、戦い抜いた場合よりもよい条件を引き出すことができるという考えには根拠がないと思う。ドイツ人はイギリスの艦隊を要求するだろう、武装解除という名目で。海軍基地なども要求してくるだろう。

イギリスは奴隷国家になるだろう。(中略)ヒトラーの傀儡となるイギリス政府が立ちあげられるだろう。そうなったら我々はどうなるか?」

次なる侵略の手先にされる。民族浄化の手先にされる。

ドイツとの交渉を拒絶することによりイギリスに大量の戦死者が出る。戦い続けることはさらに悪い結果となるだろうが、降伏はさらに悪い結果をもたらすだろう。

 

第一次世界大戦の戦死者3700万人、イギリス人の戦死者100万人

第二次世界大戦の戦死者6000万人、イギリス人の戦死者50万人

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イギリスが降伏したら、アメリカ軍はもう欧州に来ない。

 

イギリスという橋頭保を失って大西洋を挟んで欧州各国の兵器を手中にしたドイツと戦うリスクを冒せない。

アジア単独の軍事国家の日本とは違う。(平時の国家予算の30%が軍事費)

ドイツは周辺国でも軍需産業が発達している。

 

イギリスが屈服すればユーラシア大陸ヒトラー或いはスターリンが支配することになる。

 

※イギリスの戦費調達のアメリカへの借金返済は2006年まで続きました。

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チャーチル フランス戦艦の撃沈を命令す。

 

海軍は反対する。力の行使や脅しは悲劇をもたらし、フランスをイギリスに敵対させる公算が大きい。と主張する。

 

チャーチルの考えでは、ドイツがフランスの戦艦を手に入れたら、イギリス本土を守り切ることができない。

イギリスに入港するか、カリブ海に去るか、さもなくば沈没させよ。

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善人の解釈ではドイツ人がすぐにフランス戦艦を操艦できるわけはないから差し迫った脅威ではない。

悪人の解釈ではドイツ軍がパリに入城した時点でフランス海軍に選択の余地はない。フランス国民が人質になっている。フランス戦艦のマストにナチスハーケンクロイツの旗を翻らせてフランス人が操艦するという屈辱的な目に遭うことになる。

 

フランスの水兵たちはイギリス軍とともにドイツと再び戦うことになると信じていた。

しかし、もう遅かった。選択の余地はなかった。ドイツ軍のパリ入城前にイギリスに入港するかカリブ海に去っているべきだった。

去っていれば捲土重来を期することができた。

 

イギリス軍機が上空に現れ港の入口に機雷を落とす。

イギリス艦隊の艦長が武装解除の交渉に赴く、フランス海軍は渋る。

 

チャーチルの電報「問題を早急に決着せよ」

 

フランスの水兵たちの運命はきまった。戦艦フッド、ヴァリアントの砲撃がはじまり港の艦隊は沈没、使用不能となった。(戦艦ブルターニュ撃沈、戦艦ダンケルクプロヴァンス座礁、戦艦ストラスブール駆逐艦6隻は脱出に成功する。フランス側の犠牲者1187名)(脱出したストラスブールはドイツに利用されることをおそれて自沈した)(被害の状況からするとイギリス海軍は本気で攻撃できなかった。)

 

チャーチルの後日談「あれはおそろしい決断だった。国を救うために自分の子供の命を奪うようなことだった。」

メルセルケビール(地中海アルジェリアの港)で非情にふるまった翌週にバトルオブブリテン(ドイツのイギリス侵攻)が始まった。

チャーチルの判断の正しさが証明された。

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イギリスはけして屈服しない。そのために必要なことは何でもやる。

戦いにおける容赦のなさ、他のどんな政治家にもない図太さ。

善人 真面目でいい人はこんなことはしません、できません。

 

フランス戦艦を沈めた翌日、下院議員たちは歓呼の声で議事日程を振りかざした。

ドイツに敵うわけがない、抗う術がないと誰もが思っていた。でもこの首相の下なら戦えるかもしれない。と軍も議会も国民も光明を見た。

やがてドイツは根負けして軍をソ連に向かわせることになりました。

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東條英機 遺言の一節「質実剛健だけの教育は、硬直に過ぎて駄目である」

東條大将のようなマジメ人間は今もいます。