nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

「ちっちゃいこと」 に命をかけないでほしい

命をかける という言葉を簡単に使っていないか。

「契約・注文を取ることに命をかける。」   

「この話は嘘じゃありません、本当です、信じて下さい、命をかけます。」

「絶対だな、命かけるな、いいな。」

 

昔は命をかける価値があることに命をかけられていたが、今は命をかける程のないことでも 命をかける と言っているんじゃないか。

昔は命を狙われた、本当に命がかかっていた。今は誰にも命を狙われていないのに簡単に「命をかける」と言う。

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幕末の日本は立場・意見を表明することには命がかかっていた。

幕末明治の日本は独立を保てるか植民地にされるかの瀬戸際で、立場・意見の相違で暗殺されていた。立場・意見を表明することには命がかかっていました。

朝廷の勅許を得る前に日米修好通商条約を締結したことで幕府の大老 井伊直弼は違勅であると非難されました。

幕府の内部抗争に端を発した安政の大獄(将軍の跡継ぎ問題で紀伊家の徳川慶福(家茂)を推す派と水戸家の徳川慶喜を推す派(一橋派)の対立があり、勅許を得る前に条約を締結したことを理由に一橋派が武力で政権打倒を企てていたことが発覚し、幕府は関係者を厳しく処罰しました。)による反発から脱藩した水戸藩士らが桜田門外で登城する井伊直弼を暗殺しました。(桜田門外の変

 

勅許を待って時間を浪費している猶予はありませんでした。

 

清とのアロー戦争を休戦にした英仏が押し寄せる前に米国と前例をつくる必要がありました。

弱肉強食の時代でした。砲艦外交の時代でした。

米英仏露に力任せで開国を迫られたら、攘夷派が反発して外国船、外国人を襲いかねません。

それを口実に列強は近代兵器による武力行使で日本を植民地にしてしまいます。

列強に対抗する力を得るためには、不本意な条約であっても貿易によって近代兵器を手に入れるのが先でした。

 

歴史は残酷でした。幕府が稼いだ時間で薩長は武器を買い、製造し、抵抗し、外国から面倒な相手と見られることに成功しました。

世界の海千山千に対抗するには海千山千の薩長(失礼)が政権を握るのは歴史的必然でした。

薩長に嵌められるような幕府(失礼)では19世紀の日本は世界の海千山千に対抗できませんでした。

 

 あの時、開国をしなければ日本はアジア諸国や清の二の舞いになりかねなかった。

だから豪徳寺(東京都世田谷区豪徳寺2-24-7)の近くを通る時は立ち寄って井伊大老の墓前でお礼をします。

 

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閑話休題

「契約・注文を取ることに命をかける。」 

 ハァ…… 幕末は自らの決断と行動が何千万の人の命と生活がかかっているとの使命感で命をかけていました。

あんたが注文を取ることが何千万の人の命と生活に影響するの?

注文が取れなかったからと言って何をするわけでもありません、命をかけるの言いっ放しです。何かされても迷惑だし。

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「この話は嘘じゃありません、本当です、信じて下さい、命をかけます。」

 自分で見たの?聞いたの?えっ人伝(ひとづて)に聞いた話?それに命かけちゃうの?あんた命いくつ持ってるの?

 

自分で見たって?どうやって見たの?中に入れたの?不法侵入じゃないの?入ってないって?壁やカーテンを透視できるの?壁の向こう側の会話が聞こえるの?想像だけど間違いないだって?

中々信じてもらえないから、つい命をかけますって言ってしまっただって?

 

簡単に「命をかける」と言う人は “おっちょこちょい” なのです。

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「絶対だな、命かけるな、いいな。」

 

子供の遊びなら実際にかけるのはメンコやカードでした。

これを大人がやったらシャレになりません。

「命をかける」と言う上司は要注意です。

実際に命をかけるのは本人ではなく、命をかけさせられるのは部下だからです。

 

夜中、明け方に携帯、メールで呼び出される。俺が起きてるのに寝てるんじゃない。俺の体は俺のもの、他人の体も俺のもの、自分のタフネスと他人のタフネスは同じに決まっている、他人と自分は違うなんて考えたこともない。夜泣きをする赤ちゃんと同じです、でもちっとも可愛くない。

朝、昼の業務時間中になぜ指示を出せないのか、昼間は寝ているのか、寝不足で朝昼は集中力が落ちているのではないか、頭がフル回転していないのではないか、夜中になってからようやく頭がフル回転し始めてまわりを引きずり回しているのではないか、それは上司の失敗です、自分の失敗を部下にカバーしてもらおうとしているのです。

 

威圧的な態度を取るのは弱みがあるからです、弱みを隠すために威圧的な態度を取るのです。こんなことを続けていたら仕事の質が落ちて顧客に迷惑をかけることになる、その結果、会社の信頼が損なわれる。失敗の責任はしっかり取らせたらいい。

 

ただし愚痴は言わない

 頑張っていますとアピールする、無茶な仕事をさせられている(仕事の進め方とは言えないやり方)ことが周囲にも上の上にもわかるようにする、外部に影響が及ぶ失敗しそうな仕事の振り方をしたのが誰なのかわかるようにする。

 

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火のないところに煙は立ちませんだって?

 火がなくても煙は立ちます、噂の発信者による噂を信じさせるためのセットツールが「火のないところに煙は立たない」だからです。

「火のないところに煙は立たないって言うじゃありませんか」「その話、誰から聞いたの?」「それは言えません」(お前やあ)

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”ちっちゃい”ことで「命をかける」と言われたら眉つばものの話と考えた方がいい。

そこまで言うのなら信じようなんて考えてはいけない。

人の悪口なんかに命をかけないでほしい。そんなに軽い命なのか、自尊心はないのか。

 

人生をかけていると言い換えてみる

 

「この競技に人生をかけている」「この仕事に人生をかけている」と言われると共感したくなる、そういうことに出会えたことを羨ましく思う。

「人生をかけている」を「命をかけている」という言い方をする人もいる。「陸上に命をかけている」「野球に命をかけている」道を究めたい、奥義を究めたい、技術を究めたい、達成して喜びを分かち合いたい、真摯に取り組んでいる、そういうことに命をかける(人生をかける)という言葉を聞くと嬉しく思う。