nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

「太平洋戦争」も「大東亜戦争」も戦争の一部しか反映していない呼称

太平洋戦争 と聞くと戦った相手はアメリカだけ?

大東亜戦争 と聞いても東アジアだけ? 「大」を付けたから南アジアもシベリアも太平洋もインド洋も含むことになるというのは無理があります。

 

日中戦争の呼称の変遷

 

1931年9月の柳条湖事件時は「満州事変」と呼ばれました。

1937年7月の盧溝橋事件時は「北支事変」、その後「支那事変」と改称されました。

 

1941年12月に始まった日米戦争は、内閣情報局によって「大東亜戦争」と名づけられました。

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戦後 連合国総司令部GHQによって「大東亜戦争」の呼称は禁止されました。侵略戦争を肯定する意味合いがあると。

だからといってGHQが「太平洋戦争」を薦めたわけでもない。

戦時中は陸軍は「大東亜戦争」を使い、海軍は「太平洋戦争」を使ったがGHQが前者を禁止したために後者が残り、教科書でも使用されるようになりました。

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戦場は東アジア、東南アジア、南アジア、オセアニアシベリア、太平洋、東シナ海南シナ海、インド洋…です。太平洋、東亜の範疇にとても収まりません。

 

相手国はアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フランス、オランダ、ソ連、中国です。

今なら米中露3大国が相手国です。最初は中国だけが相手だったのに、三国を相手にするつもりはなかったのに国家間の連携で三国が相手になってしまいました。

大陸の権益を巡って米中と、石油の確保に動いて英仏蘭の植民地に攻め込み、米英ソの連携(ヤルタ会談)でソ連と戦争状態になりました。

多方面に数多の敵を迎えることになりました。(日本軍に本土に攻め込まれたのは中国だけ、大陸の権益を追う内に、ひとつ手を打つ内に自らの包囲網を築いてしまっていた。)

 

西暦1年の世界だったらローマ帝国と漢を相手にするような話です。

16世紀の世界だったらイスパニアイングランド、神聖ローマ、ロシア、トルコ、明を相手にするような話です。

19世紀の世界だったらイギリス、プロシアオーストリア、ロシア、トルコ、清を相手にするような話です。

 

こういうことをする国は二度と現れないんじゃないか。

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戦場を反映する言葉は「アジア太平洋戦争」

実態を反映する言葉は「包囲網構築戦争」

中国大陸の権益を巡って米中と対立し、アメリカの石油禁輸措置を受けて石油の確保のために東南アジアの油田を巡って英仏欄と対立し、ドイツとの同盟で(ドイツがソ連に攻め込んだため)日本はソ連を敵に回し(日本の真珠湾攻撃でドイツはアメリカを敵に回し)お互いに自らの包囲網を構築し合った。

同盟を結んだのに目標が共有されていなかった。同盟って何?

 

自らを包囲する包囲網を構築しようなんて誰も思わないのに構築してしまった。

国家戦略がなかった、戦略を築くことができなかった。戦略的であろうとしても面子や感情論に流されてしまう。

「太平洋戦争」「大東亜戦争」という呼称では実態がボヤけてしまいます。

 

それではまた。