戦後の日本の教育は、詰め込み式教育と言われます
敗戦からの復興、復興後は欧米に追いつけ追い越せになりました。そのためには知識が第一だと詰め込み式の教育が行われました。
高度成長期において、子供たちは大企業に就職することや公務員になることが正解とされ、そのためには有名大学に進まなければならないと言われました。
知識を詰め込む量を競い合い、心の安らぎ ゆとり を失っていった結果、校内暴力、非行、いじめ、不登校、落ちこぼれ、が社会問題になりました。
思った成績を上げられずに自殺したり、成績のことで叱る親を子供が殺害する事件も起こりました。
受験“戦争”といわれました。その名の通り死人が出ました。
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国の対応
「個性重視の原則」「生涯学習体系への移行」「国際化、情報化など変化への対応」(1993年度施行学習指導要領)
ゆとりの無さ、社会性の不足と倫理観の問題、自立の遅れ、健康・体力の問題が指摘され、その上でこれからの社会に求められる教育の在り方の基本的な方向として、全人的な「生きる力」の育成が必要であると結論付けた(1996年(平成8年)中央教育審議会 第1次答申)
「生きる力」を重視し、完全学校週5日制実施とともに学習内容や授業時間を削減する、「ゆとり教育」をスローガンとする学習指導要領(1998年)が成立した。
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個性を尊重することと格差をなくすことに努めようとした。
個性を尊重し格差を無くすとは 授業を減らすことだった。
それでは子供の学力が下がるのでは?と危惧された。
私立受験熱や親の心配を見越した学習塾の勧誘を煽ることになり、却って教育格差を生み出すことになってしまった。煽られた家庭の子供には ゆとり はなかった。
個性の方は?
勉強ができないことも個性のひとつになった。マジかよ。
“ゆとり教育”って本当に大丈夫なの?と言われました。
政治家や官僚(文科省)の子供は“ゆとり教育”を受けたのだろうか?
私立は、ゆとり教育を導入する義務はありません。私立に入れてたりして。
従来の詰め込み、画一的教育を反省して、子供の個性を伸ばすことに重点を置き、ゆとりを作るため主要科目の授業時間を減らし、そして、個性を伸ばそうと課外授業を設けました。
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マジヤバイ ゆとり教育世代―スポーツも頭脳も(個性=個の力)
井上尚弥(WBAバンタム級王者17戦全勝15KO(世界戦で11KO)、メジャーリーグの田中将大 大谷翔平、サッカーの香川真司、テニスの錦織圭、フィギアスケートの浅田真央 羽生結弦、体操の内村航平、水泳の池江璃花子、陸上の桐生祥秀、プロ棋士の藤井聡太
12歳で起業する小学生、国際プログラミングコンテストで優勝する大学生
知識の詰め込みをやめたために、得意なことに打ち込む時間ができた。
個性(個の力)を引き出すことにつながり、天才の輩出に結びついたのだと思う。
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個性=個の力ではなく 単に他人との違いと勘違いもされた
誘惑に負けて自制心がないという“個性”を伸ばした。その親はモンスターペアレントと呼ばれました。
“個性的”に育った彼らは社会に旅立っていった。
しかし企業は“個性的”な学生を欲していませんでした。
飛び抜けた発想力を持つ学生を欲していましたが、ゆとり教育を勘違いして育まれた個性とは別物でした。
しかし、彼らは自分の意見を通すべきだと信じた。他人と同じことをすることを屈辱と感じた。
学校時代は教師が許したが(モンスターペアレンツがうるさいから渋々)、企業では受け入れられなかった。
社会人になってから初めて味わう挫折。すぐに会社を辞める。
そして企業側の詰め込み教育世代のおじさんおばさんは煩わしいことだと「ゆとり世代」とレッテルを貼りました。
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国際比較テストの順位が落ちたのは“ゆとり教育”のせいだと是正を求められ、2011年 学習指導要領は改定されました。
画一的、平均的に固めてしまって天才が輩出されなくなると日本は国際競争に勝てなくなる。
“ゆとり教育“が失敗といわれるのは 個性の意味が 個の力 ではなく 人と違うことだと勘違いされたから。
天才の輩出を喜んでいられるのは今のうち、“脱ゆとり教育”は失敗だった。ということにならないように。
それではまた。