「東京地検特捜部は19日、仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の会長を兼任するカルロス・ゴーン容疑者を金融商品取引法(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕した。」
報酬を50億円過小申告した疑い。
一種の粉飾決算ではないか、どうやって数字の辻褄を合わせたのか、会計士は見抜けなかったのか。
私的な目的で投資資金・経費を支出。
業務上横領(刑法)、特別背任(会社法)というフレーズが浮かび上がる、有価証券報告書の虚偽記載だけでは済まない、止められなかった会社側は善管注意義務違反、ガバナンスが働いてないという話になる。
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モノを言わない日本人
権限の集中が原因だと国内外のメディアが報じているが、権限の集中は原因ではなくて事象です。
原因はどうして権限が集中したのか。
日産は経営危機の時に富士銀にも興銀にも見捨てられ(バブル崩壊の後遺症で救済する資金力がない)、お金が回らなくなって窮地に陥ったところでルノーの資金注入で生き延びて、ゴーン氏の剛腕で復活したら、神様仏様ゴーン様になって権限を差し出して権限を集中させて人事権をがっちり握られてモノが言えなくなった。
要求するゴーン氏もびっくりしたんじゃないか、えっ通っちゃうの。
将棋倒しになる日本人、将棋の駒は日本人の国民性を象徴している。
ひとつの方向に一斉にみんなで走る国民性はあたかも将棋倒しのようです。
裏返して成り金、敵陣に入った飛車角は龍王になって王より強い(中国大返しの秀吉、秀吉と和睦して秀吉の死後、天下を獲った家康)、対戦相手から取った駒は自分の駒として使う。
チェスの駒は将棋の駒のように倒れないし、取った駒を自分の駒として使うことはできない。
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ゴーン氏のルノー評
「ルノーではさかんに会議が行われて、人々は熱心に議論します。これはラテン気質の表れでしょう。ただ、その会議は延々と続き、いつまで経っても終わらないのです。」
「つまらない細部にこだわり、優先順位の感覚がなく、また実行しようという意志が見られませんでした。」
「行動や具体化よりも、理論や知識が尊重されるのです。」
「まず実践的な行動よりも、自分の知識や考えを披露することに力が注がれるのです。」
「どの材質は何度で溶融するかといったことを語ってみせたり、それに関心を示したりといった議論を行うことを得意に感じるとことがあり、何をなすべきかについては考えようともしないのです。」
ルノーじゃなくても、フランスじゃなくてもあるんじゃない。どっかの東洋の国でも。
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日常業務は苦手だという
「厚かましいと同時におおらかです。官僚的な集団ですが、大事なときを迎えると熱くなれる人々です。」
「逆にいえば何かに魅了され、情熱をかき立てられてないとだめなのです。」
「日常とは違った大冒険―ルノーの社員を動かすのはこれです。」
賭けに出て攻めてないとだめということか。
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こうるさい連中だらけのルノーでは蓄財ができなかったのではないか
カルロス・ゴーン容疑者、クレッグ・ケリー容疑者、二人だけでできるわけがない、送金処理、会計処理の実務でモノも言えずに関わったのか、全然おかしいと思わなかったでは済まない。おかしいと思いながらも渋々と従ったのか、無関心になってあきらめたのか、あきらめ切れずに内部通報を決心した人もいた。
金の流れの“見えない化”で他の役員が気付けない仕組みが構築されていたのか。
解明と防止策の公開が待たれます。
(日本経済新聞11月22日朝刊1面)
見限った幹部ら
ゴーン会長の右腕とされた元日産副社長のアンディ・パーマ氏
今の肩書は英高級自動車、アストンマーチン社長。
「ゴーンさんがいたら、いつまでもトップになれない。」4年前、日産を去る前にこう漏らした。
同時期 ルノーでポスト・ゴーンが確実視されていたカルロス・タバレスCOOが仏PSAに移籍。
「日産の先行きを心配している。」 現実になった。
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トップが代われば蓄財がバレる
代わることはできない、蓄財のお友達しか後継者にできない。
でもお友達にしようとしてカラクリを明かしたら告発される。
延々と君臨するほかなくなった。
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不正検査も不正会計も日本人がおとなしいから
工場の設備投資、人員をコストカットして、生産ノルマの発破をかけられて現場がヘトヘトでも文句を言わずに黙々と作業をする日本人。
どうにも回らなくなって、検査をスルーしなければ生産ノルマを達成できない状態に追い込まれた。
ルノーだったら遵法意識以前に、こんなの無理!と組合も従業員も文句を言って、抗議して設備投資や増員が行われて結果的に不正にならないんじゃないか。
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会社はコストカットして私生活はコストアップ
蓄財するなら、私生活をコストアップするなら開発費にまわしてほしい。
カムリ・アコードに負けないティアナ(なんでこういう名前に ローレルのほうが馴染みがあるというのは昭和のおっさんだけか)を、アテンザ・レガシィに負けないプリメーラを、カローラ・アクセラに負けないセントラ・ティーダを、デミオ・スイフトに負けないマーチを、日産の衰退がトヨタのみならず、ホンダ、マツダ、スズキ、スバルにシェアをもたらした。
トヨタやホンダでいつのまにか販売が終わった車種は採算が合わなかったからなのだろう。
でもゴーン以前の日産は律義にモデルチェンジを繰り返していた。
3代目のレパードなんてセドリック・グロリアのボディのリヤバンパーにウインカーをつけたという代物だった。
そんなことして名前だけ残してどうするんだと思った。
欧州カーオブザイヤー2位のプリメーラ(1,990年発売)は走りと使い勝手でクラスを席巻するもゴーン時代の3代目で見る影もなくなり消滅。
蓄財するなら開発に、工場に、そのカネで何人雇えたのか、
日本人が大人しいから19年も続けられた、文句も言わず黙々と言う事を聞いてきた。
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長所と短所は裏表
日本人の美徳といわれたことがアダになった。
そんな文書できません、この設備と人員でその生産ノルマ無理! ブーたれていたらゴーン氏は蓄財できなかった。
ルノーだったら文句を言われたり議論好きに突っ込まれたりして牽制されてできなかった。
ルノーに移籍せずにミシュランに留まっていたらナンバー1にはなれないが、それなりに平穏な余生をブラジルで送れたのではないか。
日産の劇的なリバイバルはなかったが。
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ゴーン氏が来なかったら日産はどうなった
銀行は支援できなくても、裾野が広くて影響が大きいから山一のように潰せないと国の救済で官僚出身の役員で固められて、選挙区の兼ね合いとしがらみで工場は閉鎖できなくて、さらに資金注入する羽目になって国会で揉めて、ようやく再建屋が畑違いの分野から落下傘で降りてくる。
でも日本人だったら抵抗される。ゴーン氏は外国人だから空気を読まないからというある種のあきらめがあったからリストラが進んだのだろうが、日本人経営者だったらそうはいかない。
組織を救いたい問題意識のあるイノベーター型の社員に問題抽出の協力を仰ぐ、結果が出れば傍観者も協力者に変わる。
将棋倒れする日本人だから。
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会社じゃないからパワハラではないという話にはならない
自治会で PTAで ボランティアで 声が出なくなった、足が歩けなくなった。
大声で怒鳴られて、ショックで 委縮した。
それってパワハラでしょ。
どこにだって人を上から目線で言いなりにさせたい人はいる。
人を自分の私物のように扱う人はいる。
気に障ると、わめく赤ちゃんのような人はいる。
ハアッ
相手が会社の上司ではないからと言ってパワハラじゃないということにはならない。
何様のつもりか、勘違いさんは勘違いさんだと気がついてもらわなければならない。
会社じゃなくても パワハラですよ と突っ込んでいい。
(黙れ!余計なことを言うな!)
馬脚をあらわした。白状した。
(何を言ってるんですか、そんなことするわけないじゃないですか)
わざとらしい、もしかして確信犯?
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大人しすぎて モノを言わないから問題が大きくなって不正に発展する。
我慢に我慢を重ねて最後にキレて爆発して犯罪に発展するのは最悪。
そんな我慢は美徳じゃない。
それではまた。
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