nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

長距離列車の需要は途中駅乗車と途中下車―初任給と運賃の推移とブルトレ衰退の因果関係

https://nenji-toukei.com/n/kiji/10021/%E5%A4%A7%E5%8D%92%E5%88%9D%E4%BB%BB%E7%B5%A6

厚生労働省の賃金構造基本統計調査から大卒初任給の年次推移

 

調査が始まった1968年の大卒初任給は月給3万600円。その後も右肩上がりに増え続けた大卒初任給は90年代以降、20万円前後で頭打ちとなっている

2012年  20万1800円   1968年の3万600円は現在価値に換算して137,670円

2012年までの推移となっています。

(直近のは問題になっているからないのかな。)

2018年の初任給を検索すると

https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/chinginseido/shoninkyu/pr1807.html

産労総合研究所 2018年度 初任給調査結果では大卒206,333円

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昭和43年(1968)10月ダイヤでは 羽田―鹿児島の航空運賃は大卒初任給の半額だった

 

JDA日本国内航空 (東亜航空(広島本社)と合併して東亜国内航空日本エアシステム日本航空JALと合併)

羽田→鹿児島  機材:YS11

900―1255

1250-1640

1日2便で 運賃は15000円 所要は3時間55分 大卒初任給のほぼ半額でした。

飛行機は御大尽さまの乗るものでした。

交通公社の時刻表に空港バスの時刻表が掲載されてません。

 

御大尽だから車の迎えかハイヤーで市内まで出たのだろう。

今の大卒だって東京鹿児島 運賃10万とか言われたら乗らないだろう。

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飛行機は15,000円 鉄道(寝台特急はやぶさ)は5,430円

 

鉄道は飛行機のほぼ3分の1でした。そらブルトレ乗るわ。

東京→西鹿児島(現鹿児島中央

1800―1553  21時間53分の所要時間をかけても 初任給の全額はたいて飛行機で往復しようとは思わない。

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1等と2等で運賃が違う

 

運賃表が1等と2等に分かれている。

1等は今で言えばグリーン車グランクラス、A個室寝台(サンライズのシングルデラックスや ななつぼし 四季島 瑞風といったクルーズトレインの個室)に相当します。

 

2等は普通車やB寝台(サンライズのシングル、ソロ、ツイン)ノビノビ座席に相当します。

 

東京西鹿児島の2等運賃は3,430円、1等は6,350と差がありました。

今は普通車とグリーン車で座席料金は違っても運賃は変わらないが、当時は富裕税のようなものだったのか。1等に乗れるほどのお金持ちは運賃が割増だった。

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同じ列車に乗っても特急料金も違った

 

東京―西鹿児島

2等 1,200円、1等 2,640円 

当時の特急に自由席はなかったので自由席特急料金はない。

 

寝台料金

2等(B寝台) 上段 800円、中段 900円、下段 1,000円

1等(A寝台) 上段 1,990円、下段 2,530円、個室 3,080円

 

運賃+特急料金+寝台料金(今風にA寝台 B寝台と表記)

B寝台上段  3,430+1,200+800=5,430

A寝台上段  6,350+2,640+1,990=10,980   B寝台の費用を足すとほぼ飛行機代に

個室     6,350+2,640+3,080=12,070   だいぶ飛行機に近づいてきた、個室も御大尽の乗るものだったんだ。

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新幹線と乗り継いだら6,830円※

 

ひかり31号 東京1500-新大阪1810  あかつき1号 新大阪1820―西鹿児島935

乗り換え時間10分

 

所要18時間35分 はやぶさ と3時間18分の差に1400円(当時)をプラスするのは安いのか高いのか。

 

(当時の物価:あんぱん20円、うな重400円、映画館の入場料500円、英和辞典700円、幕の内弁当200円、山手線の初乗りは20円。)

 

※東京・西鹿児島2等運賃+ひかり2等特急料金+あかつき2等特急料金+あかつき2等(B)上段寝台料金

3,430+1,600+1,000+800=6,830

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現在 東京―鹿児島中央は30,480円 

 

(博多まで のぞみ 博多から さくら、つばめ 所要:6時間59分)  

のそみ19号 東京910-博多1410・さくら555号 博多1443―鹿児島中央1609

博多での待ち時間が長いと思うか、博多の駅ナカで買い物する時間があると思えばあっという間です。

 

運賃16,410+新幹線普通車特急料金14,070=30,480

 

航空機:羽田―鹿児島   所要2時間

 

JAL43,400 多客期は46,100、 

ANA41,300~50,700、 

SNA(ソラシドエア)37,500~40,500

SKY(スカイマーク)23,900、多客期Ⅰ30,900、多客期Ⅱ33,900  3パターンある、SKYは新幹線とほぼ同等か安い場合もある。

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東京・鹿児島間運賃は飛行機は1.59~3.38倍、鉄道は5.6倍になったのではない

 

単純に今の運賃を当時の運賃で割ると上記の数字になるけど、2018年の大卒初任給206,333÷1968年の大卒初任給3万600円 現在価値に換算して137,670円=1.5倍

当時の航空運賃15,000円は現在価値に換算して67,500円 (15000✖️(136750➗30600))

航空機は0.35~0.75倍と安くなった。

 

当時の2等寝台利用運賃 5,430円は現在価値に換算して24,435円

 

30,480÷24,435=1.25倍になった

飛行機はプロペラ機からジェット機、鉄道は在来線寝台特急から新幹線に変わっているから同条件の比較はもうできないが、当時の国鉄は運賃が安過ぎたんだと思う。

 

盆や正月に帰省の切符を買うために早朝から並んで、家族全員分が買えなくて(お金の問題ではなく席数が確保できない)母親と子供が先に帰って父親は後からとか、家族で2つのグループに分かれて帰省とかいうこともあった。

 

価格と需要と供給の関係で航空機より圧倒的に安いから需要過多だった。

赤字の国鉄は相次ぐ運賃の値上げで客離れ、航空機は自由化で会社間の競争で運賃が下がった。 

東京・九州間で複数の鉄道会社同士の競争は起こり得ないから1.25倍に留まっているのは寧ろ抑えられていると考えることもできる。

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鉄道のライバルは鉄道じゃない

 

鉄道会社同士で競い合っているのは首都圏、中京圏、関西圏 大都市周辺の話でほとんどは地域の単独路線です。

近中距離はバスや自家用車、長距離は航空機がライバルです。

 

敢て乗りたいと思わせる魅力が求められる

 

小田急ロマンスカー東武スペーシア、西武ラビュー、近鉄ビスタカーアーバンライナー、しまかぜ、南海ラピートやJR化後に設計されたJR九州の車輛はそういった思想で開発されていると思う。

 

新幹線のソフト的優位

 

東京から博多まで乗り通す人がいなくても、のぞみ が東京―博多間を結ぶのは東京―新大阪がメインでも新横浜―新神戸、名古屋―広島、京都―博多という利用の仕方もあるからです。

なので東京から九州への移動は航空機が主流だからといって、東京―博多 のぞみ はいらないという話にはなりません。

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高速ピストン輸送ができる新幹線だからできる芸当で、在来線の長距離列車は姿を消した

 

おおぞら:函館―釧路→スーパーおおぞら札幌―釧路  

 

室蘭―十勝の移動は、スーパー北斗(函館―札幌)、すずらん(室蘭―札幌) と スーパーおおぞらスーパーとかち(札幌―十勝)の乗り継ぎが必要。

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白鳥:大阪―青森 →青森―函館→ 北海道新幹線開通で廃止

 福井―新潟間は乗り換えアプリは高碕経由が最早とのたまう

 

ショートカットコース上越妙高直江津―柏崎―長岡―新潟の特急しらゆき があるが最早ではないという。

 

北陸新幹線で高碕まで行って高碕から上越新幹線で行くと福井―新潟は4時間53分

北陸新幹線上越妙高まで行って、しらゆき に乗り換えると、福井―新潟は5時間28分

 

福井―新潟の移動は、サンダーバード(大坂―金沢)、ダイナスター(福井―金沢)と北陸新幹線(金沢―高崎)、上越新幹線(高崎―新潟)の乗り継ぎが最早。

 

上越妙高から新潟県内を通って新潟に行くよりも長野、高碕まで行ってから新潟に行く方が早い。新幹線スゲー。

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新潟県上越妙高から長野県、群馬県を通ってからまた新潟県に戻るというコースで新潟県の分断が浮き彫りです。

 

北陸新幹線開業前は はくたか が直江津から先は越後湯沢に行っていたので新潟県内の移動だったのが、長野、群馬を通るという大周りコースになってしまった。

地域を結ぶ鉄道が地域を分断する鉄道になってしまった。

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フリーゲージトレインが必要なのは北陸ではないか

 完成すれば大阪―新潟が直行できる。

北陸新幹線敦賀まで開通したら、大阪―(東海道本線湖西線北陸本線)―敦賀―(北陸新幹線)―上越妙高―(信越本線ほくほく線)―越後湯沢―(上越新幹線)―新潟


北陸新幹線は時速270キロなので山陽・九州新幹線のように時速300キロ出ないことがネックにはならない。

(ただし在来線は直流区間もあるから交直両用対応も必要になる。新幹線はJR全社全区間交流です。電圧は在来線直流は1500V 交流は20000V 新幹線は交流25000Vです。 交流は西と東で周波数が異なり北陸新幹線 敦賀~糸魚川は60Hz、糸魚川上越妙高は50Hz、上越新幹線 越後湯沢~新潟は50Hz マルチ電圧、周波数対応も必要になる) 

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長距離列車が無理なら乗り継ぎをよくしてほしい

 やくも1号   出雲市着 10:10

この間 スーパーおき スーパーまつかぜ なし

やくも3号   出雲市着 11:03

スーパーおき3号 出雲市発 11:36 新山口行き

===

松山に向かう場合、サンライズは6:27に岡山着です。

松山行き しおかぜ1号7:22発まで1時間近く間が空きます。(高知行き南風1号は7:08分発)

サンライズ瀬戸は坂出7:10着なので しおかぜ1号の1つ前の高松発松山行き いしづち103号の坂出6:14発に間に合いません。

南風1号のひとつ前の高松発高知行き しまんと1号の坂出6:18分発にも間に合いません。

サンライズからの乗り継ぎで松山、高知に向かうことは想定されていません。

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JR九州は大分での乗り継ぎがいい

 

かつては 都城(宮崎県)から中津(大分県)に行くのは 特急にちりん1本で行けました。

かつての にちりん のコースは博多―西鹿児島でした。

(でも本数が少なかった)

今は 博多―大分はソニック、大分―宮崎は にちりん、宮崎―鹿児島中央は きりしま と3分割されているので宮崎と大分で乗り換えが必要です。

大分での乗り継ぎ時間は2~7分、

 

宮崎では にちりん1号 宮崎着1015、きりしま9号 宮崎発1016 乗り換え1分!

にちりん17号 宮崎着1836、きりしま19号 宮崎発1855 乗り換え19分

上りは きりしま4号 宮崎着1000、にちりん10号 宮崎発1031 乗り換え31分とバラツキが大きい。

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こんな展開になるとは思わなかった

 

物価の話から 長距離列車なんて無理っしょ という話で始めたら新潟にフリーゲージトレインの話になってしまった。

長距離列車の需要は途中駅乗車と途中下車であって、始発から終点まで乗り通すのは稀という展開になった。

 

乗り換えが面倒だから高速バスにする人もいるだろう。(雪国では道路の除雪が鉄道よりも時間がかかるのがネックになる。)

超距離列車の廃止で出発地と目的地の間に乗り継ぎが生じた

 

乗り継ぎがスムーズに行くように乗り継ぎ列車同士のホームを隣にしたり、長い待ち時間が生じないようにしてほしい。

その時間の空白を埋めるコースとダイヤ設定で高速バスが参入して来るのだろう。

 

 

それではまた。

 

 

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