nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

宇宙戦艦ヤマト―勧善懲悪の“さらば” “2”と善悪が相対的な“2202”―宇宙に閃光が走った後にオチがあった

http://yamato2202.net/

さらば宇宙戦艦ヤマト と ヤマト2 ではガトランティスは征服欲、支配欲に駆られてるだけで滅ぼされても同情の余地のない存在として描かれた

 

 第一作のヤマトでは滅んだガミラスに主人公 古代進は「我々のすべきことは戦うことではなく愛し合うことだった。」と悔います。敵も味方も人間だという善悪が相対的な関係でした。


第二作の さらば と 2 のガトランティスは破壊と殺りくに明け暮れる悪魔的な存在として描かれました。

第一作が善悪が相対的な物語なら第二作は勧善懲悪の物語でもありました。

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第一作は地球もガミラスも日本だった

 

遊星爆弾の無差別攻撃で焼けただれた地球。B29の爆撃で全国焼野原にされた日本。


ミッドウェー海戦で日本の南雲艦隊は主力空母4隻を失う。七色星団の会戦でガミラスのドメル艦隊は空母4隻を失う。


終戦間際 島嶼部が占領され本土決戦が叫ばれた日本、歴史上では沖縄以外は回避された。ガミラスデスラー総統は「手ぬるい!本土決戦なのだ。撃って撃って撃ちまくれ。ヤマトの頭上を火の海にしろ!」 ヤマトを襲うガミラスの巨大ミサイルはガミラスも破壊しました。それが本土決戦の結末でした。

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豪語しても神―テレサには歯が立たないガトランティス

 

大帝ズォーダー「宇宙の絶対者は唯一人、この全能なる私なのだ。命あるものはその血の一滴まで俺のものだ。宇宙は全て我が意志のままにある。私が宇宙の法だ、宇宙の秩序だ。よって当然、地球もこの私のものだ。」


ここまで豪語したのに、テレサが来たら手も足も出ずに超巨大戦艦轟沈とともにお亡くなり。

宇宙の法、宇宙の秩序はテレサがいなければという前提条件がついた上での話でした。

ヤマトの活躍でテレサが幽閉状態から解放されたとき、ガトランティス重臣たちは狼狽えますが、ズォーダーは テレサはけして来ないと諭します。

だつたら最初から幽閉する必要なかったでしょ。

優先すべきはテレサ対策で、地球に進攻している場合ではない。という話にはならず、話の都合上、現実逃避と希望的観測に終始します。

こんなおっさんのために登場人物が次々に死ぬのはなんて理不尽で不憫な話なのかと思った。

 

最期にヤマトは超巨大戦艦に特攻します。そんなことをしても超巨大戦艦の砲撃であっさり粉砕されるはずですが奇跡が起こります。

テレサが現れます。テレサによる奇跡は神風を彷彿させると特攻礼賛という批判もありました。

 

最新の研究では元寇(蒙古襲来)で神風は吹かなかった。鎌倉武士すごいという話になっている。

ドキュメンタリーでは特攻で米艦に損害を与える映像がよく流れるが、特攻はそれほど命中するものではなかった。(途中で撃ち落とされた)

(話が脱線しそうです。)

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白色彗星を兵糧攻め

 

さらば宇宙戦艦ヤマト 映画の冒頭で 征服した星の住民を奴隷にして資源採掘現場で働かせている描写がありました。

ということは 白色彗星には資源や物資が搬入されている。

ならば護衛艦がいるにしても物資を搬入する船団を襲えば彗星帝国を兵糧攻めにできるのではないか。

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攻撃のチャンスは物資搬入時

 

クェーサーと称され(真田志郎談)光より速い白色彗星に後ろから通常航行で追っても置いて行かれます。(白色彗星は急に止まれない)

征服した惑星から搾取した物資を搬送する輸送船団はワープで追い抜いて前方から接近する。

中性子ガスの中にバルゼー艦隊が通るルートがある。輸送船団も同じルートを通る筈。

そこから侵入して波動砲を撃ち込む。

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さらば では拡散波動砲は白色中性子ガスに効果がなかったが、2 では拡散波動砲中性子ガスが払われた

 

散開する敵艦隊には拡散波動砲が有効であると、アンドロメダ以下地球艦隊の新造戦艦には拡散波動砲が装備された。

 

ヤマトは一回波動砲を撃つと次がなかなか発射できないというのが第一作・ガミラス編からの当初の設定であった。

さらば でヤマトの収束波動砲中性子ガスの中心核を撃ち抜き崩壊させるも、都市帝国出現時に次の波動砲が撃てないという展開になった。

一回撃ったら次がなかなか撃てない“めぐみん”の爆裂魔法みたいな旧式のヤマトの波動砲とは違って新造戦艦群はすぐエネルギーチャージできるはずなのに波動砲を撃たずに全滅しました。そうしないとヤマトの出番がないもんね。

(茶化して異世界モノの話を混ぜるな!さらば で死んだ登場人物がReゼロの世界に転生して “死に戻り”をして ヤマト2 が始まったなんて話にするんじゃない!)

めぐみんこの素晴らしい世界に祝福を!に登場する爆裂魔法を使う紅魔族。 Reゼロ…Re:ゼロから始める異世界生活

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映画の最期のテロップ「2度とみなさんの前に現れることはありません」は反古にされた

 

 さらば のパンフレットの挑発的な問いかけ「君は命をかけても愛する人を守れるか。理想に向かっていく時、これを阻む邪悪なものと命をかけて闘えるか。」

予想を上回る興業成績で前言は撤回され「新たなる旅立ち」「ヤマトよ永遠に」「ヤマト3」「完結編」と続編が作られた。 

 

大人の事情でやめられない、算盤は愛に勝つと見せつけられた。 最後に愛は勝つ を 最後は愛に勝つ と読み替えて皮肉った。

(時代が合ってないぞ) ※KANの 愛は勝つ は1990年リリース


お正月は寅さん、夏休みはヤマト 年に一度宇宙を救う旅でもやってくれとヤケになった。

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旧作さらば と 2 では行動原理が意味不明であったガトランティスに新作2202では意味が与えられた

 

ズォーダーの出自は、戦闘用クローン・ガトランティスの創造主であるゼムリア人によって生み出された。「タイプ・ズォーダー」と呼ばれる。

他のガトランティス人を統率する最上位の人造生命体であり、感応波ネットワークによる兵士の統率、諜報戦へ対応する為の精神構造と記憶領域を持って作られた。

ゼムリア人のシファル・サーベラーとの間に愛を育み、自身のクローンとなる赤子と三人で家族関係を構築していた。

 

1000年前、「愛に縛られない自分たちこそ、公平で平和な社会を作れる」と考え、創造主であるゼムリア人に反旗を翻す。

ガトランティスに対する安全装置である「ゴレム」(起動すると宇宙のどこにいてもクローン(ガトランティス)は死ぬ)を押さえるが、サーベラーと赤子を人質に取られ、彼女たちの命を守るべく取引に応じ、情報を漏らした事で反乱は失敗に終わる。

しかし、ゼムリア人たちは約束を反故にし、サーベラーと赤子を殺害してしまう。この出来事により、ズォーダーは人間の愛を否定し、憎悪するようになる。

(ゼムリア人って迷惑)

 

生き残ったズォーダーはサーベラーの遺体とわずかに残ったガトランティス人たちを引き連れてゼムリアを後にし、100年に渡る宇宙放浪の末、古代アケーリアス文明が残した破壊装置、「滅びの方舟」(白色彗星を生成する都市帝国)を発見する。

方舟を起動させ、その力を持ってゼムリア人を滅ぼし、惑星を捕らえた。

(アケーリアスも迷惑)

 

地球も宇宙に迷惑なものを作りだそうとしている。※時間断層の中でAIを進化させたら手の負えない存在になりかねない。

※ヤマトがイスカンダルから持ち帰った遊星爆弾で汚染された地球を元に戻すコスモリバースシステムの副産物として生じた時間が10倍で進む特異点。外界で3年経つと時間断層の中では30年経っている。わずか3年でアンドロメダはじめ大戦艦群が完成した秘密。


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時間断層への補給は10倍速にはできない

 

戦艦の建造に必要な資源が都合よくすべて時間断層の中に眠っているというわけにはいかない。時間断層の中に加工工場、精錬工場を造るにしても地球内外からの資源の掘削、輸送、搬入を10倍速にはできない。時間断層の中に輸送船がワープしてきても、資源の掘削搬出までは10倍速にできない。

 

結局アンドロメダはじめ戦艦群の建造に時間がかかるため、ヤマトを記念館にする話は流れてヤマトの武装強化に芹沢は前のめりになります。波動砲は収束モードと拡散モードに切替え可能となり、エネルギーチャージも急速化して波動砲のインターバル(発射間隔)の改善が図られます。主砲には波動カートリッジが装填され、第一作の空間磁力メッキが復活して瞬間物質移送機による不意打ちを食らっても攻撃を反射します。

 

波動砲艦隊計画がないので土方指令は反対する必要もなく、更迭されずに地球指令部にいます。(2202では土方指令は波動砲艦隊計画に反対して11番惑星指令に左遷されます)

でも地球艦隊が完成するまでヤマトは地球から離れられないのでテレザートへ出発ができない。

(話が進まないじゃないか)


テレザートに行くべきか、地球を守るために地球を離れないかの選択と意見の対立になります。

テレザートに向かうヤマトをアンドロメダが阻止しようとする話が作れなくなります。


対抗する地球側の時間断層で戦艦が建造されないので、ガトランティス側の雲霞の如く湧き出るガイゼンガン兵器群・カラクルム級戦艦の設定もなくなります。

 

設定にケチをつけると話のネタにもなれば話を縛りもします。

 

ヤマトが彗星帝国との戦いでズタボロになったところでアンドロメダが間に合うみたいな話になってしまいます。

東映か!マジンガーZがミケーネ帝国との戦いでボロボロになったところでグレートマジンガーが現れる。仮面ライダー1号2号がデストロン怪人に苦戦しているところにV3が現れるみたいな展開はやめてくれ。)(1970年代のネタで例えるのはやめて。)

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個人の情愛に流されない人造生命である自分たちの愛こそが宇宙に秩序と調和をもたらすと主張する

 

 

人間の「愛」の感情を「宇宙に争いをもたらす原因」とみなし、人間そのものに対しても「感情に踊らされて無益な争いを繰り返した末に自滅する存在」と評しており、個人の情愛に流されない人造生命である自分たちの愛こそが宇宙に秩序と調和をもたらすと主張する。


知的生命体の愛が宇宙の悲劇と混乱の元であると考え、宇宙に安寧をもたらすために全ての知的生命体を抹殺することを目的としている。

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地球へ侵攻する理由

 

地球へ侵攻する理由は、テレサの力を欲してテレザート星の侵略に取りかかる一方、彼女から地球へコスモウェーブが放たれていたことを知ったため。

さらば や 2 のように進路上にある惑星を征服するのではなく目的を持って侵攻している。

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2202の結末は さらば の挑発のアンチテーゼ

 

さらば宇宙戦艦ヤマトのパンフレット「君は命をかけても愛する人を守れるか。理想に向かっていく時、これを阻む邪悪なものと命をかけて闘えるか。」

 

宇宙戦艦ヤマト2202第7章のパンフレット「筆者は権利元より以下の三点を遵守するよう依頼されました。」

・「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」を原作とすること。

・ただし、ラストは全滅特攻にはせず、主要キャラを生き残らせること。

・でも泣かせてほしい。 

大人の事情をストレートに依頼している無理3条件です。

舞台裏の赤裸々なネタバレだと思った。

 

条件を満たすために真田の代わりに死なすキャラとして相応しい立場にキーマンは設定されストーリーの中で育成された。

 

当初ガミラス側のオブザーバー的な傍観者の立場から後半でヤマトにとって、ヤマトメンバーにとって重要な立場に変わっていく。それは死亡フラグが立つということだった。

「主要キャラを生き残らせること」

主要キャラに 土方、斎藤、加藤、徳川、キーマンは入っていなかった。

キーマンが生き残ったら古代とデスラーの立場が微妙になる。


土方が生き残るという予想外の展開を観たかった。そうすれば続編(主要キャラを生き残らせた以上は作るんでしょ)でヤマト移乗前に戦死して山南が三代目艦長に就任するというシチュエーションもありえた。

 

ヤマト艦長就任=死亡フラグが立つ という展開は裏切ってほしい。

 

無理3条件を満たすために時間断層が設定された

最初のオチ(わずか3年で著しい復興、大宇宙艦隊建造)、最後のオチ(古代、雪の生還)を実現するために時間断層が設定された。

オカルトな結末になることも制作者にとっては作家(福井晴敏)の過去作品「終戦のローレライ」「ガンダムUC」から想定の範囲内だったのだろう。

 

宇宙に閃光が走って2人は星になったのではなかった。その後があった。

特攻はそうそう命中するものではなかったのですから。

 

それではまた。


PS エンディングは新曲に

内容からし山寺宏一(デスラーcv)の 大いなる和 が相応しいと思うが、神田沙也加(テレサcv)、神谷浩史(キーマンcv)の新曲とかデュエットとか3人で歌うとかできなかったのだろうか。

結末が変わったので 今はさらばと言わせないでくれ という歌詞は沢田研二が製作者に皮肉を問いかけているように聞こえてしまう。

(所属のレコード会社とか大人の事情があるんでしょ。ていうか、なんでガミラスとテレザートだけなの、なんで地球とガトランティスはいないの。)

大人の事情が余計にややこしくなる。


大いなる和

大和だ、そうだったのか。


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