日本経済新聞 2015年9月26日 27日
『フォルクスワーゲン(以下VW)の排ガス不正問題で株価が大幅に下落しスズキが保有するVW株の時価が(2015年)3月末に比べて約700億円目減りした。
VWが保有していたスズキ株4300億円はスズキが自社株買いで買い取った。
(9月17日)
スズキは保有していたVW株をVW筆頭株主 ポルシェ・オートモービル・ホールディングスに売却する契約を結んだ。売却益は367億円にのぼる。(9月25日)』
700億円損した? 記事は今年3月との比較です。提携を結んで購入した2009年との比較ではありません。
本業外の財テクの話です。
一見するとスズキがVWにしてやられたように見える。
もっと早く売ってればあと700億高く売れて1067億円の売却益だったじゃないか。
4300億出して367億の売却益じゃキャッシュは3933億マイナスじゃないか。
ところが話は単純に済みそうもありません。
朝日新聞 2015年10月3日 朝刊 総合2面 「VW・米当局 攻防1年超」
『米カリフォルニア州の大気資源委員会(以下CARB)は2014年6月にVWと協議を始めた。
CARBは「ディーゼルエンジンのおかしな動作」に気付く。
ハンドルを動かさない通常の試験では排ガスを浄化する装置が作動し、ハンドルを動かしたときは作動しなかった。
違法なソフトが組み込まれていることが明らかになった。
2015年7月上旬「おかしな動作」をVWに示したが、技術者や幹部は認めなかった。
転機は突然訪れた。8月下旬VW側が米環境保護局(EPA)幹部に内々に「不正を認める」趣旨を伝えた。』
8月下旬に国際仲裁裁判所でスズキとVWの提携解消の仲裁判断が下されました。
★★★
『9月3日 VWは正式に不正を認めた。』
9月17日にスズキはVWが所有するスズキ株を4300億円で買い取った。
『9月18日 EPAはVWに米国で発売した(販売したじゃないの)約48万2千台のシステムを改修するよう求めたと発表した。』
9月25日ドイツ時間 スズキはVW株売却の契約を結んだ。
★★★
なぜスズキの支払いが先でVWの支払いは後なのか?
同時じゃないのか?
キャッシュフローを気にしたのか?
なぜ?
VW側の言い分としては「提携解消はスズキ側から申し出たのだから、スズキが先に支払うべきだ。」ともいえる。
しかしタイミングが悪い。
予めリコール費用と制裁金、賠償金の支払いを見据えてキャッシュフローを考慮したと疑われる。
経緯がどうあれ、提携解消の株の交換は同時に行うものだと思いました。
それではまた。