コールセンター、所謂お客様相談室や注文受付、事件事故発生時の苦情受付です、或いはセールス等で電話をかけてくることもあります。
利用者側の事情
休日は電話が繋がらず、混み合っているためお待ちくださいのアナウンスとオルゴールで待たされた揚句に、しばらくしてからおかけ直し下さいと再トライを求められることもあります。
繋がった場合も対応するオペレーターの習熟度により話がかみ合う、かみ合わない。
答えが出る、出ない。答えが出るまでの所要時間の長短の差が出ます。
話が通じる、問いに対する答が出るのが速いと満足度UP。待たされたイライラも解消します。
話が通じない、時間がかかった揚句に答えも出なければ、わかる人に代わって下さいと言いたくなります。
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お客様相談室のオペレーターがロボットならば、混み合っているためお待ちくださいのアナウンスとオルゴールで待たされることがなくなるのではないか。
繋がらない理由は入電件数が対応できるオペレーターの人数を超えているから。
ロボットにすればオペレーターの人数による受信制限から解放されます。
別に二本足のロボットが席に座って電話に出るのではありません。
電話線に繋がったコンピューター(AI 人工知能)が通話を記録しながら音声信号で回答を行うのです。
自動音声メニューも不要になります。
必要な情報が得られればいい、使用方法や機能上のトラブルの解決方法がわかればいい、しかし自動音声メニューに網羅されていないからオペレーターの対応を求める。
寧ろロボットAI化されてこちらの音声に対して回答が行われるのならプッシュボタンで選択する自動音声メニューも不要になります。
高齢者は電話でのメニュー選択が苦手ですから助かります。
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運用者の事情
電話の向こうから「ぶっ殺す」の声… 離職率9割、コールセンターの実態 〈dot.〉|dot.ドット 朝日新聞出版
離職率が90%という.。
「顧客のクレームを受け止めることに耐え切れずに、数日で辞めてしまう人もいれば、体調不良で辞める人も跡を絶たない。」
「オペレーターの離職率は年間9割と非常に高く、人の入れ替わりが激しいため、顧客が満足するようなサービスを提供しにくくなってしまうという。」
90%が辞めるということは10%は辞めないということ。
利用者は偶々10%に当たったらラッキー。
人が頻繁に入れ替わるので採用と研修の繰り返しが常態化しているということです。
運用する企業側にとっても費用がバカにならない
顧客満足度が向上せず、採用の費用が嵩むために人件費を抑制せざえるを得ない。
人件費を抑制したら今度は定着しない。また採用の費用が嵩む。慣れないオペレーターに顧客からクレームの悪循環。
「またコールセンター業務は、従業員のうち87%が非正規雇用。オペレーターに限定すると、非正規雇用は93%にも上る。」
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コールセンター業務の発展に大きな役割を果たしたのは地方の自治体による誘致
「仮に、雇用創出のために大規模工場を作るとなると、広大な平地が必要だが、コールセンターは建物と通信設備さえ用意できれば、どこでも開設可能。」
「地方であれば、都会と比べて土地代・人件費などのコストも削減できる。
そこに注目して、本社は都会の企業が、コールセンターを北海道や東北、九州や沖縄などの地方に置く。
都会なら1200円の時給が沖縄なら900円。」
「管理職は本社から派遣され、非正規雇用のオペレーターは現地採用。」
地方に雇用を生み出しているという側面がありますが、本社がコストに見合わないと判断して撤退するときは切り捨てられます。
熱心に誘致を行い、歓迎し、出て行くと言われると空洞化になると言って慌てる。
誘致をする際に安さを売り物にすると人件費を削られて定着率が下がる。
オペレーターが慣れないために待ち時間が長くなる。
待てずに電話を切られる、電話を切られるとサービス率が低下する。
定着率が下がると顧客満足度が向上しない、採用の費用が嵩む、コストに見合わない、と言われて撤退されるという悪循環になりかねない。
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「自治体が人材教育まできちんと担うつもりがあるのなら、誘致も双方にとってメリットがあるが、そうでなければ、企業側が安い人材を使い減らすだけになってしまい、地域が伸びることにはつながらない」という。
自治体が研修を行い品質を売りにする。スキルと定着率を売りにするということか。
離職者が出た場合は原因を特定する。オペレーター個人の事情によるものであるか、
柔軟性に欠ける非効率な運用によるものと判明した場合は改善により離職を回避できるものであるか区別する。
改善を求めていけば、運用する企業側のノウハウになり双方のメリットとなる。
すべてを偶々だ、仕方がない、と個別の事象で終らせてきたか、分類し対策してきたかで差が出る。
すべてを個別の事象で済ませる相手は組み続ける意味がないといつか契約更新を拒まれる。
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そんな努力も技術革命で対応の変更を求められます。
野村総合研究所が日本の労働人口の約半数が、人工知能やロボットで置き換えが可能という推計を発表していました。
日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に | 野村総合研究所(NRI)
「国内601種類の職業について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算しました。この結果、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果が得られています。」
HPには人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業が掲示されています。
抜粋すると人工知能やロボットによって置き換わる可能性が高い職種としては、
事務系は一般事務員、受付係、データ入力係、会計監査係員、経理事務員、国・自治体の行政事務員
サービス・販売系は銀行や郵便局の窓口係、スーパー店員、ホテル客室係、列車やビルの清掃員 警備員、新聞配達員
生産系は IC、CAD、マニシングオペレーター、組立工、研磨工、塗装工、練り、製粉、製パン、製本、製造工、出荷発送係員
物流、運輸は タクシー、バス、電車運転手、宅配便配達員、倉庫作業員、積卸作業員
などが列挙されています。
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一方、置き換わる可能性が低い職種としても100種が列挙されています。
抜粋するとアートディレクター、アウトドアインストラクター、エコノミスト、教員、保育士、医師、鍼灸師、作詞作曲家、商業・報道カメラマン、タレント、俳優、美容師、デザイナー、演出家、漫画家、ソムリエ、レストラン支配人があります。
創造性を問われたり、他者との理解、共感、説得をともなう職業はロボットとの置き換えが困難と見做されています。
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どちらにも例示されていない職業もあります。
コールセンターのオペレーターもそのひとつです。
お客様相談室のオペレーターがAIならば、混み合っているためお待ちくださいのアナウンスとオルゴールでお待たせすることがなくなりサービス率が向上する。
繋がらない理由は入電件数が対応できるオペレーターの人数を超えているから。
AIにすればオペレーターの人数による受信制限から解放される。
採用しないのだから研修も離職もない。
重要課題はAIのプログラムの更新になります。
ということはAIのプログラマー確保が雇用の課題になるということです。
AIの対応を審査するスキルも求められます。
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初期の段階ではAIにチャレンジしてAIが答えることのできない質問を考える入電者もいるでしょう。
人間が応対せざるを得なくなり、スキルレベルの高いオペレーターが重宝されます。
またスキルの高いオペレーターの能力をAIにコピーしますので、ますますスキルの高い経験者が重宝されます。
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やがて自己学習能力を備えたAIが登場して受電経験を通じてスキルをUPしていきます。
AIからAIへとスキルがコピーされるようになります。
同一メーカー或いは同一運用会社のロボットの経験値がロボット同士で共有されて複数のセンターのAIのスキルがUPします。
ただし別のクライアント(他社)に納入予定のロボットへのコピーは禁止条項にしないとノウハウが漏れるというジレンマがあります。
あらゆる企業、役所に通ずる必須の普遍的な能力 普遍情報についてはコピーや再利用可とする。
言葉づかい、通話相手の言葉のニュアンスに合わせた対応能力です。
それまで契約でコピー禁止にするとスキルUPの阻害要因になります。
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企業の商品の使用法や機能等ノウハウに関わる部分は個別情報として流出させない契約とする。
流出させた場合のペナルティーに伴う訴訟リスクをAI開発会社やコールセンターを受託するアウトソーシング企業は負います。
コールセンター設置会社「ライバル社のコールセンターロボットに個別情報をコピーされて損害を受けた。」
AI開発会社「普遍情報でありコピー可であるとの認識です。」
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AIコールセンターを運営する母体は?
IT企業の場合
AIで様々な人間の声に対応することはAIの能力向上に繋がります。
IT企業は能力の向上したAIを武器にして事業の拡大を図ります。
コールセンター業務を請け負うために人材派遣会社に出資してクライアント企業と調整しながらAI化を進めていきます。
人材派遣会社の場合
それとも先手を打ってIT企業に出資してクライアント企業と調整しながらAI化を進めていくのか。
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出資する相手の選択を誤ると事業のネックになります。
IT企業「クライアントのニーズがくみ取れない、工程管理とクライアントとの調整が進まない、需要予測が合ってないから容量不足になった。」
人材派遣企業「クライアントのニーズに対して使い勝手のよくないプログラムだ、更新やトラブルの復旧が遅い、件数を出したのに容量不足とはどういうことだ」
そもそも相手の経営状態、事業継続性は大丈夫か。
M&A仲介、法律事務所、銀行、証券会社が絡む話になっていきます。
AI化を進める中で法令との整合性を確かめながら進めていくことになります。
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コールセンターがAI化したらクレーマーはしつこく電話をかけることはなくなるんじゃなかろうか。
人工知能相手に食い下がってもむなしいんじゃないか。
それともAIフェチに目覚めるのだろうか。
ユーザー登録でお気に入りのタレントを登録しておくとお客様相談室のAIがユーザーの嗜好を分析して声を合成する。
イケメン俳優やアイドル、人気声優みたいな声を聞いてメロメロになる利用者もいるかもしれない。
ここまでやると丸めこんでいるのではないかという気がしてくる。
芸能事務所がウチのタレントの声に似ている、権利料を払えとクレームを入れてくるかもしれない。
中毒みたいな状態になったユーザーが何度も電話をかけているうちに、相手は人間ではないという思いに辿りついてむなしさがこみ上げて怒りを感じるかもしれない。
やりすぎは禁物です。
※引用先の言葉づかいの一部を変えています。例)本土→本社
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「コールセンター ロボット化」でグーグル検索したら下記のHPがありました。
「ロボットコールセンター」Robot Call Center
「従来、オペレーターによって行われていたコールセンター業務をロボットが行うことで、 コスト面・業務の効率化を実現するサービスです。 発信(アウトバウンド)・着信(インバウンド)いずれもロボット化が可能です。」
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架電は1時間あたり 人間は20件、ロボットなら500件
ロボット1台でオペレーター25人分の発信能力だそうです。
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http://www.green-ship.co.jp/about/
「こちらは〇〇と申します。本日はコンピューター電話で失礼しますが、大切なご連絡を差し上げておりますのでお聞きください。…」
まずはコンピューターであることをおことわりする。
聞き手からの「はい」「いいえ」回答と「電話番号」を音声認識
在宅率が高い時間帯に集中的にかけることができる。
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「架電先毎に個別データ(たとえばお名前など)を読み上げることができます。そのため、ユーザーのダイヤル回答と組み合わせることで、本人確認も可能です。」
「ロボット督促コールサービス」では、オペレーターによる有人コールに代わって、ロボットが督促電話業務を行います。エンドユーザー様が電話に出やすい時間だけに集中して荷電できるため、大幅に接続率がアップ、回収額も大きく向上します。 【カード代金の回収督促】、【家賃督促】、【口座振替案内】、【返送督促】など、様々な督促業務にご活用いただけます。
「西京銀行グループ様にて、西京カードの督促業務にご利用いただいています。新聞「ニッキン」(2015年7月10日号)でも事例として「業務の大幅な効率化を実現」と紹介されました。」
事例として銀行カードの督促に導入されているということです。
有人コールセンターへ転送可能とあります。
現状は ユーザーがきめ細かい対応を希望する場合は有人コールセンターへの転送も可能ということです。
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インバウンド、アウトバウンドともロボットであることを、まずはおことわりした上で対応する。(ことわらなければ法的にアウトだろう)
人間と代われと言われて代わる。督促の話を聞くつもりはない。業務と関係のない話に人間のオペレーターが延々と付き合わされる。言葉尻をとらえてごねるとかあるんじゃなかろうか。
AIが発達した際に、どこまでロボットに対応させるかという線引きが課題になる。
通常の業務はロボットが対応し、人間はクレーム対応をする。
クレームもロボットが対応するとなれば、消費者制度の改訂が絡んでくるのだろうから、人間の対応ということになる。
そこへアメリカのAIがアメリカ本土でクレーム対応をして能力UPして日本に市場開放を迫ったりして
それではまた。