三菱自動車工業(株) (三菱自) 7211 :株価:日経会社情報:マーケット :日本経済新聞
日産が三菱自動車と共同開発した軽自動車の燃費データに不正があり生産・販売中止になっている。
(2016年4月21日 日本経済新聞)
対象車種は62万台に上り、内訳は三菱ブランドのeKワゴン、eKスペースが計15万7000台、日産ブランドのデイズ、デイズルークスは計46万8000台。
「タイヤの抵抗や空気抵抗の数値を操作し実際より燃費が良くなるよう届け出ていた。
エコカー減税の減税幅が変わり負担が生じる場合などは購入者への補償を検討する。」
日産の指摘で発覚。しかし遅きに失した。
日産と三菱自の提携による開発会社の設立は2011年、発売は2013年。
発売前に日産も計測していれば国土交通省に届け出る前に発覚した。
日産は三菱自に任せてしまった。
「三菱自は2000年、2004年にリコール隠しが発覚して経営危機に陥った。
死傷事故について欠陥を隠していたことが判明し信用に傷がついた。」
あれだけ大変な目に遭ったのだから、もう不正をすることはないだろう。と普通は思う。
札付きの会社だから念を入れてチェックをしておこう。とはさすがに思えないだろう。
札付きと疑っているくらいなら最初から提携を結ばない。
今後は提携を結んだ際は相手がどこであれ、自社の販売網で販売する車は自社でチェックする。を定型スキームにした方がいいのかもしれない。
「2015年秋に日産が対象車の燃費を調べたところ数値に開きが見つかった。
日産が三菱自に確認を求め、三菱自の車内調査で不正が分かった。
実際の燃費は届け出数値より5~10%悪くなる可能性があるという。」
「担当部署の部長が「自分が指示した」と話しているという。」
またも部長
「2015年11月にも、多目的スポーツ車(SUV)の開発の遅れを会社に報告しなかったとして担当部長2人を論旨退職処分にしている。」
手遅れになるまで報告ができない。勝手にやる。そういう人がどうして部長にまで昇進できるのでしょう。
上はよくない話は聞きたがらないと※忖度(そんたく)する。
会社のためにやっていると思っていた。
数値をよくすれば車が売れて会社のためになる。
やっていることがどのような結果をもたらすのか想像が及ばなかった。
※忖度する―他人の心を推し量ること。
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情けは人のためならず の典型のような話になってしまった。
リコール隠しで経営危機に陥った三菱自を三菱グループは支えました。
(4月26日 日本経済新聞)
「2004年から三菱自が発行した6千3百億円相当の優先株を三菱重工、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の御三家が中心になって引き受けて支援金をつぎこんだ。
2014年3月、三菱自は優先株を買い取って償却し復配するなど再建に一定の目途をつけた。
(4月28日 日本経済新聞)
「三菱重工は25日、客船事業で巨額の特別損失が出たとして、16年3月期の純利益予想を下方修正した。」(建造中の大型客船の火災による納期の遅れ、国産ジェット旅客機MRJの納入延期、米国では原子力発電所の事故で約9300億円の損害賠償を求められた)
三菱商事は原油安の打撃で連結決算に移行した1969年以来初めて赤字に転落。
三菱東京UFJ銀行も利ザヤの縮小や運用する国債の利回り低下で厳しい状況。
御三家も今度は三菱自を支える余裕はない。
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三菱グループが支えている間も不正を続けていた。
(4月27日 日本経済新聞)
「国が定める方法とは異なる方法で燃費計測していた行為は、1991年からであることが判明。」
リコール隠しで逮捕者が出て、有罪判決が出て、グループ企業から資金援助を受けている最中にも不正を続けていた。
脱力した。どうしてこんなことができるのか。
他にも何かやっているのではないか。
燃費以外の数値も操作しているのではないか。
ハゲタカファンドも迂闊(うかつ)に手を出せない。
買い叩いても売る前に第3第4のパンドラの箱が開いたら目も当てられない。
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もう三菱という名前は外したほうがいい。
三菱第4代社長の岩崎 小弥太が残した「三綱領」
所期奉公、処事公明、立業貿易。
「パブリック」「フェア」「グローバル」と読み替え、三菱地所で働く者全員が大切に守る企業行動憲章を作った。
小弥太は三菱をどう守るかを考えて「三綱領」を作っていない。三菱はどうあるべきか という前向きな姿勢で考えているから70年近くたつ古い言葉が現代にも通じる。
(日本経済新聞連載 私の履歴書 福澤 武 三菱地所名誉顧問 4月27日)
公共性、校正さ、国際化を目指す綱領と 行動がかけ離れています。
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1万4000人の雇用問題に発展している。
(日本経済新聞 4月29日)
「岡山県内の部品メーカーなど少なくとも15社が操業停止に追い込まれている。
三菱自動車 水島製作所(倉敷市)と取引先で働く人は合わせて1万4000人にのぼるという。」
(日本経済新聞 4月28日)
「日産自動車や日産の販売店にも生産中止で与えた損失を補填する方針で、業績への大打撃は不可避になっている。」
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日産は三菱自のお客さんなのかな?
消費者と日産を同列には扱えません。
日産はプロです。技術的なことを三菱自に委ねた結果招いた損失をまるごと三菱自が補填することには違和感があります。
マンションの傾斜問題では杭打ち業者の手抜きがあったとはいえ、入居者はマンションメーカーから購入しています。
ゼネコンやマンションメーカーに責任がないという(丸投げ)は容認されませんでした。
任せたと言われると太っ腹な印象を与えますが、それは責任を持つからです。
任せると丸投げの違いは責任を持つつもりがあるかないかです。
費用を全部 三菱自に持たせるつもりなら丸投げです。
日産と三菱自の交渉経過を注視しています。
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発売前に日産は日産で燃費や出力等を計測する。三菱は三菱で計測する。
日産は三菱自から供給を受ける車を計測する。
三菱自は日産から供給を受ける車を計測する。
それぞれが国土交通省に持ち込み、係官が気付いたら説明を求められる。
どうして2社で数値が違うのか。これでは型式認定できない。
事前に日産と三菱自で計測結果を持ち寄る。
どうして数値が違うのか議論になる。
これなら不正ができない、販売中止の憂き目に遭わなくて済む。
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水島製作所の 三菱ekワゴン/日産デイズ 生産比率の8割は日産ブランド
事実上 日産の工場のようなものではないか。
日産主導で型式認定を取り直したほうがいいんじゃないか。
訳の分からないことをする人が昇進する訳のわからない人事。
人事考課も日産主導でしたほうがいいんじゃないか。
今まで三菱自に支払っていた費用と軽の開発部門と水島製作所を自社で運営する場合とのコストを天秤にかけて検討する。
ゼロから立ち上げる場合と較べる。今回の問題と絡めて三菱グループと交渉する。
国に対しては地域の1万4000人の雇用を守るという大義名分が立つ。
もしも、潰れたり外資に売却されたりした場合は軽自動車はスズキから供給を受けるしか道がなくなる。(ホンダやトヨタの子会社のダイハツはありえない)
初出版から10年の時を経てこの小説のような結末になるのか。
池井戸小説は本質からの逸脱との戦いです。
それではまた。