(日本経済新聞 2016年5月12日 朝刊・夕刊 1面)
前回 日産が三菱自に売上損失の損害請求することに対して
「消費者と日産を同列には扱えません。
日産はプロです、技術的なことを三菱自に委ねた結果招いた損失を三菱自が補填することには違和感があります。」
と私情で書いたけど日産が逆に出資することになりました。(出資比率34% 筆頭株主に)
「人事考課も日産主導でしたほうがいいんじゃないか。」
と予測でも観測でもなく願望を書いたけど、結果は日産が三菱自に複数の取締役を派遣することになりました。
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メディアはみんなわかっていたけど大人の判断で観測記事を書くことができなかったのではないか。
朝刊の報道で三菱自株は買い注文が殺到しました。
4月20日の不正発覚から 日産による支援の観測記事は出ませんでした。
観測記事を出せば三菱自、日産の株価に影響が出ます。
両社の交渉の邪魔になります。
中国企業による買収とか、アップル、グーグル、テスラによる買収とか、ルノーのライバル プジョーによる支援とか明後日の方向の観測記事が出ました。
わからないでとんちんかんなことを書いているのではなく、邪魔しないようにみんなでとぼけていたのではないか。
なぜかって?他に選択肢がないからです。
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前回「水島製作所の生産比率の8割は日産ブランド
事実上 日産の工場のようなものではないか。
日産主導で型式認定を取り直したほうがいいんじゃないか。」
「もしも、(三菱自が)潰れたり外資に売却された場合はスズキから供給を受けるしか道がなくなる。(日産のライバル ホンダやトヨタの子会社のダイハツからの供給はありえない)
と書いたけど、
三菱自動車の国内販売の4割が水島工場製の軽自動車です。
日産にとっても国内販売の2割です。
切り捨てるという選択肢はありえません。
切り捨てるなら出資者から代替手段の提示を求められます。(ないでしょ)
岡山県はじめ周辺自治体、国への対応は必至です。
三菱自の従業員3万人に加えて販売店、部品メーカー他関連事業者、事業所所在地の商店、自治体はじめその影響は計り知れません。
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三菱グループには今 支える余裕がない。(前回の振り返り)
(4月28日 日本経済新聞)
「三菱重工は25日、客船事業で巨額の特別損失が出たとして、16年3月期の純利益予想を下方修正した。」(建造中の大型客船の火災による納期の遅れ、国産ジェット旅客機MRJの納入延期、米国では原子力発電所の事故で約9300億円の損害賠償を求められた)
三菱商事は原油安の打撃で連結決算に移行した1969年以来初めて赤字に転落。
三菱東京UFJ銀行も利ザヤの縮小や運用する国債の利回り低下で厳しい状況。
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三菱グループ以外で救済する財力と救済する動機の両方がある存在は日産しかありません。
トヨタには財力があっても動機はありません。三菱の軽自動車は子会社のダイハツの競合です。
ハイブリッドで出遅れた日産には三菱のプラグインハイブリッドは補完関係を築く技術ですが、トヨタは既に持っているので必要ありません。
これだけ材料が揃っているのだから、マスコミは誰もが三菱自を救済するのは日産だと思っていた。でも観測記事は書けない。邪魔しちゃいけない。書いちゃいけないと大人の判断で自粛したのだと思う。
誘拐事件では人質の安全を考えて犯人を刺激しないように報道が控えられます。
今回は三菱自の救済(即ち関連自治体、住民への影響)を考えてハゲタカや投機家を刺激しないように報道が控えられた。
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日産と三菱自のOEMの現況 と妄想。
三菱自の4ドアセダンのトップモデル デグニティ(3.5L V6エンジン ハイブリッド)は日産シーマのOEMモデルです。
プラウディア(2.5L、3,7L V6エンジン)は日産フーガのOEMです。
この2車は三菱グループの役員車として使われています。
三菱グループは既に事実上 日産車のオーナなのです。
三菱自の商用バン デリカD:3(1.6L 5人乗り、7人乗り)は日産NV200バネットのOEMモデルです。
スズキのOEMモデル
三菱自の軽ワンボックス タウンボックス と 日産の軽ワンボックス クリッパーはススキ エブリィのOEMモデルです。
三菱自のデリカD:2(1.2Lマイルドハイブリッド)はスズキ ソリオのOEMモデルです。
日産のモコ(軽ハイトワゴン)はスズキMRワゴンのOEMモデルです。
両社は今後ともスズキから供給を受けるのか、
日産の販売店は水島工場製のデイズを販売できない間、モコで食いつなぐという手もある。
日産の軽自動車の販売はモコからスタートしたという歴史があります。
軽ハイトワゴン次期車は2社協業の中で開発されるのではないか。
デリカD:2は次期キューブだったりして。
マツダのOEMモデル
日産ラフェスタ(2L ローハイト型ミニバン トヨタ ウィッシュが競合車)はマツダ プレマシーのOEMです。
マツダは次期プレマシーを開発していません。マツダはイメージの拡散を嫌ってミニバンの開発・販売からは撤退しSUV(スポーツユーティリティビークル)に切り替えていくことを公表しています。
トヨタ ウィッシュも売れなくなりローハイト(全高が低め)ミニバンの市場が縮小しているからマツダプレマシーの生産終了と同時にラフェスタも廃止になるのではないか。
次期ラフェスタがあるのなら日産独自か三菱自との協業の中で開発されることになります。
三菱自のプジョー・シトロエン(PSA)へのOEM供給。
プジョーION、シトロエンC-ZEROは三菱i-MⅰEV(軽自動車サイズの電気自動車)のOEMです。
日産の傘下になった以上はプジョーとの提携は解消に向かうでしょう。
ロシアでの合弁事業(工場)もあります。
プジョーにとっては対岸の火事では済まず、ルノー・日産・三菱自への対応が役員会で討議されている。
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部品の供給
三菱自は電装品は三菱電機から ターボチャージャーは三菱重工からとグループ企業から購入していました。
今後は日立やIHIと相見積もりをとってコスト削減に努めていくでしょう。
プラットフォームの共有化
タイ生産のミラージュはモデルチェンジを機に同じくタイ生産の日産マーチと部品の共有化を進めていく。
三菱アウトランダーと日産エクストレイル RVRとジュークも将来共有か。
次期型の開発を中止したランサーはティーダ・セントラ・パルサー ベースで復活か(だったらランエボはない)
ギャランはティアナ・アルティマ・マキシマ ベースで復活か。
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パジェロとデリカD:5は独自進化してほしい。
日産のZやスカイラインがルノーとは共用にならない独自の存在であるように。
宙に浮いたスリーダイヤにならなくてよかった。
(部品メーカーはじめ取引先、工場、販売店、地域商店、自治体にとって)
それではまた。
新型デリカD:5のすべて (ニューモデル速報 (第385弾))
- 出版社/メーカー: 三栄書房
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: ムック
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現行の三菱車で唯一好きな車です。ベストデザインのミニバンです。(勝手に)
オフロードを走れるごついミニバンて他にない。世界のどこにもない。唯一の存在です。
過去25年間の燃費不正対象車にも含まれていませんでした。