nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

食物アレルギー死亡事故の原因は学校だったのか?-前提とルールはなぜか疑われない

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/018/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2013/06/05/1335638_5.pdf#search=%27%E9%A3%9F%E7%89%A9%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E4%BA%8B%E6%95%85+%E8%AA%BF%E5%B8%83%E5%B8%82%27

調布市立学校児童死亡事故       ※ http://www.mext.go.jp/ は文部科学省

検証結果報告書概要版

調布市立学校児童死亡事故検証委員会  平成25年3月

※以下は抜粋要約しています。

1 事故の概要

 

平成24年12月20日(木)乳製品を除去している児童が給食でおかわりをした際に、誤って普通食のチーズ入りのチヂミを食べてしまった。(献立表に食べてはいけない料理に引かれているピンクのマーカーがなかったから)

 

配食された給食が済んだ頃に,日直が「おかわりどうぞ」とクラス全体に声を掛けた。

担任はいつものように「大丈夫か?」と声を掛けたところ,児童は保護者が念のために持たせている献立表を出し,「これを見れば分かる」と言った。(マーカーを引いてないので見ても分からない献立表だった)

児童はアナフィラキシーショックを起こし亡くなられました。

アナフィラキシーショック

アレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくなどと同じアレルギーの一種で、症状が呼吸器や皮膚など限られた範囲ではなく、全身に現れるものをアナフィラキシーという。

特に過剰な免疫反応により血管が拡張して血漿(けっしょう)成分が漏れ出て血圧の低下やむくみ、意識消失などがみられるものを「アナフィラキシーショック」と呼び区別する場合もある。

☆★☆

「保護者,栄養士,担任との間のルールでは,おかわりの申し出があった場合担任は,除去食一覧表(担任用)(いわゆる「おかわり表」という)で確認することになっていた。」

このルールの有効性には疑問符がつきます。

 

「担任は児童の持っているルールとは関係のない(食べてはいけない料理にマーカーの引いてない)献立表は見たものの除去食一覧表(担任用)の確認はしていなかった。

(当日,除去食一覧表(担任用)は2階職員室の担任の机の引き出しに入っていた。それでは意味がない、けしからんという話になった。)」

(担任が絶対に忘れないことを前提条件にした危ういルールだった)

(戦時中は万が一のことを考えると弱腰と非難され、今は前向きではないと非難される。)

 

☆その上、児童がルールとは関係のない(食べてはいけない料理にマーカーの引いてない)献立表を持っていることが災難の元だった。持っていること自体がルール違反だと誰も気付かなかった。

三者でルールを決めたのに常時守られていないダブルスタンダード状態だった。

 

(今の担任ってチョー大変!nikoichiが小学生のときはおかわりは早いもの勝ちだった、日直が聞いたりしなかったし取り過ぎて担任に怒られた。(女子はやらなかった、やらかすのは男子だけ、おかわりを狙って早食い競争をしていた)

 

アレルギーあるなしに関わらず早食いができない(やらない)ほとんどの子はおかわり争奪戦は関係のない話だったので差別の話にはならなかった。

☆★☆

2 事故発生の要因

 「検証委員会では今回の事故の直接的な原因と思われるものとして,除去食の提供(おかわりを含む。)方法と緊急時の対応の二つに大きな問題があったと判断している。」

除去食の提供では,

1 チーフ調理員がSさんに,どの料理が除去食であるかを明確に伝えていなかったこと。

2 おかわりの際に担任が除去食一覧表(担任用)で確認しなかったこと。

3 保護者がSさんに渡した献立表に,除去食であることを示すマーカーが引かれていなかったこと。

緊急時の対応では,

1 担任がエピペン®を打たずに初期対応を誤ったこと。

養護教諭が食物アレルギーによるアナフィラキシーであることを考えずに,エピペン®を打たずに初期対応を誤ったこと。

以上の内一つでも実施されていたら,女の子の命を守れたのではないかと考えられる。」

 と結論づけている。

そうか?

 「3 保護者が子供に渡した献立表に,除去食であることを示すマーカーが引かれていなかったこと。」

☆親が常時、間違いなくマーカーを引くことを期待することはできない。負担をかけるでしょ。紛らわしいから子供に持たせない。

子供には チーフ調理員か担任がおかわり表を渡せばいい。そうすれば子供が「おかわり表は?」と言うので担任が職員室の机に忘れるということは起こり得ない。

マーカーの引いてない献立表を見て除去食を渡すということも起こり得ない。

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「1 チーフ調理員が児童に,どの料理が除去食であるかを明確に伝えていなかったこと。」

そういうことを常に口頭説明するの? チーフ調理員はそんなに暇なのか、常時 間違いなく実施されることを期待することはできない。子供に おかわり表を渡せば済む話でしょ。

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「2 おかわりの際に担任が除去食一覧表(担任用)で確認しなかったこと。」

子供に おかわり表を渡して担任が一緒に確認すれば済む話でしょ。

同じ立場に置かれたら実際に自分ができるのかという検証をすることなく複雑な対策を立てて、やらないことはけしからん、できたはずだ。精神論に終始すると同じ失敗が繰り返される。

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対策は寿限無寿限無になっていく

 

(1)情報の共有について

「ア  児童・生徒の生命に関わる食物アレルギーについては,保護者,栄養士,調理員,担任はもちろん,養護教諭,学校長など学校の教職員全員が把握する必要があり,管理指導表の内容についても教職員全てが把握しておく必要があるが,必ずしも全員が把握していなかった。」

提言している人は把握しているのだろうか。必ず全員が把握している職場が存在するのか。フィクションに則った対策が立てられる。

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「イ  発達の段階にもよるが,同じクラスで学ぶ友人に食物アレルギーがある場合,友人が何を食べてはいけないのかという事について, 同じクラスにいる児童全員が注意する必要があった。」

児童全員が注意する必要があった。……無理!ファンタジー!クラスメイトが苦しみだしてから「どうしたの どうしたの」と言うのが子供の実態ではないか。児童は全員英才になるべきだ。提言者はスーパー児童だったのでしょう。

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提言者も無理だと思いつつ言っているのかもしれない。場の空気を読んでイイ子の発言で議事録を埋めなければならないと配慮した。突っ込んだりするのは空気が読めていないと周りも配慮した。

 

空気が読めない文化:謝ればいいってもんじゃない、理由を言え!

どうして、なぜ が延々と続く。

空気を読む文化:言い訳(理由)を言うな、とにかく謝れ!

最初に謝るという結論がありそれに合わせて理由づけをする。

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(2)除去食の調理と配食・配膳について

 「 チーフ調理員から手渡しする際に,料理名を口頭で伝えたようだがSさんに伝わっていなかった。」

チーフ調理員はそんなに暇なのか。おかわり表を渡して児童が担任と共有すれば済む話でしょ。

(1)情報の共有について での認識が(2)除去食の調理と配食・配膳について に影響している。

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「ウ Sさんの給食に除去食があるかないかの情報が,担任に事前に配布する おかわり表のみで行われており,当日は担任に伝えられていなかった。」

児童がおかわり表を持っていれば済む話、なくしたら おかわり はなし。

逐次口頭で伝えるのが確実という信仰があるのでしょうか、あてにならないと思う。

言い忘れたり、言い間違えたりあてにならない。間違えたらたるんでいるとかいう精神論になって堂々巡りになってしまいがち。

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⑶ 給食指導について

 「ア 文部科学省発行の「食に関する指導の手引」第6章によれば,食物アレルギー対応については,校長のリーダーシップの下に栄養士,調理員,担任,養護教諭など教職員全員の共通理解が必要としている。」

除去対象の食品が変わらないことを疑う必要があるのではないか

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf#search=%27%E9%A3%9F%E7%89%A9%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90%27

 

※ http://www.mhlw.go.jp/ は厚生労働省

食物アレルギーの治療のポイント

 「食物アレルギーの日常の治療のポイントは正しい診断に基づいて必要最小限度の食物除去を行うということに尽きます。」

「さらにアレルゲンがどのような食品に入っているのかも十分に指導しなくてはなりません。」

『大切なことは食物除去を指導する場合には栄養学的見地と食事の質の面から必ず除去した食物に代わり得る代用食品を保護者に指導することです。』

医師→保護者→学校 除去の対象となる食物の情報が提示される。

「(必要最小限度)の食物除去を行うということに尽きます。」

完全除去を依頼する情報が学校に提示されたら学校側は怪しいと感じたほうがいい ということになります。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000112469.pdf

《原則》正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去

 

必要最小限の除去とは

1)食べると症状が誘発される食物だけを除去する。

“念のため”、“心配だから”といって、必要以上に除去する食物を増やさない。

2)原因食物でも、症状が誘発されない“食べられる範囲” までは食べることができる。

「“食べられる範囲”の量を除去する必要はなく、むしろ食べられる範囲までは積極的に食べるように指示することが望ましい。」

 

食物アレルギーの治療とは徐々に食べられる量を増やしてアレルギーを克服して改善することにあり、常に完全除去を依頼する情報が提示される場合は治療、改善が進んでいないということになり、原則に則った治療が行われていないという情報を得たことになる。

治療、改善が進まなければ、いつまで経っても保護者も児童もアナフィラキシーショックに怯え続けることになる。

完全除去を維持し続けたからアレルギーが改善されず、ショック死の危険と常に隣り合わせの状況が継続された。

それが不幸な事故を招いたのではないか。

☆★☆

何も変わらない(改善されない)食物除去依頼の提出が続いたら学校は国に報告する仕組みにしたらいいのではないか。

原則に則っていない治療が行われている可能性があると。

学校は文部科学省の管轄、医療は厚生労働省の管轄という縦割があるから伝達ルートがないのか。

☆★☆

3 事故防止への提言

 

「個別面談調書の作成」

「管理指導表記載事項の情報共有」

「緊急時対応における個別対応プランの作成」

「除去食一覧表の作成」

「除去食に関する統一した資料の共有」

 

対策を立てろと言われると書類を増やす話になりがちです。(公だけとは限らない)

なぜか?  書類を作らないと対策に具体性がないと言われるからです。

持つ必要がある人間に必要な書類を持たせる。という話にならずに、和が大事、みんなであれもこれもやりますという話になって書類が増えていく。

書類が増えて担任は子供にかまっている場合ではなくなり、却って見過ごされているのではないか。

☆★☆

対策は足し算になりがち。引き算の場合もある。

 

原因:〇〇をやっていなかったから、〇〇が漏れていた、〇〇が徹底していなかった。

対策:〇〇をやります、〇〇が漏れないように監視を徹底します、新たにチェックリストをつくります、チェックする人を更にチェックする人を配置します、でも人手不足だった。

あれもやります、これもやります。

 

実際にできるのか、実効性はあるのか、やることを増やすと間違える確率が上がる、余計なことをしていなかったのか、新たに加えた工程がクレームの震源になりがち、減らすことはないのか、足し算しかないのか。

☆★☆

「除去食の調理について」

「配食・配膳方法について」

「給食指導に関する提言」

「緊急時の対応に関する提言」

「教職員研修のあり方に関する提言」

教育委員会事務局への提言」

様々な提言がなされます。現場の人は把握しきれるのか。

会議を開いたら提言をしなければならない、提言をすること、対策項目を増やすこと、書類を増やすことが目的になってしまう。現場が書類に追われて子供への対応が疎かになるという本末転倒になりかねない。 

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元々の原因(前提)……アレルギー食物の除去に終始して摂取可能量を少しずつ増やしていく治療が進んでいなかったためにアレルギー耐性を身に付ける機会がなくショック死を迎える不幸な事態に至った。

管轄外だから言及されることはないのだろう、クロスファンクショナルな横断的な提言が許されないのだろうか。対策を立てることはできないのだろうか。

 

付帯的な原因(ルール)……おかわり表(除去食一覧表)を児童本人に持たせることが有効(担任と児童で確認し合う、なくしたらおかわりなし)であると、保護者,栄養士,担任の三者間で認識されなかったから。  ルール作りの時点でつまづいた。

 

前提がおかしい、ルールがおかしい とは言えない。

前提もルールも不問に伏して対策の上に対策を積み重ねて膨大な情報量、作業量になって手が回らなくなり却ってチェックが疎かになって全貌を把握している人は誰もいないという事態になりかねない。

 

 

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