日本国憲法 第9条 戦争の放棄
- 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
- 前項の目的を達するため、陸海軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
文字通りに受け取れば、自衛隊の存在は矛盾しているので違憲になってしまいます。
それによって自衛隊が参加する日米安保も集団的自衛権も違憲になってしまいます。
ところが日本国民は自衛隊の存在を非難したり反対したり、廃止しろと運動したりしません。
なぜか?
多神教である日本人にとっては憲法9条も自衛隊も両方ありだからです。
一神教であったら居ても立ってもいられないのではないか、改憲か自衛隊廃止かどっちか選べ。と
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ええとこどり の日本人の生活
初詣は神社、お寺 どちらに行ってもOK。
夏はお盆にお墓参りをして冬はクリスマスを祝う。
祭りも盆踊りもバレンタインデーもハロウィンも全部参加する。
座禅も組めば(仏教)、神輿も担ぐ(神道)。
結婚式は教会で挙げ、お葬式は仏式で執り行う。
これらを何の矛盾も感じることなく行っている。
いいところだけ、かっこいいところだけ取り入れて、気に入らないところは忘れる。
出家、修行しなければ救われない。→出家、修行しなくても救われる。
信じなければ地獄に落ちるのなら発祥、伝来前の原始人、古代人は全員地獄に落ちていたことになる。
来世で人間に生まれ変わらないで畜生に落ちるなら、何故世界の人口が増え続けるのか。
一々真に受けない、これはこれ、それはそれ と柔軟に取り入れてきました。
何故か(前回振り返り)
(※仏壇と神棚の両方があるのは聖徳太子の習合思想のおかげ。
1400年前の昔、聖徳太子は仏教信者として振る舞いながらも神道を擁護し肯定した。二者択一を迫らない。
仏教を信じても神道を捨てる必要はない。ひとつを選ぶことは他を排除することにつながる。複数の宗教を同じ人間が同時に信じてもよい。
宗教的には堕落と言われます。
しかし、そのおかげで日本人同士の宗教戦争は回避され、政教分離が定着した。
信長の比叡山焼き討ちは寺院のもつ武力や土地という世俗的権力を切り崩すため、秀吉、家康のキリシタン弾圧は外国勢力と結びついて政権を危くするのを防ぐためであった。)
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ドイツが憲法改正を繰り返すのは一神教文化(キリスト教文化)だから
ものごとを体系的に捉えて整合性を希求するドイツ人は実態と条文の矛盾がないように憲法改正をして軍隊を復活しました。
ドイツはアメリカ、ロシアに次ぐ世界3位の武器輸出大国です。軍事力がなければ世界での発言権がないと。
世界の武器輸出額 国別ランキング・推移 - Global Note
2016年世界武器輸出額ランキング <単位:百万US$>
米国 9,894、ロシア 6,432、ドイツ 2,813、フランス 2,226、中国 2,123、
イギリス 1,393、イスラエル、1,260、イタリア 802、韓国 534、ウクライナ 528
ドイツの輸出品目は 潜水艦、哨戒艇、戦車、装甲車、戦闘機の部品、自動小銃etc、
ユダヤ人迫害の謝罪の意味もありイスラエルは重要な輸出先です。
「日本は反省してドイツを見習うべきだ」
見習ったら憲法改正を繰り返して、武器輸出大国になります。
何を反省するのか?
憲法改正と、武器輸出をしてこなかったことを反省するのか。
趣旨は日本の軍事化に反対であるだろうに、願っていることと正反対の結果になることを要望することになります。
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ええとこどり ができない国は植民地にされた
日本より先に西洋文明に触れた国々は、西洋の技術や制度を取り入れたら自分たちの社会体制、家族制度、地域社会、教育とどう整合性を取るのかという議論になり近代技術や制度を導入できないうちに植民地にされてしまいました。
その技術を取り入れたらわが村はどう変わるのか、家族制度や教育はどう変わるのかと議論が沸騰して容易に西洋の技術や制度の導入をすることができませんでした。
一神教文化なので一つを選ばなければならない。新しいものを取り入れたら古いものを捨てなければならないので紛糾したのです。
そうしているうちに力の差で植民地にされてしまいました。
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多神教文化の日本は新しいものを入れたからといって古いものを捨てる必要はなかった
便利そう、面白そう、これを入れたら社会が家族制度がどうなるか と深く考えないで取り入れる。
どっちもOK、整合性とか矛盾とか生活がどうなるとか深く考えない。
よい言い方をすれば柔軟、悪い言い方をすればノンポリ。
明治時代は鉄道、通信網を造り、議会制度も徴兵制も布いた。制度も学校も洋式にした。
でも西洋の自由思想や家族制度は取り入れなかった。
それはそれ、これはこれで取り入れました。
悪い方に作用した場合は深刻な公害問題を引き起こしました。足尾鉱毒事件、戦後は水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく…。
ええとこどり の日本車の発展
パワーステアリング、パワーウインド、エアコン 快適装備はアメリカ車の ええとこどり、初期の軽自動車ではオプションでもなかったのに(エアコンではなくクーラーの後付けはあった)今では標準装備。
高速、荒天時の安定性、快適性追及はドイツ車の ええとこどり。
デザイン、走る楽しさは イタリア車の ええとこどり。
木と革の内装はイギリス車の ええとこどり。
ええとこどり→デッドコピー→オリジナルを凌ぐ
カメラ、バイクは世界シェアナンバーワンになりました。
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朝鮮戦争勃発時、アメリカの再軍備要請に対して、憲法9条を盾にして復興を優先しました。
経済発展すると もうええとこどり は許さない、貢献しろと言われるようになりました。
多神教 ええとこどり の日本人にとっては憲法9条と自衛隊は矛盾しません。
どっちもOK、どっちもありなのです。
でも一神教の人にはわからないのです。
自衛隊は違憲だ というのは一神教的価値観です。
座禅と神輿の両方はできません。ましてクリスマスを祝ったり、バレンタインデーでチョコを贈ったり贈られたりするのはもっての外です。
四国でお遍路、スペインで巡礼の旅ですって どっちかにしなさい。
神道か仏教かキリスト教か選んで貫き通すべきということになります。
多神教の政治家と一神教の政治家
多神教の自民党にとっては憲法9条も自衛隊も日米安保も集団的自衛権も矛盾しません。
一神教の共産党(カール・マルクス「宗教は阿片である」宗教を否定するのは他の宗教を排除する一神教的価値観がバックボーンになっています。本人は無意識だったのかもしれません)にとっては矛盾です。
多神教の政党、議員が憲法改正を発議し、一神教の政党、議員が憲法改正に慎重。
日本の不思議です。
それではまた。