ベルリンの壁崩壊、ソ連崩壊で東西冷戦は終わった。資本主義と社会主義の争いは終わったといわれています。
革命と云えば、市民・労働者の蜂起のイメージがありますが、そのような形態ではありません。官製の革命です。
資源を押さえ、物流・港・航路を押さえ、利害関係を作って相手側の忖度を誘い結果的に外国の言論を抑え、先進国からの投資を誘って資金を集めて発展途上国へのインフラ投資を通じて影響力を行使する。
資本主義の国から、資本家から金を集めるのは変節ではない、路線の変更ではない、革命の手段。
変節と見做されたら失脚するから。
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商品が、原料が、入るかわからない、資金が調達できるかわからない、生産販売、衣食住に困っている。そんな状況では経済も文化もありません。
逃げればいい、どこへ? 逃げた先で楽で快適な生活が待っているわけでもない。
極端な状況にならなくても、資源と資金と土地と水と食糧の奪い合いで生活レベルの維持が困難になる。経営環境が厳しくなる。
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人口を背景にした圧力
観光圧力
(2018年3月29日 日本経済新聞朝刊1面)
「西太平洋に浮かぶパラオ共和国が中国人客離れに直面している。
1月に訪れた中国人観光客は前年同月比で3割減。地元メディアは「中国当局が団体旅行を禁止した」と報じた。
パラオは中国が「国」と認めない台湾と国交を保つ数少ない国だ。渡航自粛は国交断絶を求める圧力と受け止められている。」
総人口2万人の小国にとって年間9万人訪れた観光客の激減はかなりの痛手。
韓国が米軍の地上配備型ミサイル迎撃システムTHAADを配備したときの韓国企業に対する圧力、韓国への観光ボイコットは記憶に新しい。
ロビー活動
「オーストラリアでは1月、野党のダスティアリ上院議員が辞職した。中国系実業家から献金を受け取り、南シナ海問題を巡って中国寄りの発言が目立ったためだ。」
ハリウッド支配
(2018年3月26日 日本経済新聞朝刊1面)
「中国の映画市場の規模は遠からず米国を抜いて世界最大となる。」
意識せざるを得ない。
「米 ハリウッドで大作映画の制作者が必ず参照する文書がある。中国政府が映画の公開を認めるかどうかを定めたガイドラインだ」
バック・トゥー・ザ・フューチャーも検閲の対象
タイムマシンで過去に戻ることは 過去に戻って共産党支配を変えられることを連想させるからNG
興業成績を最大化するためには中国政府の顔色を覗いながら(忖度して)映画を製作することになる。
資本家は商売のために自由を手放す、そこを突く。
「事業への影響をおそれ報道機関が中国への批判を抑えている。大きな問題だ」香港紙アップルデイリー創業者 黎智英氏2007年)
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判決は金で買う
(2018年3月27日 日本経済新聞朝刊1面)
「世界最貧国のひとつ、アフリカ東部エチオピア。空港拡張から路面電車まで目立つインフラ整備は中国輸出銀行の融資に依存する」
「エチオピアは南シナ海問題を巡る判決を控えた16年夏、中国支持をいち早く表明した。」
融資です。返せなかったら、味方をしなかったらどうなる(どうする)んでしょう。
資本主義をコントロールする手段はカネ。弱点はカネ。自由主義者が法の支配を謳うなら、その法をカネで押さえる。資本主義の矛盾を利用する。
ドイツ連邦憲法擁護庁の警告
「リリー・ウーやレイチェル・リーに注意せよ」
交流サイト、SNSに偽アカウントで登録し行政機関で働く1万人以上に接触していたという。
「同庁は9ヶ月間のやりとりを分析し、偽アカウントが機密情報や協力者獲得に使われたと指摘。黒幕を中国の情報機関だと断定した。」
洗脳なんて手間のかかることはしない、SNSで友達としてつき合っているうちに罪の意識もなく協力者になっている。
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(3月22日)
3月21日 中国国営新華社「中国共産党・政府改革案に「海警部隊は武装警察に隷属する」
武装警察は中央軍事委員会の指揮下 → 尖閣周辺で領海侵入する海警が中央軍事委員会の指揮下になるということです。警察行動か軍事行動かあいまいにして、相手国が軍を派遣したら、こちらは警察なのに軍を出すのは過剰反応だと言って非難する。見かけは警察だが指揮下に入ったので軍と緊密に連携をとることがルーティンになる。
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3月21日朝刊11面
3月20日 全国人民代表大会(全人代)閉幕式 習近平国家主席 演説要旨より
「他人を脅かすことに慣れた人だけが、周りの人が脅威だと考える。中国人民が人類の平和や発展に貢献しようとする願いや行動に対し、あらゆる人は誤解したり、さらには曲解してはならない。」
どこぞの国の中国脅威論を唱える人は他人を脅かすことに慣れた人だと強調したかったのでしょうか。
慣れた人だけが? だけ とは例外なくということです。
弱者が周りの人が脅威だと考えたら、弱者が例外なく他人を脅かすことに慣れた人ということになってしまいます。
暴力の被害者が周りを脅威と考えたら、被害者が例外なく他人を脅かすことに慣れた人ということになってしまいます。
SNSを通じて外国の行政機関職員に接触するのも、検閲や圧力も社会主義革命を通じた人類の平和や発展のためであり曲解してはならない。という。
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中国依存の世界経済
2017年の中国の経済成長率は6.9%、経済が活発なら輸入も増加する。中国当局によると18.7%増加
日本、アメリカ、ドイツといった輸出国の経済成長率をも押し上げるから資本主義国は中国の経済成長率が低下したら困る。金融市場にマイナス材料が生じたら困る。
中国の経済発展は止められない。だから経済発展を背景に影響力を行使するという動きも止められないというジレンマに陥っている。
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北極も一帯一路に
(日本経済新聞2018年1月27日朝刊9面)
「中国政府は26日、北極海の開発や利用に関する基本政策をまとめた「北極政策白書」を公表した。」
「北極海を通る航路を「氷上のシルクロード」と呼び、中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」と結びつける方針を示した。」
北極海航路はインド洋、スエズ運河、地中海経由よりも輸送時間が約3割短くなるという。
アメリカ、ロシア、北欧、北極海沿岸諸国とのルール整備で主導権を握る。
物流ルートを押さえること、海路を押さえることが覇権に結びつき大英帝国は築かれた。
その歴史に倣っている。
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トランプ政権の制裁関税はバブル軟着陸を阻止する?
中国は90年代の日本のようなバブル崩壊を招かないようにカネ余りの状態から軟着陸をしたい。
追加関税の主な項目
(日本経済新聞2018年4月5日朝刊1面)
「航空機、自動車、バス、通信衛星、産業用ロボット、半導体、発光ダイオード(LED)、家庭用食器洗い機、ワクチン 約1300品目 それぞれ500億相当に25%課税」
銀行、証券、保険などの金融機関が個人から集めたお金を集めてファンドを組成して運用する。発展が見込まれる企業に投資する。その業種を狙い撃ちして関税をかけて売上・利益が落ちれば投資の行き場に困る。企業の倒産による焦げ付き、元本割れの連鎖が現実になればバブル崩壊を招く。
「米戦略国際問題研究所のスコット・ケネディ氏は「米国の消費者や他国から反発を抑えられるよう米政権は非常に慎重に品目を選んだ。」
中国以外の国の反発を抑えられるように慎重に選んだという。
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デモは許可制
(朝日新聞2017年9月10日朝刊1面)
「尖閣へ出漁「中国政府の命令」」
「日本の巡視船が来たが、中国海警がしっかり守ってくれた」「どこで漁をするかは自由だが、釣魚島だけは俺たちでは決められない」「勝手に行くと海警に守ってもらえず、日本の船に追い払われるだけだ。中国でも違法扱いになる」「尖閣諸島付近に行くかどうかは政府の指示だと明言する」「尖閣諸島は誰のものかと聞くと即答した。「当然中国のものだ。今は力が足りないが、軍艦や公船が十分に俺たちを守れるようになれば、喜んで行く。」
中国の漁師への取材です。
(日本経済新聞2018年3月31日朝刊10面)
「05年の3月から4月にかけて北京、上海、成都で半日デモが繰り広げられた。上海の日本総領事館の建物を破損させるなど一部のデモ参加者は暴徒化した。」
(当時 小泉政権)
「政冷経熱といわれるほど日中の政治関係は冷却し、政治対立は12年9月、尖閣諸島国有化を巡って頂点に達した。
中国は政治的なデモを禁じているが、再び反日デモに限って容認した。」
(当時 野田政権)
デモができることは民主主義の証ではないということです。
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中国滞る「一帯一路」
(日本経済新聞2018年4月2日朝刊4面)
「各国で遅れ、費用増も」「インドネシア 鉄道の進捗10%」
中国にとってマイナスばかりとは限らない。
ラオス、インドネシア、バングラディッシュ、スリランカ、モンゴル、カザフスタン、パキスタン、沿線、沿海で工事が遅延すれば投資の回収が遅れるから借金が返せなくなる。
借金のかたに何を要求されるのか。
「スリランカは17年12月、南部パントタ港の運営権(99年)を中国企業に譲渡した。」
「スリランカ国内では主権の喪失ではないかという疑問も浮上している。」
99年間の期間限定で運営権を譲渡するということです。
99年後に実際に返還されるかは国際情勢次第ではないか。
なぜ99年なのか
香港が租借されたときに、清の李鴻章は99年の期限をつけた。99年後は当然、自分は生きてはいない。清王朝は残っていないことがわかっているのに期限をつけた。
イギリス側は99年後は清王朝はないから無効になると思ったのだろうか。
李鴻章は後継する国家が力をつけていれば約束を守らせると後世に託したのではないか。
おそるべし。
故事に倣って、返還を求めるなら力をつけろということか。
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軍のコントロールは未知数
(日本経済新聞2018年3月30日朝刊6面)
「モディ氏 実は今日は自分の誕生日です。だが、まさかこんな贈り物をもらうとは思わなかった。」
「習氏 いったい何のことでしょう。」
「モディ氏 いま、あなたの国の軍が、インド側に越境しているのを知らないのですか。」
「モディ氏が状況を説明すると、習主席は見るからに戸惑った表情を浮かべ「明日までに調べてみる」と応じた。
「翌日の会談で「北京に戻ったら事態を収拾する」と約束したという。」
2014年9月 習氏が初めてインドを訪れ友好関係を打ち立てようとしたときに、その数日前、国境が画定していないラダック地方で、中国軍がいきなり実効支配線を越え、インド側に侵入してきた。越境した兵士は1000人を越え、習氏のインド滞在中、ずっと居座った。
「習氏に忠誠を誓わない勢力がいて、彼のメンツが丸つぶれになるのを承知の上で、あえて越境したという噂もある。」
習氏が北京に帰った数日後、中国軍は撤収した。
「昨年(2017年)6月には中国とブータンの国境で、いきなり中国軍が道路建設を開始。ブータンの要請を受けたインド軍が出動し、約2ケ月半にわたって中印両軍がにらみ合う危機になった。」
「最後は習主席とモディ首相の会談で手打ちとなったが、インドは中国とのやり取りから「きっかけとなった道路建設は最高首脳の命令ではなく、現場の判断による行動だった」という感触を深めたという。」
「中国共産党党員 約9000万人」の圧倒的支持
全人口14億の6.4%の圧倒的支持
末端にコントロールが行き渡らないのも無理がない。
公認か黙認か命令か現場の暴走か。
法治が利かない、人治にならざるを得ない。
人治はローカルルールですと言えるためには、法による支配と言えるためには、抜け駆けしていたら利用されます。
商売のために人治に忖度していたら、資本主義は社会主義に忖度し続けることになります。
それではまた。