この映画に向けられた批判がよい子っぽいのは何なのか。
非行 か ヘタレ か―究極の選択
歌舞伎町で黒服の男に連れ込まれそうになっている陽菜を見た帆高はそのまま連れ去らせまいと陽菜の手を掴みます。
ウケる!
黒服の男に倒されて押さえられて思わず隠し持っていた(おもちゃと思っていた)銃をぶっ放します。
よい子を震撼させるシーンです。非行だ 犯罪だ 認められない と。
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TV、映画、漫画の刷り込みで無意識にありがちなシーンを求めてないか
ありがちな話は 帆高は一般人で 正義の味方が黒服をぶっ飛ばしたり、捻り上げたり、都合よくおまわりさんがやってきたり、居もしない おまわりさん に向かって「おまわりさーん こっちこっち」と誰かが言って、黒服一味が騙されて逃げる。
東映 日活のスターが、変身前の姿のヒーローが、カンフーや武道の嗜みがある人が現れて黒服を撃退する。
そんなのナイナイナイナイナイナイナイナイナイ。
ケンシロウが秘孔を突いて黒服が破裂したり、ラオウが黒服を撫でたらぶっ潰れたり、のび太がドラえもんの道具コベアベを吹いたら帆高と黒服の形勢が逆転したり
(あんたこそ漫画の読み過ぎ)
そんな都合のいい展開は起こらない。それがいい。ここで小栗旬(須賀圭介)が黒服をぶっ飛ばしたらアルアル映画になってしまう。
帆高は自分で立ち向かわなければならない。
警察からの押収を逃れた銃が歌舞伎町のビル下の空き缶入れのゴミ箱の中にあった。(東京ってこええ)
お守り代わりに持っていたオモチャの引き金を引いたら本物だった。
黒服は引きます。助けたつもりの陽菜からは「殺してたかもしれないじゃん。……信じられない。気持ち悪い。最悪!」と言われる始末。
ウケる。
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未成年の陽菜が風俗店(接待飲食営業店)に連れ去られるのを防ぐ手段が銃しかない状況を よい子 は受け入れられない
- 銃がなかったら 帆高はボコられて陽菜は連れ去られるしかない。
- 或いは帆高は ヘタレ になって おまわりさん を呼びに行って、戻ってきた時には陽菜と黒服の姿はない。
そんな展開を見たいのか。
嫌ならアルアルな展開にするしかない。
アルアルはもういいよ。
新海監督はアルアルをやりたくなかったんじゃなかろうか。
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空に陽菜がいると信じる帆高、信じない須賀圭介
廃ビルに駆け込んだ陽菜の弟 凪は「帆高 お前のせいじゃん、姉ちゃんを返せ」
100%晴れ女にしたせいのことを指しているのですが、警察はそうは取らない。
陽菜が帰って来なかったら帆高は保護観察処分では済みません。死体が出て来ないので殺人事件の立証はできない。でも行方不明に絡んでいることに変わりはないと精神異常者扱いにされます。
陽菜が空にいる。そんなことがあるわけがないと大人の常識で須賀圭介は帆高にこれ以上の愚行を繰り返さすまいと説得を試みます。
「とにかく落ちつけよ、帆高。今すぐ警察に行った方がいい。話せば分かってもらえるさ、お前は別に悪くねえ。」
前の晩に餞別で島に帰らせようとするのは帆高にとって社会的には無難な選択です。
島に帰ってから銃の在り処を聞かれて廃ビルに捨てた証言をして発見されれば警察的には一件落着です。
するとどうなるか。
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帆高は陽菜を見捨てた自分を一生許せない、陽菜は人柱の呪いが解けない
陽菜は母が亡くなる1ヶ月前に廃ビルの屋上の神社で天とつながり人柱になりました。
陽菜の人柱の呪いを解くには帆高の「青空よりも、俺は陽菜がいい。」が必要だったのです。
須賀の言う通りにしたら帆高は島で悶々とした日々を過ごし、大人になった凪は姉の仇を始末すべく、相変わらずのそつのなさで島の男を敵にしないで島中の女子を味方にして帆高を追い詰める。
そんなドロドロの話はイヤだ。
(でも須賀も警察が来たら帆高の味方だったよね。追い詰められた帆高を見て自分を取り戻したんだよ。)
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新海版 天空の城ラピュタ か
(えっわかんない)
パズーの行動がなければ、シータはラピュタの血の宿命から逃れることはできなかった。
ルパンの行動がなければ、クラリスはカリオストロ家の血の宿命から逃れることはできなかった。
帆高には宮崎アニメのヒーローのような知力も人間離れした体力もない。
ボコられても頭がおかしいんじゃないのと首をかしげられても陽菜を助けようと必死にもがいて抗う。
帆高の行動がなければ、陽菜は天とのつながりを解くことはできない。
並はずれた知力も体力もなくても帆高は陽菜のヒーローだ。
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ヒーローは誰かがやってくれる?
電車が正確に運行されるのも、ビルが真っ直ぐに立つのもヒーローがいるからです。
1人1人が俺が私がやらなくても誰かがやってくれるでしょと思っていたら成り立たない。
仕事を自分事にしているのがヒーローで、他人事にしているのがアンチヒーローです。
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保線作業員が帆高を追いかけないのがおかしい?
未曾有の災害で復旧が急がれているのですから、持ち場を離れるな、ガキにかまうな、作業を急げ、ガキは警察にまかせろ。です。
作業員が追いかけるほうがおかしい。
駅員がホームから飛び下りて追いかけ始めたら他の客も追いかけるから駅員は飛び下りて追いかけたらいけない。
(そこ違う、ホームに客はいなかったよ。)
記憶違いか、ヤバい。もう一回見よう。
全列車が止まっているから轢かれる心配はない。
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よい子の言う通りにしたらどうなるか
陽菜は風俗に売られ、帆高はヘタレ、別ルートで陽菜が晴れ女になったら人柱のまま消える。犠牲は必要だ、止むを得ない、社会のためだ、みんなを救え、それを感動話に仕立てるべきだ。というのがよい子の理屈です。
それを観て騙されて感動するか、モヤモヤするかで感性が問われます。
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(陽菜の母親の葬式はどうなったの)
葬式、墓、仏壇があるのがあたりまえ、親戚が姉弟を引き取るのはあたりまえ、
よい子のあたり前は今の日本ではあたり前ではなくなっています。
映画を観て ないのはおかしい と言うのは自分でお金を出したことのない人の発想です。
母子家庭で病院の費用でいっぱいいっぱいだったんだな、祖父祖母は高齢か亡くなっていて血の縁も薄かったんだろうな。
帆高の家出の説明とかいらない。
家出に大した理由を求めるのは思い込み。
全部説明されたら面白くない。
問があって決まった答えが用意された よい子 に向けた教育映画ではない。
(スキ アイシテル)
つまんねー
(バカ キライ)
かわいい
(あんたがひねくれてるだけだと思う)
帆高はどうやって銃の安全装置を外したんだ とかマニアックな突っ込みはあっても別にいいと思う。
朝から雨であったが映画が終わってシネコンから出たら晴れていた。今まではラッキーと思っていたが、雨のままでもいいんじゃないかと思えてきた。
(列車が全線停止なのになんで駅のプラットホームに客がいるんだ とか※8月15日削除)
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より抜粋
もっともらしく聞こえて現実離れしている よいこの提言-前提とルールはなぜか疑われない
調布市立学校児童死亡事故 ※ http://www.mext.go.jp/ は文部科学省
検証結果報告書概要版
調布市立学校児童死亡事故検証委員会 平成25年3月
※以下は抜粋要約しています。
1 事故の概要
平成24年12月20日(木)乳製品を除去している児童が給食でおかわりをした際に、誤って普通食のチーズ入りのチヂミを食べてしまった。(献立表に食べてはいけない料理に引かれているピンクのマーカーがなかったから)
配食された給食が済んだ頃に,日直が「おかわりどうぞ」とクラス全体に声を掛けた。
担任はいつものように「大丈夫か?」と声を掛けたところ,児童は保護者が念のために持たせている献立表を出し,「これを見れば分かる」と言った。(マーカーを引いてないので見ても分からない献立表だった)
児童はアナフィラキシーショックを起こし亡くなられました。
アレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくなどと同じアレルギーの一種で、症状が呼吸器や皮膚など限られた範囲ではなく、全身に現れるものをアナフィラキシーという。
特に過剰な免疫反応により血管が拡張して血漿(けっしょう)成分が漏れ出て血圧の低下やむくみ、意識消失などがみられるものを「アナフィラキシーショック」と呼び区別する場合もある。
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「保護者,栄養士,担任との間のルールでは,おかわりの申し出があった場合担任は,除去食一覧表(担任用)(いわゆる「おかわり表」という)で確認することになっていた。」
このルールの有効性には疑問符がつきます。
「担任は児童の持っているルールとは関係のない(食べてはいけない料理にマーカーの引いてない)献立表は見たものの除去食一覧表(担任用)の確認はしていなかった。
(当日,除去食一覧表(担任用)は2階職員室の担任の机の引き出しに入っていた。それでは意味がない、それがけしからんという話になった。)」
ルールに無理がある。教師ではなく児童(5年生)におかわり表を持たせたら教師が忘れるということは起こり得ない(なくしたらおかわりなし)。
その上ルールとは関係のない(食べてはいけない料理にマーカーの引いてない)献立表を持っていることが災難の元だった。持っていること自体がルール違反だと誰も気付かなかった。三者でルールを決めたのに常時守られていないダブルスタンダード状態だった。
Nikoichiだったらなんでそんな紛らわしいもの持ってるんだと言う。
(今の担任ってチョー大変!nikoichiが小学生のときはおかわりは早いもの勝ちだった、日直が聞いたりしなかったし取り過ぎて担任に怒られた(女子はやらなかった、やらかすのは男子だけ)。アレルギーがあったら早食いはできないからおかわりはあきらめる他なかった。)
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2 事故発生の要因
「検証委員会では今回の事故の直接的な原因と思われるものとして,除去食の提供(おかわりを含む。)方法と緊急時の対応の二つに大きな問題があったと判断している。」
除去食の提供では,
1 チーフ調理員がSさんに,どの料理が除去食であるかを明確に伝えていなかったこと。
2 おかわりの際に担任が除去食一覧表(担任用)で確認しなかったこと。
3 保護者がSさんに渡した献立表に,除去食であることを示すマーカーが引かれていなかったこと。
緊急時の対応では,
1 担任がエピペン®を打たずに初期対応を誤ったこと。
2 養護教諭が食物アレルギーによるアナフィラキシーであることを考えずに,エピペン®を打たずに初期対応を誤ったこと。
以上の内一つでも実施されていたら,女の子の命を守れたのではないかと考えられる。」
そうか?
「3 保護者が子供に渡した献立表に,除去食であることを示すマーカーが引かれていなかったこと。」
親が常時間違いなくマーカーを引くことを期待することはできない。負担をかけるでしょ。紛らわしいから子供に持たせない。子供には おかわり表を渡す。
「1 チーフ調理員が児童に,どの料理が除去食であるかを明確に伝えていなかったこと。」
そういうことを常に口頭説明するの? チーフ調理員はそんなに暇なのか、どれだけ非現実的なルールなのか。常時間違いなく実施されることを期待することはできない。子供に おかわり表を渡せば済む話でしょ。
「2 おかわりの際に担任が除去食一覧表(担任用)で確認しなかったこと。」
子供に おかわり表を渡して担任が一緒に確認すれば済む話でしょ。
同じ立場に置かれたら実際に自分ができるのかという検証をすることなく複雑な対策を立てて、やらないことはけしからん、できたはずだ。という精神論に終始
して同じ失敗が繰り返される。
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- 情報の共有について
「ア 児童・生徒の生命に関わる食物アレルギーについては,保護者,栄養士,調理員,担任はもちろん,養護教諭,学校長など学校の教職員全員が把握する必要があり,管理指導表の内容についても教職員全てが把握しておく必要があるが,必ずしも全員が把握していなかった。」
必ず全員が把握している職場が存在するのか。
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「必ず全員が把握すべし」 という提言は ブーメランになって返ってくる
文科省の職員全員が学校現場の状況を把握していたらそもそも問題は起こらない。
学識経験者、諮問委員は文科省に皮肉を問い掛けているのだろうか。
そんな意味のない皮肉はやめていただきたいと たしなめる官僚はいなかったのだろうか。
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児童全員が注意する必要があっただって
「イ 発達の段階にもよるが,同じクラスで学ぶ友人に食物アレルギーがある場合,友人が何を食べてはいけないのかという事について, 同じクラスにいる児童全員が注意する必要があった。」
児童全員が注意する必要があった。……無理!ファンタジー!クラスメイトが苦しみだしてから「どうしたの どうしたの」と言うのが子供の実態ではないか。
児童は全員英才精鋭であるべきだ!フィクションにもほどがあります。
(児童は全員、よく話を聞いて理解して覚えて、事あれば即応できる。どこにあるんだそんな小学校。)
(無意識に戦時中の軍事教練の感覚のままなんじゃないの、スゴ!)
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⑵ 除去食の調理と配食・配膳について
「 チーフ調理員から手渡しする際に,料理名を口頭で伝えたようだがSさんに伝わっていなかった。」
チーフ調理員はそんなに暇なのか。おかわり表を渡して児童が担任と共有すれば済む話でしょ。
- 情報の共有について での認識が(2)に影響している。
「ウ Sさんの給食に除去食があるかないかの情報が,担任に事前に配布するおかわり表のみで行われており,当日は担任に伝えられていなかった。」
児童がおかわり表を持っていれば済む話、なくしたら おかわり はなし。
逐次口頭で伝えるのが確実という信仰があるのでしょうか、あてにならないと思う。
言い忘れたり、言い間違えたりあてにならない。間違えたらたるんでいるとかいう精神論になって堂々巡りになってしまいがち。
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⑶ 給食指導について
「ア 文部科学省発行の「食に関する指導の手引」第6章によれば,食物アレルギー対応については,校長のリーダーシップの下に栄養士,調理員,担任,養護教諭など教職員全員の共通理解が必要としている。」
除去対象の食品が変わらないことを疑う必要があるのではないか
※ http://www.mhlw.go.jp/ は厚生労働省 の資料を見ると、また違った原因と結論が推定できます。
別の分野を顧みないでタコツボに嵌っている気がした。
それではまた。