罪を憎んで人を憎まず とは言うものの
親族、知人、尊敬する人、有名人がテロや放火、通り魔の犠牲になったら国民感情で極刑を望むのではないか、罪を憎んで人を憎まず とは言うものの誰もが聖人君子ではない、野蛮の一言で切り捨てられるものではない。
地下鉄サリンや連続爆破テロのようなことが起こった経緯で被害者、遺族の感情を考えれば極刑が望まれる社会不安の背景がある。
加害者に対する極刑が執行されても遺族の生活が変わるわけではないと寛容の精神を説かれても、不安な大衆は 上から目線だ と反発する。
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死刑制度のメリットとデメリット
メリット:抑止効果
出所後に殺人を犯すと再犯になるので死刑になる、出所後に社会からの差別で再犯の可能性が高まり、再犯がまた殺人になる。計画的ではなくても衝動で殺人を犯すこともあるので、死刑を廃止すると1回殺人を犯した人の再犯性が高まる。
デメリット:冤罪のおそれ
人間にはミスがあることについては否定できない。取り返しがつかないからゼロ以外は一切認めないという考えもあるが、問題は、ミスが冤罪に結びつく可能性はどの程度かということです。
裁判員制度、DNA鑑定の進歩といったミスに対する改善策を図ってミスを減らす努力で冤罪を減らしていくのが本道ではないか。
廃止する立場は冤罪の問題が重大
無実の人が極刑に処され、真犯人は法の裁きを受けずに高枕、こんなことが許されていいのか、取り返しがつかないという義憤。
でも死刑の代わりに無期懲役の釈放のない終身刑化を適用しても結局は死ぬのであり、死刑とどう違うのかとも思う。
国が手を下した死と、結果的に刑務所で寿命が尽きるのと、どちらが人権侵害が甚だしいのか。
国の人命に介入する範囲の議論ではないか。
国はいかなる場合に国民の命を奪うことを正当化できるのか。
いかなる場合も許されないとする立場と、場合によるという立場に分かれるが、アメリカの乱射事件や日本の地下鉄サリンや通り魔事件の報道を見ると無抵抗主義は貫けない。
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アジアにおける廃止国…凍結(10年間執行されていない)
韓国(1998以降凍結)、フィリピン(2006年廃止)、マレーシア(2018年凍結)、ネパール(1997年廃止)、ブータン(2004年廃止)、カンボジア(1989年廃止)
廃止後復活
スリランカ(1976年凍結 1999年復活)、パキスタン(2009年凍結、2014年復活)、イラク(2003年凍結 2004年復活)
アムネスティ・ジャパンによると
死刑廃止国・存置国<2017年12月31日現在>
- すべての犯罪に対して廃止:106カ国
(刑罰として死刑がない)
アルバニア、アンドラ、アンゴラ、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、ベルギー、ベナン、ブータン、ボリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、ブルンジ、カンボジア、カナダ、カーボベルデ、コロンビア、コンゴ共和国、クック諸島、コスタリカ、コートジボワール、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、ジブチ、ドミニカ共和国、エクアドル、エストニア、フィンランド、フィジー、フランス、ガボン、ジョージア、ドイツ、ギリシャ、ギニア、ギニアビサウ、ハイチ、バチカン、ホンジュラス、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、キリバス、キルギス、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マケドニア、マダガスカル、マルタ、マーシャル諸島、モーリシャス、メキシコ、ミクロネシア、モルドバ、モナコ、モンゴル、モンテネグロ、モザンビーク、ナミビア、ナウル、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ニカラグア、ニウエ、ノルウェー、パラオ、パナマ、パラグアイ、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ルワンダ、サモア、サンマリノ、サントメ・プリンシペ、セネガル、セルビア(コソボを含む)、セイシェル、スロバキア、スロベニア、ソロモン諸島、南アフリカ、スペイン、スリナム、スウェーデン、スイス、東ティモール、トーゴ、トルコ、トルクメニスタン、ツバル、ウクライナ、イギリス、ウルグアイ、ウズベキスタン、バヌアツ、ベネズエラ
欧州、中南米、アフリカ諸国が大半を占める。欧州諸国の旧植民地といった文化的背景、キリスト教的価値観が背景にあるのではないか。
日本、中国、インド、アメリカ、ロシア、イスラム教の国では死刑制度が存続、或いは復活している。
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http://www.news24.jp/articles/2016/10/28/07344955.html
日テレニュース24(2016年10月28日)
内閣府が(番組の)2年前(2014年)に行った調査では国民の8割が「死刑もやむをえない」と回答 廃止すべきと回答した人は1割だったという。
終身刑が導入された場合は世論調査では死刑に肯定的な意見は8割から5割に減った。
加害者への極刑を求める被害者、被害者の遺族
死刑の代わりに仮釈放の可能性のない終身刑の導入については生涯税金で面倒を見ることへの反発がある。
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死刑制度が廃止されて憤懣やるかたない被害者・遺族はどうなるか
恨み憎しみは何も生み出さないと人道主義を説かれても治まらない人はいる。
殺人の依頼は殺人の教唆で犯罪です。自分で手を下す仇討ちも自分では太刀打ちできないからと仇討ちを依頼するのも犯罪です。
反社会勢力とされる組織が裏稼業で 依頼人の秘密厳守 と謳って仇討ちを請け負い市民生活に入り込む。
仕事人 という裏サイトが立ち上がり行き場のない出所者へのリクルートが行われて仇討ちを行う実行犯に仕立て上げられて警察との攻防になる。
(警察は余計な仕事を増やされた状態になる)
裏稼業の大義は「晴らせぬ恨みを晴らす」「世のため人のためにならない殺しはしない」であり、単なる暗殺や殺し屋とは違う。というTV番組の必殺仕事人みたいな理由で説得される。
テレビ番組は真似されないようにという配慮があって、あり得ない無理な殺害方法が放映されていたが、そういった部分は真似されないで 晴らせない恨みが裏稼業を生み出す懸念がある。
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テロリストをいつまでも収監すると暗殺者と救出者がやってくる
他の国に預かってほしいと依頼したら先進国の自覚・責任を持てと言われてしまう。
恨みのある敵対組織は暗殺者を派遣し、所属の組織は救出を図るので、刑務官に撃退するための訓練を行なったり、特殊部隊を配備する費用が発生して予算折衝で法務省と財務省の攻防になる。
その費用が嵩むからと人里離れた脱出、奪還、侵入が困難な山中に専用収容施設の建設計画が持ち上がると予定地の自治体が反対して、助成金増額の交渉がもたれたり、自治体が容認に動いたら観光協会、旅館や民宿、山小屋といった宿泊施設やガイドが反対運動を始めて観光客、登山客に署名を求めたり。
(日本赤軍みたいに無関係の一般人を人質にして釈放を要求してきたり。)
処刑しないでいつまでも収監しているからだと世論の非難を受ける。
死刑を廃止したので収監を続けるしかない。
復活しろと言われてしまう。
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必殺仕事人は捕まっても死刑にならない
依頼人のことは黙秘権を行使して白状しない。
差し入れは依頼人から反社会勢力を通して行われ(尻尾をつかまれないように構成員ではなく、カネになるいいバイトがあると言われて下請け孫請けが出向く)、差し入れがあることが自白しないインセンティブになる。
そうして反社会勢力は市民生活に根を張り巡らし、敵討ちの依頼はやめましようと公共広告が配信される。
差し入れ禁止、面会謝絶にしたら人権問題とか特定の収容者や犯罪に対する制限の法的整合性を問われて、国会審議をすることになり、センセイ方に法務省の職員や専門家がレクチャーする羽目になり余計な仕事を増やされた。
それとも予算拡大につながるからよいことだと思われたりして。
これ以上予算を増やすなとか、カネの問題ではないと議論になる。
複数の人を殺害したら死刑判決でしたが、死刑制度が廃止されたので仕事人は死刑にならない。
それではまた。
(2019年11月10日追記)
死刑になっても構わないと言う犯人はどうするか
自暴自棄になって自殺をする代わりに他人を巻き添えにして自分は死刑にされて死のう。
死刑にすると望みを叶えることになってしまいます。でも今の制度では死刑を求刑するしかない。
こういう迷惑な人には釈放の可能性のない終身刑を処して一生向き合っていただきたい。
釈放の可能性のない終身刑が制度化されれば、死刑になっても構わないとは自白しなくなるので、事件の状況により検察の求刑と裁判所の判断次第になり、無罪判決を諦めている被告側が終身刑だけは嫌だと有期刑や死刑を望んだりして。
となれば、釈放の可能性のない終身刑は最も苦しみを与える極刑といえる。
一人で死ねないから他人を殺して自分を死刑にしてもらおう。
そんな身勝手な言い分は通らない。
殺された人の無念に寿命が尽きるまで向き合っていただく。
この世の苦しみから逃れるために無関係の他人を巻き添えにする 自殺の代替の幇助に権力を使う(死刑)手口には毅然とした対応が望まれます。