nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

現場にいるから誰でもわかるわけではありません

 

現場が対応に苦慮している最中に会議室から実情を踏まえない指示が下りてくると、だったら現場に来い、と反論するシーンをドラマや映画で見かけます。

でも実情を踏まえていない指示を出す人が現場に行ったからといって的確な指示が出せるとは限りません。

寧ろ現場を混乱させたり、足手まといになるおそれがあります。現場に来たら困る人かもしれません。

☆★☆

映画 「八甲田山」 を見て現場にいてもわからない人がいると知った

 

昭和52年(1977)公開 原作は新田次郎の「八甲田山死の彷徨」という史実を基にしたフィクションで、配役は高倉健北大路欣也加山雄三緒形拳丹波哲郎三国連太郎、(森田知事も出てた) 当時の日本映画界のそうそうたる面々でミーハーで義務教育期間中のnikoichiはこれは観るしかない、と親に内緒で映画館に行った。

(なんで親に内緒なの)

照れ臭かった

(わけわからない) (めんどくさい年頃だったんだね)

2時間48分という長編だったが、よく見ていた特撮やアニメ映画の1時間半くらいの長さにしか感じなかったが、プログラムを見返してそんなに長い映画だったんだと知った。

☆★☆

ロシアとの戦争を見据えた陸軍は極寒のシベリアでの戦闘に備えた雪中行軍を八甲田山で行ったが、青森第五連隊210名中198名が遭難死するという惨事になり、

生還した大隊長山田大佐が責任を取って病院で拳銃自殺したことにより199名が死亡する近代史上、最大の山岳遭難事故になった。

 

雪中行軍は青森第五連隊と弘前第三十一連隊が八甲田ですれ違う計画とされ、弘前隊は27名の雪に慣れた者や士官(万が一の場合、徴兵ではなく志願して軍人になった者なので国民に申し開きができるという判断)を中心とした少人数編成としたのに対し、青森隊は大隊長弘前に対抗するメンツで210名の中隊編成で出発する(万が一のことは眼中になかった)も狂暴な自然に翻弄され、極寒で握り飯は凍り、方位磁針は凍りついて役に立たず、地吹雪で方角を見失い、宿泊予定地に辿り着けずに暴風雪の中で露営を余儀なくされ力尽きた者から倒れていった。弘前隊は途中で負傷した1名を八甲田に入る前に汽車で帰して26名は生還したが、

全員生還した弘前の雪中行軍隊は2年後の日露戦争で全員戦死した。

☆★☆

現場にいるお偉いさんたちの見込み違いや介入で中隊が崩壊して最後に壊滅する様を見て思った、現場にいてもわからない人はわからないんだということを史実で見せつけられた。

 

それ以降はドラマや映画で「現場を見ろ」というセリフを聞いても 無駄なんじゃない、現場に来て状況を理解して解決して和解なんて場面はご都合主義だ と斜に構えて見るようになった。

☆★☆

福島原発で放水する自衛隊のヘリの映像を見ても二階から目薬とは思わなかった

 

焼け石に水とか二階から目薬とか呑気に揶揄されていたけど、現場は爆発で建屋の瓦礫が散乱してるだろうからポンプ車が近付ける状況ではなかったろう。そりゃポンプ車で海水を汲み上げて放水した方がいいとは思うが近付けないのだから、急場をしのぐにはできることはヘリで放水しかない。他に手段を選ぶ時間的余地なんてあるわけなかった。

☆★☆

現場に行った人の指示で余計な工程が追加されてクレームが発生した

 

クレームが発生して工程表を見て目を疑った。なぜここに検品工程があるのか、ここで検品をやったら品質を劣化させるじゃない。やる段階が違うじゃない。検品のために温度の上がる環境に移動して、また温度の下がる環境に戻したら変質するじゃない。

(御社の○○さんの指示です。)

それは失礼しました。訂正します、今後は不要です。

時間軸で工程追加したロットからクレームが発生したんだから少しは疑え、優秀な(と言われる)人の指示だから間違いがあるはずがないって、有能と万能を取り違えてるんじゃないか、誰しも見込み違いは起こり得る。何も気づいていなかったのか、薄々気づいていたのに遠慮して言えなかったのか。後者だった。遠慮してる場合じゃないから早く言って、嗚呼。

余計な工程を省いたらウソのように苦情が来なくなった。足すばかりが能ではなかった。

☆★☆

無理な環境で一生懸命に集中したから改善されるものではない

 

恒例のクレームです。見てきましたけど特に問題はありませんでした。

先方(現場責任者)の回答はより集中します。よりもっと集中します、もっと厳しく注意指導します。徹底をよりさらに徹底します。

 

恒例だって、他人事か、現場がダメな人の集まりみたいな言いっぶり。問題が起きているのに特に問題がないわけがない、どこを見てきたのか。

上司から行ってきたらと言われ、行ってみたらこりゃ無理だと思った。

このレイアウトでまともに検品できるわけがない、ダメなのは検品の手抜きではけしてなくてレイアウトに何の疑問も感じないこと。

狭い台の周りに大勢でひしめき合ってまともに検品や仕分けが出来るわけがない。

何で誰も文句言わないんだ、言い訳するなとか黙らされてきたのか、そうではなくて指示される通りにやるだけで、意見をするなんて思いも及ばなかったと言う。嗚呼。

現場の責任者に原因(ヒント)を伝えたら、自ら対策を立て台のサイズを○倍にして、検品者をグループ分けしたらウソのように苦情が来なくなった。環境を整えればやれば出来る人たちだった。

こちらの指示で変更をさせてもやらされ仕事になる。

自分で直したなら違いがわかるから自分たちで修正ができる。

☆★☆

現場に来てみろ、現場を見ろ、それを活かす人なのか、却って現場の足手まといになるのか、メンツに拘る人はアブナイ、普段の言動を観察しよう。

 

八甲田山死の彷徨

八甲田山死の彷徨

  • 作者:新田 次郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1971/09
  • メディア: 単行本