(日本経済新聞2021年10月6日朝刊1面)
「岸田内閣 支持59%」「安部・菅政権発足時 下回る」
高過ぎなくて逆に良かったのではないか。
発足直後に高支持率は短期政権のイメージがあるので。
☆★☆
「各内閣の発足時支持率 鳩山(2009) 75%、菅義偉(20) 74%、第一次安倍(06) 71%、菅直人(10) 68%、野田(11) 67%、第二次安倍(12) 62%」と記事にあります。
第二次安倍以外は短期政権です。
これを見て思った。発足直後の高支持率はヤバい。油断してしまうのだろうか。
☆★☆
吉田内閣~小泉内閣で発足時に50%を上回ったのは24人中5人だけ
吉田茂(第二次1948~54) 55%、田中角栄(1972~74) 52%、細川護煕(1993~1994) 75%、橋本龍太郎(1996~1998) 59%、小泉純一郎(2001~2006) 85%
75%の細川政権は263日(短期)、85%の小泉政権は1980日(長期)、選挙のための人寄せパンダのような小泉現象の再来を期待してもそれはないでしよ。
日露戦争の艦隊決戦のようなことを期待して大和を建造しても太平洋戦争では航空機を主力にするパラダイムシフトが行われた。同じ成功理由がいつまでも通用するわけではない。
(そのパラダイムシフトを行ったのが日本という皮肉、真珠湾・マレー沖で航空戦力の威力を見せつけた。)
☆★☆
長期政権の佐藤内閣も中曽根内閣も50%を越えなかった
佐藤栄作(1964~1972) 46%、中曽根康弘(1982~1987) 39%
民主主義において、発足直後は支持率が高くても60%を越え続けることはあり得ない、あったら怖い、支持率が高止まりするような状況は個人崇拝に他ならない。発足直後は高支持率でも40~60%の間で落ち着くか、ジェットコースターのように急下降するか。
☆★☆
支持率が高かったら油断の元ではないか
59%はいいところの数字ではないのか。支持してくれた派閥への配慮があるにしても、閣僚人事は身体検査を厳重にして、スキャンダルで国会が空転しないことを祈るばかりです。そんなことしてる時間的猶予はないと思う。
☆★☆
2009年の再来はない
与党を批判して与党の支持率を下げて野党が政権を奪取するという手法はもう使えない。それに乗った国民は懲りたので。
相手を落とすだけではなく、自分たちを上げていかないと政権交代は起こらない。
いくら与党はダメだとアピールしても、批判だけでもっとダメなクセにと疑われる状況を打破していかないと政権交代は起こり得ないし、交代しても不協和音で短期で終息する。
(なので、革命政府では瓦解を恐れて反対者の粛清が行われる。)
(イギリスの議会政治への移行とフランス革命後の社会変革を比較して多くの血が流れたのはどちらなのか?東西問わずフランス、ロシアの革命後は粛清が行われた。)
革命後は猜疑心に侵され信頼関係の修復に時間がかかる。革命を起こす気にさせる政治を行ってはいけない。変革・アップデートを怠っていると社会の歪みが増大して革命の原動力になったのではないか。
(東西とはその後の社会主義・資本主義陣営、全体主義・自由主義のことを指します。)
☆★☆
制度上の一党支配と事実上の一党支配
強権国家は制度上で他の政党を非合法化して独裁政治を行いますが、日本の場合は他の政党は合法なのに、批判をするだけで政権を獲ると言うだけで、公約は口先だと疑われて票が伸びず、事実上政権交代が起こらず一党支配が続きます。
戦後、政権交代は3度しかありません。
(4度じゃないの?)
社会党(1947~1948第一次吉田内閣から政権を奪取するも連立故の不協和音で瓦解した後に第二次吉田内閣が発足)、非自民連立(1993~1994 連立を組んだ社会党が離脱して自民党と連立し非自民連立政権は瓦解という落語みたいなオチがついた)、民主党(2009~2012 3年間で首相が3人)
※民主党(1954~1956は1955年自由党との保守合同で自由民主党結党となったので政権交代と見なしていません。)
☆★☆
日本のような野党なら強権国家も野党を合法化するのではないか。
野党を認めれば、民主的な国家であると承認されアメリカとの関係改善を図れる。
できることなら日本のように批判するだけで国民の信頼を得られずに政権を奪われる心配がなく、仮に政権を奪われても内輪揉めで政権を維持できずに短期間で返してくれる野党が望ましい。
(でも外国人は仕組みを考えたりするんだろうね。恣意的ではなく天然に出来てしまう日本の不思議扱いされるんだろうね。)
☆★☆
政治家専業は難しいのではないか
専業の議員は落選したらタダの人か下手をすればタダの人以下になってしまう。次の選挙の当落が最大の関心事で、長期的視野での行動がとれないのではないか。
或いは会社経営をしており、政治は副業・名誉職のような感覚で専念できる環境にないのではないか。
だから、選挙の顔を気にして、顔のすげ替えに躍起になり政権は長続きしないのではないか。
政権側も身内に足を引っ張られないように、内向きになるのではないか。
☆★☆
仕事をした人が報われる世の中に
足掻いて刀折れ矢尽きて破れた後で骨も拾ってもらえない世の中では戦えない。
引退した政治家がどこぞで名誉職に就いていても目くじらを立てるようなことではないと思っている。
それではまた。
※文中敬称略