記事の中にアンケートを行った話が3回出てきました。
『(2016年1月11日 朝日新聞 朝刊 社会面)昨年10月、小学4年の男児が首をつって自殺した問題で、通っていた小学校の校長が10日、市役所で行われた記者会見において、男児が自殺を図る直前に実施された 定期アンケート でいじめを訴えていたものの担任は読んでいなかったと明らかにした。その上で「残念だが、できるだけの対応をしていた」と述べ、学校側に落ち度はないとの認識を示した。
「いじめへの対応には注意していたが、男児から相談はなく、事実は把握できなかった。」
担任がアンケートを読んでいなかったことについては、「もう少し早く読んでいたらとも思うが、1学期の終りで、成績表を一から作らなければならない時期。そちらの業務を優先したのだと思う」と語った。
市教育委員会は、11月下旬に男児の自殺を伏せて4、5年生全員に無記名のアンケートを行ったことを明らかにした。アンケートの回答結果と自殺との因果関係は不明としているが、今月13日に4年生以上を対象としたアンケートを改めて実施して調査を進めるとしている。』
抜粋以上
☆★☆
そもそもアンケートに意味や効果があるのでしょうか。
アンケートを読まなかった教師をバッシングして溜飲を下げるのは早計です。
「定期アンケート」ということは、もはやアンケートはルーチンワークと化しているということです。
定期アンケートに教育委員会のアンケートに追加アンケート、
何をしたか?
アンケート、アンケート、アンケートしかありません。
書類に忙殺されて徒労感が漂っている中でいくら気合いだ、根性だ、集中だと喝入れてアンケートを積み重ねても読み切れない紙を重ねるだけ。
自分が同じ立場に立ったら必ず精読出来るという人間が日本中にどれだけいるのでしょうか?
アンケートに集中して授業や成績の評価が疎かになるのも本末転倒です。
学校長も現場の実態を把握しているから、記者会見でアンケートを読まなかった教師を一方的に断罪するような発言をしなかったのではないか。
☆★☆
いじめアンケートとは何か
https://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf04.pdf
「学校で行ういじめアンケートは、教師の気付かない(潜在的な)いじめ がどの程度に起きているのかを把握できれば十分です。
被害経験が3割という回答を得たとしたなら、それが誰なのかとは関係なく、その程度の頻度で起こり得るとの自覚を持つため に実施するアンケートだからです。
数字を真摯に受け止め、必要なら児童生徒全員と教育相 談を行えばよいし、いじめが起きにくい学校や学年の雰囲気をつくる方策を考えるのもよいでしょう。」
とあります。
被害者や加害者の発見が目的ではないということです。
更に
「個々の児童理解 ・ 生徒理解が目的なら、積極的に話しかけていくという方法が教師には与えられています。
研究者や外部の専門家のように第三者的な立場とは異なり、学校をよりよく改善していく当事者として、日々、児童生徒や児童生徒の問題と向き合うことができるのが教師です。」
とあります。
生徒に積極的に話しかけるのが教師の役目だと。
☆★☆
いじめ自殺事件が起きるたびに記者会見の場でアンケートの話が出ることが恒例となりました。
今回の沖縄県に限らず全国の自治体共通です。
いじめ自殺問題は全国的な問題となり、全国の自治体にアンケートを取るべしという指令が出ている。つまりノルマになっているのではないか。
当事者をモグラ叩きのように糾弾して意味があるのは、固有の原因に対してです。
全国共通の原因は全国共通の対策が必要です。
全国共通の原因とは何か?
☆★☆
(2015年7月28日 朝日新聞 朝刊)
「授業・雑務14時間、息もつけない。 先生の一日に密着。子ども下校後、残務に忙殺。
午前7時40分 職員室に約30人の教職員が揃っていた。…児童の日記や漢字練習中に目を通す。…30分の中休み「子どもと遊びたい」と」漏らしつつテストの点検。放課後はプール掃除、授業計画等パソコンに向かっての書類作成、宿泊学習(林間、臨海学校)の会議で子供の健康状態の情報交換。文部科学省や教育委員会への報告書の作成。…夜8時 」
☆★☆
1970年代 担任は休み時間は教室にいた。
Nikoichiの小学生時代(70年代)は休み時間には担任の先生は教室にいました。
先生が教室にいても小学生なので本能の赴くまま悪ふざけをして注意されていました。
昼休みには一緒にドッジボールや縄跳びや、雪の日には雪合戦をやりました。
今の先生は書類に追われてそんな時間を取れないのではないか。
教室の様子がおかしい、子供たちの様子がおかしい。書類に追われて気付く機会がないのではないかと思う。
☆★☆
アンケートの目的は「子供の実態を把握するため」、しかし いじめる側、傍観者に与える影響は。
頻繁にアンケートで問われたら反発して「うっせーな」「知らない」
いじめに拍車がかかります。
事件が起きるまでは。
☆★☆
アンケートなんかやめて先生は休み時間は教室や校庭にいたらいい。(うっとおしいけどBY悪ガキ)
接触する機会が少なければ元々の状態を知らないから変化を認識できない。書類に向き合って子供の変化がわかるのか。
☆★☆
どうして書類が増えるのか、書類を減らせないのか?
何か問題が起きた時に「誰々がこんな書類はいらないと言いました。」と取材で答えるとマスコミは問題の核心に迫ろうと追求します。犯人探しが始まります。
頭のいい人は予測し得る可能性を考えて防御策をとります。
悪者にされることが予測できるのですから、書類を増やすことが仕事であり、減らす動機はありません。
書類を減らした結果、事件が起きたらどうするんだ!
休み時間も生徒と共に時間を過ごしていたのに把握できませんでした。
アンケートを廃止したのでもはやアンケートを言い訳には使えません。ということです。
書類を増やせば増やすほど問題がなくなるなんて誰も思わないのに止められない。
書類をリストラして教師と子供が共に時間を過ごす環境を整えるのか?(白灰色の選択)
書類三昧(しかも止め処なく増え続ける)をこのまま続けるのか?(黒灰色の選択)
どっちがいい?
並行しつつどっちもやる?(玉虫色の選択)
それではまた。
完全版 いじめられている君へ いじめている君へ いじめを見ている君へ
- 作者: 朝日新聞社
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/09/20
- メディア: 単行本
- 購入: 15人 クリック: 928回
- この商品を含むブログ (8件) を見る