私大の4割以上が定員割れという。
変わる大学入試(日本経済新聞 2016年4月4日 社会面)
記事にあるグラフ(日本私立学校振興・共済財団調べ)によると98年までは定員割れの私大は10%以下であったが、99年から上昇カーブに転じて2000年には30%を超え2006年に40%に達して高止まりしている。
「勉強をしなくても入れる大学が増えた結果、学力不足の学生が押し寄せる」
18歳以下の人口が減少しているのに、全国の大学数は約780校に膨れ上がっているという。
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大学270校に改善要求-文科省 授業レベルや教員数(日本経済新聞 2016年2月20日 社会面)
「新設された大学や学部などの運営状況を調査した結果、対象となった450校のうち270校に改善を要求。
このうち10校は大学レベルの授業をしていなかったり、教員数が基準を下回っていたとして早急な見直しを求める「是正意見」がついた。
昨年度の調査で「是正意見」を受けたが改善されなかったとして、今年度は是正意見の中でも重い「警告」が初めて出された。」
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助成金を出して延命措置を執ってもゾンビ企業ならぬゾンビ大学が残って学力不足の学卒が社会に供給される。
(大卒と高卒の初任給が異なるのは大卒が希少であった時代の名残。
企業が高卒と定員割れ大卒の評価を同じにすれば定員割れ大学に学費をかけて入る動機が失われて淘汰が進むのではなかろうか。
高校の授業レベルを上げて高卒の就職率を上げて、大卒にはプラスアルファの能力を求める)
(定員割れ大学に在籍していても優秀な教員は受験生が定員オーバーの大学に採用されて大学はさらにレベルアップする)
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一方で保育園は予算不足で整備が進まず待機児童が解消されない。
予算不足で設置が進まない。保育士の給料が上がらない、定着しない、人材不足、定員不足の悪循環。
「大学の定員割れの高止まり」と「待機児童の高止まり」というのがこの国の教育の矛盾です。
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5歳までの環境が人生を決める。(ノーベル経済学賞受賞 ジェームズ・ヘックマン シカゴ大学教授)
知識や思考、推理する能力は学力テスト、IQテストで測られます。
一方で社会性がある、意欲的である、忍耐力、すぐに立ち直る力がある、広い意味で生きていくのに必要な「能力」のことを、経済学者や心理学者たちは「非認知能力」と呼ぶ。
学力テストで測ることができない「非認知能力」は乳幼児期に育まれるという。
貧しい家に生まれた平均生後4,4カ月のアフリカ系アメリカ人を対象に、きちんとした幼児教育プログラムを施す保育園に通わせるグループと通わせないグループに分けて実験が行われました。(アメリカらしいというか、日本だったら炎上するだろうが実験のおかげで貴重なデータが手に入った。)
結果、教育を受けた子供はその後の学校の授業の出席率、大学の進学率が高く、いい仕事に就いている割合が高かった。
実験に参加した一人は、周囲から賢い、頭がいいと言われるがそうではない。学ぶことが好きなだけ、勉強が好きになったのは早期教育のおかげとテレビのインタビューで語った。
(早期教育とは英才教育ではありません。最新理論に基づいた学習ゲームや保護者面談のことでした。)
(実験プログラムに参加するには親の同意が必要だったろうから、貧しくても理解のある家の子供が保育園に通うグループに入るチャンスを得たのだろう。)
いい保育園に通った子供たちは、大人になってから失業率や犯罪率が低く、生活保護を受ける割合が低い。
大人になってから更生するのは中々大変。
非認知能力の低い大人(すぐキレるとか)が増えると世の中がギスギスします。
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大学過剰、保育園不足の教育の逆トライアングル構造はキレやすい大人を育くむ。
非認知能力を育む機会を奪われた子供は学習意欲(学校の勉強に限らず、技能や運動の練習意欲や、仕事を覚えること、対人関係に配慮すること)に欠けて大人になったときに就労が困難になったり、犯罪に手を染めたりして、結局 生活保護支給や収監者を増やして財政の負担になる。
親が自分の子供に一生懸命教育費をかけても周囲の環境がよくなければ効果は限定される。
環境を整えることが全体の底上げにつながる。
乳幼児教育にお金をかけた方が国の財政にとっても割がいいのではないか。(見も蓋もない言い方だけど)
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(朝日新聞 2016年3月10日 「保育園作れよ」を実現するには)
「保育所の整備や児童手当、育児休業給付などの家族関係社会支出 GDP比
日本 1.25%、スウェーデン 3.5%、フランス 2.9% 」
「スウェーデンでは保育所に入りたいという希望が出されたら、自治体はおよそ3ヶ月以内に保育を提供する義務がある。」
提供できなかったらどんな制裁があるんだろ?
「生活にゆとりある高齢者に、負担してもらう政策を進める必要がある」
「有権者の中に占める高齢者の割合は高い。落選を恐れる政治家にできますか」
年金だけでは生活できないという高齢者のことではなく、年金がなくても生活できる裕福な高齢者のことかな?
それなら年金を支給しないで納めた年金を財源として一般会計に回せばいいんじゃないか。
軽減税率もやめた方がいいんじゃないか?軽減税率がなければ新聞読まないという人は最初から新聞読まないってば。
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(日本経済新聞 2016年3月18日 マーケット総合)
大機小機というコラムに「2006年の「日本経済研究」で紹介された「育児保険」
育児保険とは「40歳以上が被保険者となっている介護保険の仕組みを応用して、20~39歳層に育児保険の被保険者として保険料を求めるもの」とありました。
厚生労働省と文部科学省と財務省で財源の綱引きになるんじゃなかろうか。
徴収してから配分するから財源の綱引きになる。
子供手当なんてやる前に、子供のいる親には減税したらいい。
徴収してから配分していたら配るための行政コストが発生する。
国が課税して、親が自治体に届け出て、自治体が国に報告して、国が自治体に配分して、自治体が親に配るという5段階の手間が発生してお金(経費)を使っている。
子供手当+手間賃です。
親に減税すれば4段階減って行政コストが下がる。
行政コストがかかった分、受け取る手当が削られているともいえます。
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年金がなくても生活できる裕福な高齢者は現役時代は高所得者で納めた年金も高額であったから高額な年金が支給される。
年金がなくてもいい人にはさらに余分に支給される
現役時代に低所得者であった高齢者は納めた年金が低額であったから支給される年金も低額で生活が成り立たない。
引退後に格差が更に拡大する制度設計になっている。
2度手間、3度手間、5度手間、2重払い、3重払い、5重払いをしていたらいくら財源があっても足りなくなるのは道理なのです。
それではまた。