nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

新型ウイルスの発生が必然と想定している国と想定外の国

経済発展、資源開発、ジャングルの開墾でこれからも人類は未知のウイルスや細菌の影響を受けるのは必至です。縁起でもないことを言うなとか言っている場合ではありません。

言わなければ、黙っていれば、願っていれば悪いことが起きないのならこの世に不幸、不条理があるわけがありません。

願っていれば戦争に勝てる、願っていれば戦争が起こらない、願っていれば台風が来ない、願っていれば地震が起こらない、願っていれば新型ウイルスが発生しない、そんなわけがありません。

日本は神の国だから戦争に負けるはずがない。それは戦勝が神頼みだったということですが、そんな空気が読めない突っ込みでもしたらあることないこと密告されて非国民と言われて憲兵に連れて行かれたでしょう。今は憲兵こそいませんが感覚が変わらないままの人はいます、空気を読めとか言って。その時のムードに流されて右に振れ左に振れ、便乗した付和雷同が圧力をかけることに加担します。

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インフルエンザの故郷は北極圏

 

インフルエンザウイルスは北極圏近くの凍りついた湖や沼に潜んでおり、春になって渡り鳥のカモやガンなどの水鳥が繁殖のために戻ってくると、水鳥の体内に潜り込んで腸管の中で増殖するが、インフルエンザウイルスは水鳥以外にも馬、牛、豚、犬、猫、ネズミ、クジラ、アシカ、ヒョウなどの哺乳類からも分離されているという。

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家畜は人への仲立ちをした

 

インフルエンザウイルスとカモ等水鳥は共生関係にあるため、宿主である水鳥を発病させることはなく、人も含めて他の動物には無害な存在だった(遺伝子の構造上感染することもなかった)が、カモを家畜化したアヒルには容易に感染し、感染を繰り返している内に遺伝子を様々に変異させて鶏や他の動物、哺乳類でも増殖可能に変異し、そのなかから強い毒性を持つものが現れて人に被害をもたらすようになった。

(極端なゼロ百主義者(0か100かで間がない)が北極と家畜がなくなればいいとか脊髄反射で言ったりして。)

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環境破壊が感染拡大をもたらした

 

湿地保全の国際機関、ラムサール条約事務局は、農地転換や開発によって過去半世紀の間に湿地の50%が失われたと発表しており、日本でも50%が消失したという。

その結果、水鳥の越冬地は狭められて過密になり、ウイルス感染の機会が格段に増えた。

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空気感染するインフルエンザウイルスは人口密度が高いと増殖しやすい

 

人の密度が低いところでは宿主である人に抗体ができるとウイルスの逃げ場がありませんでした。

人類史における近代化による都市化という人口集中はウイルス繁殖の場を提供し、軍隊、工場、学校などの人の集まる場所はウイルスの温床になった。人類の発展とウイルスの増殖はセットでした。皮肉な共存関係です。

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開発が招く感染症

 

熱帯でダムや灌漑施設等の静水域(水が流れていない)をつくるのは、ボウフラ(蚊の幼虫)や吸虫といった媒介生物の温床になり、一時下火になっていたマラリア等の感染症は勢いを取り戻した。

 

前人未到の地への進出が森林伐採等の環境破壊に結び付くと人類と未知の細菌やウイルスとの接触が始まり、ラッサ熱、エボラ出血熱エイズといった新興感染症は、1950年代末からこれまで約40種が知られているという。

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人類と感染症のいたちごっこの歴史

 

陸と海で生物の頂点に立った人類の天敵ともいえる存在が感染症です。

感染しても抗体を体内につくった人は生き延びて感染症に対抗する遺伝子を子孫に残し、上下水道といったインフラ整備や消毒や薬の開発で対抗し、細菌やウイルスの側も変異を繰り返して薬に対する耐性を獲得して裏をかくだけではなく強い毒性を持つ亜種を残して終わりのない戦いを繰り返している。人類はあきらめないが、細菌ウイルスの側もあきらめない(?)。話し合いをして折り合いをつけることは出来ないので、これからも果てしない戦いが続きます。

(開発、発展を止めようという動きはウイルスと折り合いをつける道なんじゃない?言ってる人が意識してるかはわからないけど。)

人類は地球の空気と水がなければ生きていけないが、地球を生きていると捉えるなら地球は人類がいなくても生きていける。感染症地震や台風といった自然災害同様、それぞれの人の想いとは無関係に無慈悲にもたらされる自然による人口調整ともいえる。

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どこの国も無尽蔵に予算があるわけではない

 

新たな業務を始めるのなら既存の業務にメスが入るので既得権益を犯されたくないから敢えて予算請求をしないのかと疑われる。

アメリカの疾病対策センターの年間予算は約8000億円、職員数は1万4000人、日本の国立感染症研究所の20年度予算は65億円、研究者は308人を予定しているという。

(日本経済新聞2020年2月23日朝刊5面)

予算の金額だけ見ると日本の国力ってアメリカの123分の1か、それじゃ太平洋戦争の時よりも差がついたことになる。

 

感染症が国の存続にとって脅威であるという認識がなかったことの証左です。

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高校の時にボトムアップ以外は一切ダメと言う組合教師がいた。

 

ボトムアップが起こらないのは、必要に迫られてないからでトップダウンはいけないという論法でした。

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歴史的事実として必要に迫られてもボトムアップトップダウンもなかった

 

日本での過去の感染大流行の事例として

1918(大正7年)~1919年 スペインかぜ 2300万人が感染して38万6000人が死亡、但しデータの欠落があり死亡数は45万人にのぼるとする算定とある。

1957年(昭和32)アジアかぜ で約300万人が感染して約5700*人が死亡。

1968(昭和43)~1969年 香港かぜ 14万人が感染して約2000人が死亡。

インフルエンザの流行は大きな惨禍を残していったが、専門組織の設立には至らなかった。

 

必要性が生じても必ずボトムアップがあるわけではないのです。仮にあったとしても実現するか否かは別問題です。

同じ状況に遭遇しても必要性を訴える人と必然性がないと言う人と個々人で反応は様々です。

時期尚早と言う人はいつになっても時期尚早と言います。事後であってもまだ言います、今起きていることがわからないのですから。

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ネットでまだトイレットペーパーやティッシュペーパーの高額転売が続いている

 

自由にはやる自由もあれば、やらない自由もあります。自粛をするのは自由の後退だと考えているのなら自由の自殺になります。

やる自由を押し進めた結果、市民生活へのデメリットが重大になると規制をしろという声が大きくなって、自由の自殺になります。

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人間というものは、必要に迫られなければ善を行わないことがようにできている。(マキャベリ 政略論)

過去の事例だと必要に迫られても尚、善を行うことができないこともある になる。

出来る出来ない以前に発想がなければ始まらない。

できたら安倍政権のレガシィになります。

条件なしに創設に抵抗したら歴史的汚名を着せられるのでしょう。

 

内閣官房に事態対処危機管理担当という部署があり、事態が発生したら地震や火山の噴火、台風、水害といった自然災害からテロや感染症に対する何でも屋って無理があるのではないか、すべてに精通した人材と組織という発想自体にかなり無理があると思う。政治家がどんなに先手先手と発破をかけても後手後手になるのは不思議ではない。

警察署と消防署と税務署とハローワークと労働基準監督所と保健所と市区役所の全部に精通して一つの部署で対処、そんなドリームチームがどこの国にある?漫画やアニメにも海外ドラマにもないのではないか、対応が遅いとか非難されても、そもそも設定に無理があるのですから起こるべくして起こった。今まで無理に無理を重ねて何とかしてきて、とうとう無理が露呈して新たな課題になったというところではないか、神戸や東日本の震災や西日本豪雨、昨年の台風15号19号で無理がすでに露呈していたのに、その都度新組織の必要性について自分も忘れていたのだから今更非難する気にはなれない。

 

事態が発生してから対策本部が発足し、専門家会議が行われて政府に提言され、各自治体、関係各省庁に指示が出るかそれぞれの判断に任せられる。

事件が起きてから警察を創設するような話を繰り返している。

 

一人残らず全員品行方正の社会なんてない、人間社会が有る限り事件は起きる。だから警察がある。

地震も火山噴火も台風も洪水も崩落も雪崩も感染も人がいなければ自然現象、人がいれば自然災害です。人がいる限り災害・感染は起こりうるのです。

人間社会が有る限り災害は起きるのです。なのに事前に備える組織がなかった。

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事故、事件、事態が発生してから予算を組むと莫大な金額になる。起きてからの対応だけではなく平時の備えをしておくための組織が必要で、要らないことに使われたり使途不明金が出て政治的スキャンダルにならないように、新組織を発足させるのには運用の透明性が担保される必要があると思う。

 

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