nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

英国は実際にEUから離脱できるのか。―その2 ワイマール化するEU

極右政党が勢力を伸ばして移民を排斥する。

過去にもあった話です。

第一次大戦後のワイマール体制下のドイツのようです。

 

ドイツだけではなく、デンマーク、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデンで台頭しています。(スペインは極左

 

EUは欧州の平和のための手段なのに、同じ国の人同士が反目し合う原因になっている。

 

離脱派の人々からはEUの政策が貧富の差を拡大していると思われている。

EUの政策の恩恵を受けている人は残留を望み、恩恵が行き渡らない人は離脱を望む。

離脱によって更に状況が悪化する懸念があっても今がよくないから同じだと思う。

 

ブリュッセルのエリートどもは俺たち私たちのことは気にしていない。と煽り煽られる。

国はEUに拠出する税収を国民のために使えと訴える。

失業者は労働需要を上回る難民の流入を止められないEUが悪いと考える。

収入が増えない人はEUの緊縮策が悪いと考える。

共通通貨ユーロ加盟国の政府もEUの緊縮策に不満を訴える。景気を刺激できない。

共通通貨は各国通貨当局が単独で通貨の発行量を決めることができない縛りがあります。

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ドイツ流の(正論)経済政策を押し付けるなという不満。

 

ユーロは※マルクに比べれば通貨安、ドイツは万年通貨安を享受して輸出の利益を上げる。

ユーロ導入で通貨高になった国は利益と税収が減ってしまった。

(だからポンドを使い続けたイギリスは賢明だった。)

※共通通貨ユーロ導入の言いだしっぺはフランス、ドイツの力の源泉マルクを廃止してドイツを抑えるつもりが逆効果になってしまった。

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恩恵を受ける人は親EU、恩恵を受けない人は反EU

昔なら反政府になるところが反EU。

政府としての存在感が国よりもEUの方が大きくなっている。

国境を無くしたら国を越えてEU域内で反目が広がっているという新事態。

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欧州の平和のために欧州全体を一つの政府EUでまとめる。

ひとつの国なのだから域内での国家間戦争はもう起きない。

 

ゆくゆくは各国の政府は自治体のような存在になる。

権限を制限されて各国政府は反発する。

不遇の国民はEUが悪いと考える。

国家間戦争を防ぐ代わりに意図せず各国の内部で人々が反目し合う状態をつくりだしてしまった。

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EUの権限を拡大する勢力とEUの権限を抑える勢力。

 

「域内の人とモノの流れが自由であればいい。それ以外の細かいことには口を出さないでほしい。」

「モノの流れを自由にするのなら安全基準も共通にしなければならない」

「子供が風船ふくらませるのに一々大人が見てろとかバナナひと房の本数まで決めるとか行き過ぎだ。」

「子供が飲んでしまったらどうするんだ。本数の少ないバナナが出回ったらどうするんだ。」

「そんなこと欧州全体で決めることか、それで拠出金を使うな。」

 

欧州の平和のためのEU。

 

バナナひと房の本数が欧州の平和に何の関係があるのでしょう。

予算獲得のために余計な仕事を増やしているのではないか。

子供が風船を膨らませるときに大人が側についていることが欧州の平和に何の関係があるのでしょう。

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残留派と離脱派 共通の利益はEU官僚機構の肥大化を防ぐこと

残留派の若者は自分達の将来が離脱派の高齢者に奪われたと思っている。

 

しかしEUの官僚機構が肥大化していけば今の若者が将来高齢になったときに職が奪われて離脱派に転じるようになる。

予算が域内の活性化に使われず、予算を使うことが目的化される。

 

EUは加盟国を支配するつもりだと疑われている。

EUは域内の国家間の利害調整と紛争解決に専念する。

その成果を加盟国にフィードバックする。

 

紛争解決に権力を行使する。行使できなければ存在が無意味化する。

紛争がないところに逐次介入しない。余計なお節介に予算を使わない。

 

目的は欧州の平和。

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EU支持者は将来に亘って支持者であり続けるためにEUの改善に声を上げていく。

恵まれている間は何も言わない。不遇になってから不満を言う。

それでは手遅れになる。

残留派と離脱派は違う人?でも何かをきっかけに同じ側になるかもしれない人。

 

紛争を防ぐためにルールをつくる。ルールをつくれば紛争が起きないわけではない。

紛争の原因になることもある。

何のためのルールなのか、それを守ることが市民と社会になんの得をもたらすのか。

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EUの肥大化に連動して離脱派も勢いを得る。

怒りが理性を凌駕する。

理念が正しいのだから起きている現実が間違っているに違いないと軽視した。

残留派が勝つに決まっていると油断した。

世界で投資判断を迷わせる事態を招いてしまった。

 

英国見切りの投資判断が早めの行動を促す、世界に見捨てられるという危機感を持たせる。

みんなが売るのならと離脱回避に賭けて逆張りを狙う。

 

離脱するならいいとこどり(関税の優遇等)はさせないと譲歩を迫る。

 

交渉中は当面先行き不透明で移民が入国に慎重になる。離脱派の目的が達成される。

EUの現状に不満を持つ国を味方につけて残留と離脱を両天秤にかけて交渉する。

 

国民の分断を解決するためという大義名分を掲げる。

宙に浮いた状態に我慢ならない方が譲歩を強いられる。

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イギリスとドイツの前例

政府ではなく民間の話です。

イギリス ロールスロイス社の自動車部門がドイツのフォルクスワーゲン社に売却されたときの話です。

ロールスロイス社にはロールスロイスベントレーという2つのブランドがありました。

フォルクスワーゲン社は会社を買収したのだから当然2つのブランドも使用できるものと考えました。

 

ところがロールスロイスの商標は同じドイツのBMW社に売却する契約が結ばれていました。

せっかく会社を買収したのにロールスロイスのブランドが使えない。

使えば同じドイツのBMWから訴えられる。

フォルクスワーゲンは断念せざるを得ませんでした。

 

くそ真面目なドイツ人とウイットに富んだ人の悪いイギリス人 炸裂の瞬間でした。

なのでロールスロイスにはBMWのV12エンジンが

ベントレーにはフォルクスワーゲンのW16エンジンが搭載されています。

 

かつてイギリスには鉄の女がいました。

今 ドイツには鋼の女がいます。(勝手に命名)

 

 それではまた。

 

「教養のない人よりも知識人と言われる人たちのほうが、暗示にかかりやすいと言えます。

知識人こそ大衆操作による暗示にかかり、致命的な行動に走り易いのです。

なぜでしょうか?彼らは現実を、生の現実を、自分の目と耳で捉えないからです。

紙の上の文字、それを頼りに複雑に練り上げられた現実を安直に捉えようとするのです。」

アルバート・アインシュタイン