381系―国鉄型の電車特急を唯一温存するJR西日本
昭和48年(1973)急勾配と急カーブが連続する中央西線(名古屋~塩尻)のスピードアップを図るために急カーブを速度を落とさずに走行する※世界初の振り子式電車が投入されました。
※2019年1月20日訂正 日本初→世界初 参考 鉄道ファン2019年3月号
昭和48年(1973)7月 しなの(大坂・名古屋~長野)を皮切りに、その後カーブの多い路線に投入されました。
昭和53年(1978)10月 くろしお(天王寺~白浜・新宮)※当時、現在は新大阪発着、1本のみ京都着
昭和57年(1982)7月 やくも(岡山~出雲市)
現在は やくも のみの運用で7月で37年になります。
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スパルタンな乗り味
カーブに入ってから時間差でグラリ グラリと傾いたり小刻みな横揺れで 乗り物大好きなnikoichiは面白いが、三半規管が弱い人にはハードルのある乗り味だと思う。
乗り心地を改善した制御式自然振り子方式
JR四国は世界発の振り子式気動車(ディーゼルカー)を開発するにあたり、振り子車の欠点を改善するべく制御式自然振り子方式を採用しました。
路線のマッピング(走行線区の線形データを記憶させる)を行い、カーブに入る前に徐々に車体を傾けるというハイテクで、カーブに入ってから時間差でグラリを解消して三半規管への刺激を軽減しました。
制御式自然振り子方式はJR四国 2000系をパイオニアとして、その後、JR各社の気動車や電車で導入されました。
JR北海道:キハ281系 スーパー北斗、キハ283系 スーパーおおぞら
JR東日本:E351 スーパーあずさ (後継のE353は振り子式ではなく空気バネ式車体傾斜方式)
JR西日本:283系 オーシャンアロー(現くろしお 下り3本 上り4本)、キハ187系 スーパーまつかぜ、スーパーおき、スーパーいなば
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しなの(JR東海)は全車新型に切替えたが、くろしお(JR西日本)は振り子方式をやめた
JR東海の383系は長野オリンピック開催(1998年)に合わせるかのように1994年から営業を開始し、1996年(平成8年)までに全列車を 新型の383系に切替えて乗り心地を改善しました。
JR西日本は くろしお全列車を制御式振り子の283系には置き換えず、振り子式ではない287系と289系(北陸新幹線開業で余剰になった北陸線用の交直両用車683系を直流用化した系列)に381系の列車を置き替えました。
国鉄時代からのお下がり、乗り心地に対する不満の解消、阪和間輸送のライバル南海電鉄 さざん への対抗措置として287系と289系に切替えました。
振り子方式ではなくても低重心化とアルミ合金車体による軽量化で所用時間は381系と変わらないダイヤを実現しました。
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※現ダイヤの制御式振り子283系との時間差7分は本当の実力差か
283系:くろしお11号 新大阪12:15―新宮16:38 4時間13分
289系:くろしお5号 新大阪9:32―新宮13:52 4時間20分
しかし2015年11月ダイヤでは
283系:くろしお9号 新大阪11:00―新宮14:59 3時間59分
4時間を切っています。 289系より所要時間が21分短いです。
283系の営業運転速度を落として所要時間を延ばして結果的に時間差を縮めて非振り子式の導入を正当化しようとしてると揶揄されても仕方がない。
和歌山県は観光客数が伸びているのにJRの利用が減っているのは関西圏や地元の人に見抜かれているからではないか。
※現くろしお9号は 287系 新大阪 11:00― 白浜止まり 13:16 です。
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やくも 用にJR四国の8000系を導入すればいいのに
8000系の しおかぜ は岡山発(松山行き)です。 やくも も岡山発(出雲市行き)です。 長距離輸送をする必要はありません。山陰用の雪対策が必要になりますが。
制御式振り子は 製造と維持にお金がかかるから283系の増備が進まなかったのではないか。
見た目では全面塗装の283系(西日本)はステンレス地が見える383系(東海)や8000系(四国)よりも高そうに見える。 製造費が高い車両だから増備が進まなかったのではないか。
制御式振り子に代わって空気バネ式車体傾斜方式(JR東日本 E353,JR四国 8600系、2600系)が運用されている。
E353あずさ(東京―松本)、8600系いしづち(高松―松山)が振り子式から代わって所要時間にマイナスがなく運行されているが、線形によっては切替えが厳しいところもあるのではないか。
あずさ(新宿―松本)のルートでは問題なくても、しなの(名古屋―長野)のルートでは難しいのではないか。
くろしお、やくも のルートでは難しいかもしれない。
JR四国は 南風(岡山―高知・宿毛)、しまんと(高松―高知・中村)のルートの試験走行で急カーブの連続で空気バネへの空気の供給が間に合わないことが判明して、空気バネ式車体傾斜方式への全面切替えは断念し、制御式振り子式として、2700系を開発した。
気動車は電車に競べて床下機器のスペースが少ないため、コンプレッサー(電動空気圧縮機)の増設が困難という理由だから、電化区間では空気バネ式車体傾斜装置の導入が進むかもしれない。
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共同開発にしたほうがいいのではないか
JR西日本の やくも 381系は40年になろうとしている。
JR四国はコストを下げるために空気バネ式車体傾斜方式にしたかったが四国の線形が障害 になって新世代の振り子式を開発しなければならない。
2020年以降の非電化区間の特急車輛はハイブリッド方式も視野に入る。
いや、スペースの限られた自動車よりも鉄道車両のほうが燃料電池車に向くかもしれない。
1社単独では開発製造コストが重いのではないか
電化前は 中央西線も伯備線も予讃本線も土讃本線も同じ系式だった。(キハ181系)
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直流電車は中央西線(東海)と伯備線(西)と予讃本線(四国)用の基本設計を共用して地域に合わせたカスタマイズを行い、気動車はJR九州、JR四国のキハ185系、JR九州の ゆふいんの森の種車、JR四国の2000系、185系、智頭急行HOT7000、JR東海のキハ85系の置き換えのハイブリッド車を基本構想にして、それをベースに四国と智頭急行は振り子等車体傾斜技術を追加する。と妄想してみた。
JR西日本の紀勢本線は287系(2011年)と289系(2015年)、非電化区間の187系振り子式気動車は2001年導入なので切替えはまだまだ先だろう。
(前回のアートの話はどうなったの? 西日本エリアをJRワンダーランドにって何?)
それではまた。
※続きは1月26日のエントリーです。
来週19日は1月5日のテーマの続きです。