nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

JR統合はマニアの願望に過ぎないのか

1987年の国鉄分割民営化、JR発足から36年経過し、コロナ禍による旅客収入の減少から地方路線、かつては幹線と呼ばれた大動脈の維持まで危ぶまれている。

殊に北海道は、人口減少による旅客収入の減少に加えて寒冷地ならではの風雪対策費が嵩むという経営が厳しいことから合理化を進めている。

この合理化は、退職者が増えることにより当然のことながら現場のリソースの不足を招いている。

大雪ともなれば、安全管理の側面で、マンパワーが無ければ安全を確保することは困難であり、安全第一の鉄道というサービスにおいては、リスクをとって運行を行うことが難しい局面がますます増加する。

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そもそも、国鉄が分割民営化されたいきさつは

経営面では累積赤字の解消、政治面では組合対策ではなかったのか。

まずは国有から民営に移行し、債務の大半は別に作った国鉄清算事業団に持たせることにより、経営の自由度を担保する。

その上で、6社に分割することで、それぞれの経営体に責任を持たせ、本州の3社は上場を目指し民間会社として成長していく、島部の3社は収益補填の工夫も国が用意しつつ、赤字路線や過剰人員の整理などを行い、筋肉質な経営体としてサービスの維持を図る。(筈であった。)

そしてその過程において、ストや闘争が頻発してサービス水準の低下や様々な非効率、時には安全への影響ももたらしていた労使問題を改善することを目指していた。

いま振り返ってみれば、目的は達成できているのではないか。

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人口減少が現実のものとなるにつれ、特に地方部では乗客数の減少が顕著な問題となってきた

また、インフラの維持管理費用も、年々大きな負担となってきている。

鉄道に限らず道路や橋梁などの社会資本整備における発注額が上昇傾向にあり、その内容は新設よりも維持管理費用に重点が置かれている。

(華々しい政治的アピールが効く新設よりも老朽化対策に注目が向くようになった。新しい橋が出来ましたって、その前に橋が落ちないようにしろって。)

他方で、社会資本の中でも公共事業、つまり行政による発注がその大半を占めるこれらのインフラと異なり、鉄道は民営化されていることから、基本的には自ら維持管理のための財源を確保しなければいけない。つまり、国が掛け声をかけたところでその効果が届きにくくなっている。

(ない袖は振れない。)

(ない袖は振れないと言ってトンネル崩落や鉄橋が落ちていいわけがないから財源確保が難しい赤字路線は廃止。)

このような乗客数、顧客の減少や、維持管理費、管理コストの負担増大があった場合、一般の企業であれば合併による合理化が経営戦略として当然選択肢に入ってくるはずであるが。

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北海道と東日本の統合は株主利益に反するという話になる一資本の論理のジレンマ

北海道だけでは独り立ちが困難だから、東日本と統合しようとすると利益が減るから株主利益に反すると反対決議をされる。

(山手線の利益を北海道の赤字埋めるのに使うの反対)

(資本の論理で赤字はあってはならない)

その一方で

(原発発電所は地方で危険と不便は嫌でエネルギーだけ都会が享受、キケンとフベンは地方に押し付けってズルい)

(農地も牧場も漁場もいらないの、地方なしで都会だけで生きていけるの)

(都会に原発も農地も漁場も確保しようとしたら、工場もオフィスも住宅も学校も減らして、人は出ていって都会じゃなくなるね。)

資本の論理のジレンマに陥ります。

代償なしで利益だけなんてそんな都合のいい話はありません。

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食料は地方を当てにしないで全部輸入に頼ればいいって?

安ければ何だっていい、何でも輸入でいいって、輸出国側が値上げすると言ったら受けざるを得なくなります。

不作不漁だったから自国民が優先で輸出できないと言われたら飢えるしかありません。

(杞憂に過ぎない、そんな話は聞きたくない、前向きな楽観的な話しか聞きたくない。)

(見て見ぬふりをすべきだ、危機管理は一切禁止)

(何も言わないで状況を受け入れるのは同意したと見做される。同意します。と一言も言ってなくても、みんなが言ってないから異議申し立てをする方がおかしいという理屈で。)

(同意するとは一言も言ってないと言ったところで、異議申し立てをした人を頭おかしいと言って一緒に嗤ってたら同意の状況証拠の補強にしかならない。)

(その場合のみんなの理屈は 後になってから、知らなかった、みんな騙されていた。)

ヤバくね。

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市場全体が縮小すれば統合が視野に入るのは必然

人口減少社会においては、市場自体が縮小する。そうなれば競争を行う基盤が小さくなるわけであるから、必然的にプレーヤー数も減ることとなる。

例えば、地域において各地銀は、これまでライバルとしてしのぎを削ってきた存在であり、一緒になるということは毛頭考えられなかったはずである。

しかし社会情勢の変化を受けて、地銀の再編・統合という選択肢が、政策として当然のように入ってきている。

だから、鉄道もタブー視するものではない。

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分割は人口増加が前提一以前の正しい判断がいつまでも正しいわけではない

1987年の時点では人口減少で地方の経営が成り立たなくなるという視点はなかった。

当時の状況では正しくても、状況が変われば正解が変わります。