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nikoichixのブログ

新聞やテレビ、本を見て思ったことを綴っています。書いてみたらこんな展開になるとは思わなかった。まいっか。

一人の男の嘘がもたらした欧州発『第二次世界大戦』

ヒトラーミュンヘン会議で戦争に反対する英仏の世論を味方にして英仏から妥協を引き出しました。

妥協を引き出した手段は1つの嘘でした。「チェコズデーテン地方の割譲が最後の要求である」

戦争反対の国内世論もある中、これが最後の要求になるのなら戦争を避けるためにもやむを得ないと当事者であるチェコ政府の意向は無視して英仏は妥協しました。

 

ヒトラーが「これでやめるつもりはない。チェコ全土もポーランドも我が手中に収める」と本当のことを言ったらチェンバレンも引き下がることはできない。

 

その後、約束は反古となりドイツはチェコスロバキア全体を保護領に、ポーランドソ連と分割して併合しました。

 

ヒトラーは嘘をついてでも妥協を引き出さねばならない立場に置かれていました。

 ドイツの軍部はヒトラーを伍長上がりと見下していました。(第一次世界大戦でのヒトラーの軍での階級は伍長で終戦を迎えた)

ヒトラーは将軍達の歓心を買うためにボーナスを奮発した。1933年に首相に就任すると国家予算内に特別枠を設け、将軍達に誕生日、その他の機会にボーナス、土地、絵画などを贈って、その忠誠心をつなぎとめる手段とした。

ポーランド侵攻によって第二次世界大戦が勃発すると大将は月給相当額、元帥は月給の2倍を毎月支給された。(大将の月給は2倍、元帥は3倍になった)

自信のなさ、劣等感、なめられたが最後、権力の座から引きずり降ろされるという不安にさいなまれていた。強硬な言動は小心と裏返しであった。)

 

ミュンヘン会議が妥結に至らず決裂することになれば、たちまちにして軍部の支持を失う。それ見たことか、伍長上がりめが と。

(ハルダー、ベック、ステュルプナーゲル、ウイッツレーベン、トマス、ブロックドルフの各将軍とベルリン警視総監グラーフらはミュンヘン会議が決裂した際はヒトラーゲーリングゲッペルスヒムラーを逮捕する準備を整えていたが英首相チェンバレンヒトラーに妥協したために機会は失われた)

 

侵攻を続けなければ自らの地位を守ることが出来ない。宿敵フランスを占領し、あとはイギリスを陥とすのみとなったが、頑強な抵抗に遭って陥とすことが出来ないとなると、突如、不可侵条約を結んだソ連に向けて侵攻を開始した。

1941年6月22日のことであった。(ナポレオンがロシア侵攻を開始した日は1812年6月22日 ナポレオンに因んだのか?)戦争を止めると言えば地位を失う。自らの保身のためにドイツ国民のみならず欧州全体を巻き込んでいった。

 

格段に兵器と装備が進歩したのだからナポレオンの二の轍を踏むはずはなかった。しかしそうはならなかった。ロシアの大地と天候はドイツ軍の戦車と飛行機の動きを奪った。

 

ヒトラーは指揮官の解任、更迭を繰り返した揚句に自らが司令官に就き指揮を執った。

ロシアの冬とソ連軍の反攻に再起不能の損害を受け、押し戻されて1945年4月30日、ソ連軍に包囲されたベルリンの総統官邸地下壕で拳銃自殺を遂げた。

遺書にはユダヤ人の陰謀と将軍達の裏切りのために勝利を得られなかった旨が強調されていた。

 

アメリカが正義の戦いを言うようになったのはヒトラーの教訓によるのではないか。

必要に迫られてから戦いを始めていては惨劇を防ぐことはできない。

ヒトラーに対したチェンバレン、ダラディエの二の轍を踏んではならない。

妥協するときと闘うときを見誤ってはならない。

犠牲0を願った結果が1000万人単位の命を奪う戦いに発展するようなことにしてはならない。(第二次大戦犠牲者 軍人 民間人合せて5000万~8500万人 戦争を原因とする飢饉も含む)

 

終戦から31年後の1976年 中国を訪れた※ニクソン元大統領に毛沢東主席は質問をした「アメリカの目標は平和だけですか」その応えは「平和はたしかにわれわれの目標だが、その平和とは単に“戦争がない状態を以上のものを指す」、「それは正義に支えられた平和でなければなりません」と答えた。

“もし毛の問いに答えて平和と友情が何よりも大切だと答えれば 中略 そんなに平和だけがありがたいのなら、敵に降伏すれば話は簡単じゃないかと、彼らは言うに違いない。われわれもまた戦うに足る正義を持っていることを中国人に向かって言わなければならない。”

(戦うに足る正義を持たない国は開放される(占領される)ということか)

 

「正義の戦い」という言葉を胡散臭い言葉のように揶揄する向きもある。

戦争は悪。正義があるはずはない。と

 

ソ連キューバに核ミサイル配備を目論んだキューバ危機の時、アメリカのケネディ大統領は配備を阻止するために海上封鎖を命じました。

キューバに向かうソ連の艦船を実力で阻止する。

 

世界は緊張しました。アメリカとソ連が戦争になる。第三次世界大戦が起きる。

結果はソ連のミサイル輸送艦が引き返して危機は回避されました。

アメリカ「戦争をも辞さない。」ソ連「戦争をしてまで配備するつもりはない。」

☆★☆

緊張を避けて、事なかれ主義で妥協して配備を許したらどうなるか。

 

キューバに核ミサイルが配備されたらどうなるか。

ソ連の支援を受けた中南米を拠点とするゲリラが強気になって暗躍します。

カリブ海中南米は混乱の坩堝と化します。

本当に戦争になってしまいます。

 

譲ってはならない一線でした。

正義の戦いは実際にあったのです。

ケネディ大統領の戦争をも辞さない覚悟が本当の戦争を止めたのです。

☆★☆

戦後70年戦争をしてこなかった日本の指導者に対しても、他の同盟国の指導者に対しても平和に対するには同じ価値観を共有していることを求めている。

共有できない指導者に対しては淡白な扱いをする。アメリカ大統領と日本の首相の関係を見ているとそのように思えてなりません。

☆★☆ 

「正義とは」 プラトンによると

正義とは、個人あるいは共同体の中で調和が完成されていることに他ならない。

正義には個人の正義と国家の正義があるが、そのあり方は基本的に一致する。

なぜなら国家は究極的には個人の集合体であり、個人の性格に由来しない国家の性格というものは存在しないからである。

国家の正義とは、民衆、兵士そして支配者がそれぞれの職分を全うすることである。

つまり、生活に必要な物を生産する民衆、国家を守護する兵士そして全体の監督にあたる支配者が、各人に割り当てられた仕事を果たすこと全体を指すのが、国家の正義である。

☆★☆

次に個人の正義とは国家の正義の縮小版であると理解することができる。

(個人の正義の拡大版が国家の正義であると理解することができる。)

  1. 魂および身体を監督する支配者としての知恵。
  2. 魂および身体を外敵から保護する勇気。
  3. それ以外の能力がお互いの役割を侵犯せずに調和のとれた形で自己の責務を果たす節制。

これらの3つの徳が実現するとき、個人は全体として正義に適った存在となる。

自己に相応しい仕事や職分を果たすことが正義である。

☆★☆

チェンバレンヒトラーの要求を蹴ってヒトラーが失脚した場合の日本への影響。

同盟関係の見直しが求められます。

外務省や軍での親ドイツ派の力が弱まります。

相対的に親英米派が力を取り戻します。

日本は英米との戦争を避けられたかもしれません。

 

それではまた。

 

脚注※:ニクソン元大統領(第37代アメリカ合衆国大統領 任期1969~1974年 ベトナム戦争からの完全撤退、中華人民共和国との国交樹立を成し遂げ、環境保護局の設置など環境保護政策に力を入れた。ウォーターゲート事件により失脚)

 

 

指導者とは (文春学藝ライブラリー)

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国家〈上〉 (岩波文庫)

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国家〈下〉 (岩波文庫 青 601-8)

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