宇宙移民に例外規定を設けた地球連邦政府と例外を認めないマフティー
地球が増えすぎた人口を維持できなくなる前に地球連邦政府は宇宙移民政策を推し進めた。
但し特例事項があった。地球を保全するための自然を管理する人々、人種固有の文化を保存維持する人々という規定を設けたところで人のすることであるから、裏道蛇の道があり、地球に居住する特例を受けるための汚職、賄賂が特権階級を産みそれにあやかろうとする者の跋扈。
こんなことをしていては地球はもたない、例外なくすべての人類は宇宙に上がり、地球の回復を待つべきだと腐敗の元と見なす政府の要人を暗殺するテロ組織のマフティー。
仮に全人類が宇宙に移住したとしても何年待つのかで揉める、もう回復した地球に帰ろう、まだ回復していない早すぎる、と争いが始まる。
サイド別に帰還の時期を変えたりしたら、抜け駆けするなと争いになり、政治交渉の手腕が問われる。
みんな平等にと言って同時に帰還したら衛星軌道上で混み合って帰還船同士の衝突事故を起こす。
仮に全人類が千年宇宙で生活したら、その後で地球に帰還しても地球に適応できないのではないか。
(文明が崩壊してから一万年後に、地球上に残留し自然と闘って共存しながら生活基盤を築いた人々と月で地球の環境回復を待って帰還を始めたムーンレイスとの戦いが描かれるターンAガンダムという作品もあります。宇宙世紀は作品中で黒歴史と呼称されます。俗になかったことにしたい、イタい個人や組織の過去を黒歴史と言いますがこの作品が元です。)
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スペースコロニーには火山も台風もない
宇宙で人類が生存する空間を維持することが目的のスペースコロニーに火山の噴火や地震、津波、台風や暴風雨や洪水、吹雪、竜巻を再現して事故でも起きたらコロニーが全滅するので、人々が暮らしやすい環境の維持に終始します。
極寒の極地や猛暑の砂漠に設定したら、移住したくないと抵抗運動が起きます。
なので移民政策を進めるためにスペースコロニーは年中快適な気候に設計設定されます。
極寒、猛暑、乾燥地帯といった環境が厳しい地域から移住が進みます。
なので地上の楽園に住んでいる人々は宇宙への移住に抵抗します。
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もちろん高山も海もない
円筒状のコロニーの大地に高山を作ったら山頂は天井にぶつかり、下は大地を突き抜けて宇宙に出てしまいます。
(コロニーの外壁の内側が地面)
アルプス、ヒマラヤ、アンデスの環境は再現出来ないので、マフティーの主張通りに、例外なくすべての人類が宇宙に上がれば高地の文化は失われます。
海が再現されても波のあるプールです。
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マフティーの主張のとおりにすべての人類が地球を去り、地球の環境回復を待って世代交代を経た後に帰還したらどうなるか
火山の噴火、地震、津波、台風、洪水、吹雪、砂嵐、竜巻に為す術もない。
知識はあっても、誰もが初めてのことなので、想定外の自然の猛威に翻弄されて開拓が進まない。
コロニーでは座学はできても実習はできない。実習の過程で事故が起きたらコロニーを危険に晒す。近くの小惑星に実習の場を設けても事故が起きたら宇宙に放り出されて補償問題になる。
それでも敢えて推し進めるか、リスク回避に終始するかで政策論争になる。
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なので降下場所は限られる
スペースコロニーの環境設定に近い、欧州やアメリカ東部が降下場所に選ばれます。
欧州でもイタリアは地震があるからダメとか、アメリカでも南部はハリケーンが来るから、西海岸は地震があるから、中西部は竜巻があるからダメ、日本は火山とセットで地震がある、台風とセットで洪水があるからダメとか、中国やギリシャや古代文明で深い森を失った地域は人がいない間に植樹をしていなきゃダメじゃないか。と帰還のエリアが限られる。
スペースコロニーでの調節された気候に慣れきった人類は世代交代を経て元の土地に対する愛着は失われて環境への柔軟性を失って温帯への帰還を望み、寒帯熱帯への帰還を拒み、宇宙世紀以前以上の限られた土地を巡る熾烈な争いが展開されます。
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シャア「このシャア・アズナブルが粛清しようというのだよ。」
アムロ「貴様ほど急ぎすぎもしなければ、人類に絶望もしちゃいない!」
思想理念を実現したところで救いにならない。
※逆シャア…1988年公開の劇場映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の略
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人間が作る生態系というものもある
人間が自然の一部である証です。
高度成長期の大量生産、効率の追及で農薬や化学肥料の多用で自然から逸脱し、生産流通消費それぞれの心ある人々は修正を試みました。
人が一切、手を出さずに放っておけば環境が戻るものでもない、人類が遺した汚染物質の除去も必要です。
知識だけで誰も経験がない状況で自然の猛威を克服できるものでもない。
すべての人類が宇宙に上がるべきという主張は机上の空論。
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マフティーはガス抜き
連邦軍にもガンダム、テロ組織であるマフティーにもガンダム、アナハイムエレクトロニクス社謹製、納品されるということは支払いが為されている、商談が成立している、アナハイムがマフティーを信用する裏付けつまり軍資金の提供者であり背後にスポンサーがいる。
連邦政府に対する不満のはけ口に利用して黒幕は形勢次第で動くのではないか。
続きを待とう。
それではまた。
(重力に囚われたオールドタイプが)
(元々去年7月の公開予定で公開延期が三回あったから、その間に製作が進んでいたら案外続きの公開は早いかもしれないね。)